もう二度と会うことの叶わないあの人へ。
「ありがとう」の気持ち、「ごめんなさい」の気持ちなど、今だから言える気持ちを綴ったお手紙を送る、「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」。この春も、第7回目となる募集を行っています。
さて、去る3月21日に、神奈川県鎌倉市の圓久寺にて、松脇行眞ご住職のご厚意で、お手紙のお焚き上げ法要を営んでいただきました。
今回はその、お焚き上げ法要の模様をお伝えします。
圓久寺ってどんなお寺?
圓久寺はJR鎌倉駅の西口から、歩いて20分ほどのところにあります。
正式には、常葉山 感光院 圓久寺(じょうようざん かんこういん えんきゅうじ)と言います。1400年代から続く、歴史ある日蓮宗のお寺です。
一年を通じて、四季折々の花が楽しめる境内、特に秋には「鎌倉のコスモス寺」とも呼ばれるほど、きれいなコスモスの花が咲き乱れます。また、緑に囲まれた本堂の裏側一帯は、昭和53年に「北条氏常盤邸跡」として、国の史跡に指定されています。
駅から市役所の前の一本道をまっすぐ、まっすぐ進んでいくと、右手に「NA MU MYO HO REN GE KYO」とアルファベットが並ぶ表札があります。読んでみると「南無妙法蓮華経」。ここが圓久寺です。近年、鎌倉を訪れる外国人観光客も増えているようですが、これなら英語圏から日本に訪れた人も迷いません。
松脇住職は、もともとは一般の家庭(「在家」と言います)で生まれましたが、高校2年生の時に、テレビでお坊さんが「幸せ」について語っているのを見たことから、「幸せって何だろう?」と考え続けて、そのままお坊さんになってしまったという経歴の持ち主です。
火打ち石で切り火を切って、法要が始まります
当日は、14時から本堂で法要を営んでいただきました。
この本堂は、1923年の関東大震災で壊れましたが、すぐに再建されて現在に至っています。
ご本尊の日蓮聖人像には、面白いエピソードも残されています。
昔々、住職の留守中、誰もいない本堂から読経が聞こえてきました。不思議に思ってよくよく調べてみると、日蓮聖人像が住職に代わって、朝夕のお勤めをしていたというのです。この伝承から、圓久寺のご本尊は「読経の祖師」と呼ばれているそうです。
さて、本堂に案内していただくと、「今は亡きあの人」にあてた手紙やファックス、メールをプリントアウトしたものなど、ダンボール箱5箱分がすでにご本尊の前に積まれています。
お坊さんがろうそくに火を灯したり、お焼香の香炉を用意したり、準備されています。
私もご本尊に手を合わせて、「宜しくお願いします」とご挨拶しました。
準備が整ったところに、ご住職が本堂に入場して、「ではこれから、始めますね」と、まず、火打ち石を取り出して、カチッ、カチッと切り火を切ります。
そして、法要が始まりました。
お経の声と太鼓の音で、本堂中がびりびりと震えています。
お手紙に書かれた「あの人」の供養とともに、お手紙をくださった方、そしてこの「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」と縁のある方々の幸せを祈願していただきました。
境内でお清め
次に、お手紙を境内に運び、「いよいよお焚き上げ!」の前に、お浄めをします。
作務衣に着替えたご住職が、それぞれの箱の中のお手紙と、境内に用意した炉に、お塩、お米、お酒を撒いて清めてくれます。
さらにもう一度、お経を唱えてくれます。
その後、一枚目のお手紙に読経しながら火をつけて、炉の中へ。続けて一枚一枚、炎の中にくべて、お焚き上げをしてくださいました。
法要の意味をすごく簡単に言うと?
さて、今回、せっかくの機会なので、ご住職に法要の意味について伺いました。
ものすごく簡単に説明すると、「仏様にお経をお供えして、その功徳によって、仏様にいろいろお願いを聞いていただく」ということなのだそうです。
今回は、法華経を読んでいただいて、その功徳で、「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」に縁のある方、皆の幸せをお願いしていただきました。
また、法要の初めに火打ち石で切り火を切るというのは、火の力で清めるのと同時に「これから法要をはじめますよ」ということを仏様に伝える合図でもあるそうです。
お手紙をくださった方々の想いが、お手紙を送られた「あの人」にきちんと届きますように。そして、松脇ご住職はじめ、圓久寺の皆様、本当にありがとうございました。
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」プロジェクトとは?
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、“無縁社会”と言われるようになった今日の日本で、「人々の温かな思いを多くの人に伝えたい」との志から始まりました。
2010年から毎年1回お手紙を募集して、今年で7回目になります。
「ありがとう」の気持ち、「ごめんなさい」の気持ちなど、今だから言える気持ちを綴ったお手紙を広く公募し、お寄せいただいたお手紙の中から116編を選んで書籍として出版。またWEBサイトなどに掲載しています。
2016年3月1日から5月31日まで。
第7回「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」で、お手紙を募集しています。
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」公式サイトはこちら。