お葬式でつけていいアクセサリーは、本来結婚指輪のみ。ですが洋装の喪服が増えた影響で、お葬式で真珠やモーニングジュエリーのアクセサリーをつける女性が増えています。
ただお葬式のアクセサリーには、選び方や種類、色などに決まりがあるので注意が必要。うっかりマナー違反にならないよう、事前に確認しておくと安心です。
この記事では、葬式におけるアクセサリーの選び方とマナーを紹介。くわえて服装や髪型など、身だしなみのマナーも解説します。
目次
お葬式にアクセサリーは絶対必要？
葬式に参列するとき、必ずアクセサリーをつける必要はありません。
そもそも和装では、お葬式で結婚指輪以外のアクセサリーをつけるのはマナー違反です。洋装では、和装と同様にふさわしくないとする意見と、フォーマルルールとして身に着けるべきとする意見にわかれます。
どちらが正しいか判断できないので、地域や世代の風習に則って決めるのが安全です。
お葬式でつけていいアクセサリー
結婚指輪
結婚指輪は、和装・洋装、どちらの喪服でもつけていいアクセサリーです。
ゴールドやダイヤモンド付きの結婚指輪も問題ありませんが、周囲からの反応が心配なら外しておいた方が無難。また、婚約指輪は葬儀にふさわしくないとされるので外しましょう。
ネックレス
| OK | NG | |
|---|---|---|
| ネックレス | 1連 鎖骨にかかる長さ | 2連以上 鎖骨より下の長さ 1粒タイプ |
お葬式でネックレスをつけるなら、真珠のネックレスを選ぶのが基本です。1連で、鎖骨にかかるくらいの短いネックレスを選びましょう。
長さのある2連ネックレスは「不幸が重なる」とされ、葬儀では縁起が悪いとされています。1粒タイプのネックレスも、シルバーやゴールドのチェーンがあると華美に見えるので、避けた方が無難です。
イヤリング（ピアス）
| OK | NG | |
|---|---|---|
| イヤリング （ピアス） | 1粒 固定タイプ | 2粒 揺れるタイプ |
ネックレスと同じく、真珠のイヤリング（ピアス）はつけて問題ありません。ネックレスと同じ色の真珠が1粒ついた、固定タイプが適しています。
真珠が2粒ついていたり、揺れたりするイヤリング（ピアス）は華やかな印象が強いので避けてください。
腕時計
腕時計は本来、外して参列した方がいいとされています。派手な色やデザインの腕時計は葬儀の場で目立つので、つけないようにしてください。
一方で、葬儀の最中に、スマートフォンや携帯で時間を確認するのは印象がよくありません。必要なら、シルバーや黒といった地味な色でシンプルなデザインの腕時計を選び、袖で隠すようにつければ目立ちにくいでしょう。
ブローチ
通夜・葬儀で、喪服にブローチをつけるのは避けておいた方が安心です。
ただ法事や弔問で伺うときは、ブローチをつけても問題ありません。真珠のあしらわれた、色やデザインが控えめなブローチを選んでください。
なぜお葬式で真珠をつけるの？
真珠は「月の涙」の別名をもち、故人への哀悼を象徴するジュエリーです。
「涙の象徴」とされているため、お葬式では、遺族へのお悔やみや故人を失った悲しみを表現するために着用します。本来お葬式で華美なジュエリーは避けるべきですが、真珠は意味と清楚で上品な印象からよく選ばれているようです。
葬式でつける真珠の色とデザイン
葬式にふさわしい真珠の色
| OK | NG |
|---|---|
| 白（冠婚葬祭すべて可） | ピンク（葬式では不可） |
| 黒（光沢に注意） | ゴールド（葬式では不可） |
| グレー（光沢に注意） |
真珠は、本真珠か淡水真珠か、種類の違いを見た目で判断するのが難しいジュエリーです。
そのため、葬式におけるアクセサリーとして注意すべきなのは、真珠の色。一般的に「白が祝事・黒が弔事」という固定観念がありますが、正確ではありません。
