葬儀の際の合掌と礼拝について

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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合掌礼拝とは、仏式の葬儀における作法の一つで、葬儀に出席する際には必ず身に付けておきたい最低限の動作です。また日本では、合掌はお通夜や葬儀でお焼香のほか、相手に敬意を払う場面や手紙の結びにも使用されることもあります。ここでは、仏教における合掌と礼拝の意味と合わせて、宗派における礼拝の有無、数珠の使い方に関してもご紹介しています。

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合掌について

合掌は、仏式葬儀での基本的な動作であり、仏様(ほとけさま)信仰における基本的な作法の一つです。仏教発祥の地であるインドから伝えられた行為であるといわれており、仏様の象徴で悟りの世界を表す右手と、迷いの世界、つまりは自分自身を意味する左手を合わせることで、仏様への帰依を示します。

日本ではお通夜やお葬式のほか、お詫びやお礼など、相手に敬意を表す場合にも日常的に合掌が用いられていますが、葬儀においては、仏様に対して「故人のことをよろしく頼みます」という願いを込めて合掌が行われます。
厳密にいえば「十二合掌」と呼ばれるいくつかの形の過程がありますが、基本的な合掌方法としては次のとおりです。

①指と指の間を離さず、手のひらをぴったりと合わせます。
②手のひらの角度は45度程度。合わせた両手を胸の前に出します。
③脇に力を入れて肩肘を張らずに背筋を伸ばします。
④手を合わせたら目を閉じ、会釈するように頭を下に傾けます。

また、合掌という言葉は本来、仏教でのみ使用されます。神道(しんとう)やキリスト教にも両手を合わせて礼拝したり、祈りをささげたりする動作は存在しますが、合掌とは作法やマナー、意味合いが異なりますので注意が必要です。

礼拝について

礼拝とは、主に神仏を拝む行為のことを指しますが、仏教においては「礼拝(らいはい)」と読まれています。礼拝は、合掌の姿勢で上体を45度程度前方に傾け、礼をしてからゆっくりと上体を起こして合掌を解きます。寺院の山門をくぐったときやお堂に入るとき、お焼香をするときなどには合掌をせずに上体だけを15度程度に傾けて礼をする、揖拝(ゆうはい)も用いられますので、それぞれの状況に応じて使い分けましょう。なお、礼拝には「お礼をする」という意味があり、祈ることとは異なりますのでご注意ください。

宗派における合掌と礼拝の有無

一般的に仏式葬儀では、合掌礼拝が必ず行われます。合掌と礼拝の方法に差はほとんどありませんが、数珠に関しては掛け方や使用する種類など、宗派によって注意しなければならない点がいくつかあります。また、日常礼拝にも違いがありますので、ここでは代表的な宗派の礼拝と数珠についてご紹介します。

真言宗

仏教の宗派の中でも、最も数珠を大事にしているといわれています。主玉108個、親玉2個、四天玉4個、梵天房の数珠が一般的で、振分数珠(ふりわけじゅず)とも呼ばれています。両手の中指に数珠を二重にして掛け、房を握るようにして持ちます。日常礼拝については次のとおりです。

①お仏壇を清掃した上でお供え物をします。線香を立て、リンを鳴らします。
②合掌礼拝を行い、南無阿弥陀仏を唱えます。
③いただきものがあった場合は、まずはお仏壇にお供えします。

浄土真宗

数珠の房が「蓮如(れんにょ)結び」になっているのが大きな特徴です。数珠の形にこだわりはありませんが、本願寺派(お西)では撚房(よりふさ)、大谷派(お東)では切房(きりふさ)が用いられます。主玉108個、親玉2個、四天玉4個で構成されており、本願寺派では合掌した手に二重にして数珠を掛け、房を下に垂らします。また大谷派では親指と人差し指の間に二重にした数珠を掛け、房を左手側に垂らします。日常礼拝は次のとおりです。

①お仏壇を清掃した上でお供え物をします。線香は立てずに1本を数本に折って横にして供えます。
②リンは勤行(ごんぎょう)のときにのみ鳴らします。
③合掌礼拝を行い、南無阿弥陀仏を唱えます。

浄土宗

108玉の水晶で構成され、2つの輪を一つに繫いだような形が特徴です。一般的に荘厳(しょうごん)数珠と呼ばれています。2つの輪にある親玉を揃えて合掌した手の親指に掛け、房は手前に垂らします。日常礼拝は次のとおりです。

①お仏壇を清掃した上でお供え物をします。線香を1本または3本立て、リンを鳴らします。
②合掌礼拝を行い、南無阿弥陀仏を唱えます。
③いただきものがあった場合は、まずはお仏壇にお供えします。

天台宗

扁平な平玉が用いられているのが特徴です。主玉108個、親玉1個、四天玉4個で構成されています。数珠を人差し指と中指の間に掛け、手の中に包むように手を合わせ合掌します。日常礼拝は次のとおりです。

①お仏壇を清掃した上でお供え物をします。線香は基本的に3本立て、リンを鳴らします。
②合掌礼拝を行い、南無宗祖根本伝教大師福聚金剛の宝号を唱えます。
③いただきものがあった場合は、まずはお仏壇にお供えします。

曹洞宗・臨済宗

主玉が108個ある一連数珠を二重にして使用します。に自己と向き合うことが重んじられています。数珠を二輪にした状態で左手に掛け、そのまま右手を合わせて合掌します。日常礼拝は次のとおりです。

①お仏壇を清掃した上でお供え物をし、線香を1本または3本立て、リンを2つ鳴らします。
②合掌礼拝を行い、南無釈迦牟尼仏を唱えます。
③いただきものがあった場合は、まずはお仏壇にお供えします。

まとめ

今回は、葬儀の際の合掌と礼拝について簡単にまとめてみました。日本では葬儀の場面以外でも使用される合掌ですが、その所作には意味があり、礼拝や使用する数珠にも違いがあるということです。合掌礼拝のほかにも、仏式葬儀には多くの作法や専門用語が用いられます。もしも、葬儀社選びや葬儀に関することなどでお悩みの場合はお気軽にお問い合わせください。

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