実は、白真珠は冠婚葬祭すべてに使えるアクセサリーのため、葬式にも適しています。黒やグレーでも、光沢が強すぎたり豪華すぎたりする真珠は避けるべきです。また、ピンクやゴールドの真珠は、華やかな見た目から葬式にはふさわしくありません。
葬式にふさわしい真珠のデザイン
| OK | NG |
|---|---|
| 大きさ7～8mm | 大きさ9mm以上 |
| 円形 | バロック型 |
お葬式に真珠のアクセサリーをつけるなら、直径7～8mmで完璧な円形を選んでください。
サイズが9mm以上だと派手な印象に、8mm以下だと軽い印象になるため、直径7～8mmがベスト。また、デコボコとしたバロック型真珠はカジュアルすぎるので避け、丸い真珠のアクセサリーをつけましょう。
お葬式は真珠をつけないとダメ？真珠以外のジュエリー
お葬式でつけるアクセサリーは、清楚な印象の真珠が一般的。真珠以外では、ヨーロッパで服喪中につける「モーニングジュエリー」を選んでも問題ありません。
モーニングジュエリーとは、ジェット、オニキス、黒曜石、黒珊瑚（ブラックコーラル）など。喪に服す期間につける宝石を意味するヨーロッパの風習で、喪服にジュエリーをあわせることでフォーマルな装いが完成すると考えられています。イギリス王室から広がり、日本でも女性皇族は葬儀でジェットのネックレスを身に着けるそうです。
和装文化の日本では馴染みが薄いかもしれませんが、モーニングジュエリーは葬儀で正式に認められているアクセサリーです。真珠以外の宝石をつけるなら、モーニングジュエリーを選べばマナー違反になる心配はありません。
お葬式でつけるアクセサリーのマナー
お葬式では、控えめなアクセサリーを選んで故人へ敬意を示し、周囲を不快にしないよう心掛けます。ダイヤモンドやゴールド、色鮮やかな宝石がついた光り物のアクセサリーは避けてください。
着用が許されている結婚指輪も、宝石の大きさやデザイン、光沢などに注意が必要。派手な装飾があったり、宝石のサイズが大きかったりすると、葬儀の場で目立ってしまいます。ダイヤモンドを内側に向ける、心配なら指輪を外すなど、周囲への配慮を忘れないようにしましょう。
また、アクセサリーのマナーは地域や世代によっても変わります。迷ったときは、周囲に相談してから判断すれば、マナー違反になる心配はありません。
お葬式の持ち物・小物類のマナー
バッグ
お葬式に最適なのは、黒色で装飾の少ないシンプルなバッグ。布や合皮といった光沢のない素材でできた、コンパクトな手提げのバッグを選びます。
殺生を連想させるスエードやヘビ、クロコ、光沢のあるエナメルなどは、葬儀にふさわしくありません。また、目立つ金具やチェーンがついているバッグも避けましょう。
靴
お葬式で履く靴は、黒色のプレーンパンプスが基本です。ヒールの高さは安定感のある3～5cmで、つま先はラウンドトゥかスクエアトゥ。布や合皮といった光沢のない素材で、目立つ装飾のないシンプルなデザインの靴を選びます。
ピンヒールはもちろん、ウェッジソールやオープントゥの靴は葬儀ではマナー違反となるので控えてください。
ストッキング
お葬式では、黒色で薄手のストッキングを履くのがマナーです。素足や肌色のストッキング、厚手のタイツなどは、葬儀の場に適していません。つま先が透けるかもしれないため、ペディキュアも落としておいた方が安心です。
数珠
数珠は、通夜・葬儀に参列するときの必須アイテム。合掌や焼香で使いますし、他人から借りるのはタブーとされているため、必ず持参してください。
数珠は宗派によって違いますが、ご自身の信仰にあわせた数珠を使えば問題ありません。
ハンカチ
お葬式には、白または黒で無地のハンカチが適しています。綿や麻、ポリエステルなどの素材で、大きすぎないサイズのハンカチを選びます。
派手な色柄やタオル地、ミニハンカチなどはカジュアルな印象が強いため、避けてください。また、絹（シルク）のハンカチは光沢があって目立つので、お葬式には不向きです。
袱紗
通夜・葬儀でご遺族に渡す香典は、袱紗（ふくさ）に包んで持参するのがマナー。弔事にふさわしいのは、紫色や紺色、深緑色、灰色など、寒色系で無地の袱紗です。ちなみに紫色の袱紗は、慶事でも弔事でも使えます。
葬式の服装・喪服はどうする？
| 正喪服 | 準喪服 | 略喪服 | |
|---|---|---|---|
| 着用する人 | 喪主･遺族 | 喪主･遺族･参列者 | 参列者 |
| 着用する場面 | 葬式 | 葬式･通夜･弔問 | 通夜･弔問 |
| 男性 | 紋付羽織袴 モーニングスーツ | ブラックスーツ | ダークスーツ |
| 女性 | 黒紋付の着物 ブラックフォーマル | ブラックフォーマル | 暗い色のスーツ･ワンピース |
お葬式の服装は、喪服（もふく）を着用するのが基本。喪服には3種類あり、正喪服・準喪服・略喪服にわかれますが、参列者は準喪服を着用しておけば問題ありません。
準喪服とは一般的な喪服を指し、男女ともに漆黒に近い黒色の洋服を選びます。男性・女性別のお葬式の服装マナーを紹介するので、あわせて確認しておきましょう。
【女性】お葬式の服装マナー
お葬式における女性の服装は、ブラックフォーマルが基本。ブラックフォーマルとは、冠婚葬祭にふさわしい礼服を指し、女性の場合は漆黒で光沢のない素材のワンピースやアンサンブルです。
スカートは膝が隠れる長さにして、足元は薄手の黒ストッキングと黒いパンプスをあわせます。アクセサリーは控えめにし、派手な色のものや大きなものは避けてください。
【男性】お葬式の服装マナー
お葬式における男性の服装は、ブラックスーツが基本です。漆黒で光沢のない素材のスーツを選び、白無地のシャツと黒のネクタイをあわせます。また足元は、シンプルな黒の革靴に黒無地の靴下を履いてください。
アクセサリーをつけている男性は目立ちやすいので、結婚指輪以外のアクセサリーは外しておいた方が無難。腕時計は、黒またはシルバーのベルトで派手でなければOKです。
葬式に適した髪型とは？
お葬式では一般的に、暗い髪色とシンプルなヘアスタイルが推奨されます。華やかな髪型や髪色、アレンジは、周囲に配慮して避けるべきです。
お葬式の髪型には、アクセサリーやスタイリングにも注意点があるため、男女別に確認しておきましょう。
【女性】お葬式の髪型
ミディアム〜ロングヘアの女性は、邪魔にならないよう、ひとつにまとめる髪型が無難。耳より下で髪をひとつにまとめると派手にならず、女性らしさもあります。
また、髪をまとめるヘアピンや髪留めなどのアクセサリーは必ず黒色にし、飾り気のないものを選びましょう。とくに金具の部分が派手なアクセサリーには注意が必要です。
【男性】お葬式の髪型
男性の場合、清潔感を保つために髪型は整え、髭もきちんと手入れすることが大切です。また、髪色は暗めの色が適しています。派手な髪型や髪色は避け、シンプルで落ち着いたスタイルを心掛けましょう。
お葬式にふさわしいアクセサリーで参列を
通夜・葬儀に参列するとき、アクセサリーをつけなくてもマナー違反にはなりません。
ですが、年齢や服装によってはアクセサリーをつけた方がより上品な印象になりますし、大人のマナーとして持っておきたいアイテムです。いざというときに備えて、喪服にあわせるアクセサリーを用意しておくとよいでしょう。
弔事用にアクセサリーを購入するなら、真珠のネックレスとイヤリングのセットが適しています。比較的どこでも手に入りますが、葬儀にふさわしいデザインかどうか見分けにくいので注意が必要。初めて購入するときは、スーツ・紳士服専門店で喪服用のアクセサリーを選ぶと安心です。
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