模擬葬儀とは、その名の通り自分の葬儀を実際に体験するものです。いわば自分の葬儀のリハーサルです。最近は自分の葬儀をどのように行うかを、生前に決める人も増えてきているようです。
そのひとつの方法として、葬儀社などが模擬体験サービスを提供しています。実際に葬儀を体験することにより、より自分の葬儀のイメージが具体化でき、また自身や家族の「死」をリアルに見つめる機会として模擬葬儀は注目を集めています。
模擬葬儀とは
最近では、終活という言葉もよく聞くようになり、生前整理やエンディングノートの作製など自分自身の最期を考え、準備をしておく人も増えてきました。葬儀に関しても「家族にできるだけ負担をかけたくない」「家族のためにもなるべく予算をおさえたい」などという家族への想いから、自分で生前葬儀契約を結ぶ人が増えているそうです。
また、それに伴い、実際に自分の葬儀を体験できる模擬葬儀を実施する葬儀社や寺院なども増えています。
実際に葬儀を執り行う会場に花祭壇を設置し、葬儀社のスタッフが司会、僧侶、故人、遺族などの役割を演じ、その様子を見学します。中には棺桶の中に横たわり、寝心地を体験できる入棺体験サービスを行っているところもあります。
実際に自分の葬儀を体験することで、望む葬儀のイメージを具体的になります。また問題点が分かることで、家族への負担を減らせるというメリット もあります。
生前葬と模擬葬儀の違い
生前葬は自身が生きているうちに葬儀を行い、お世話になった人や友人など縁のあった人を招いて、お礼とお別れを言うために行われることが多いです。また、遺産を相続する関係者などをはっきりさせるために行われることもあります。
一方、模擬葬儀は、自分の亡き後に行われる葬儀を疑似体験し、自分の望む葬儀を生前に考えるもので、生前葬儀とは意味合いが異なります。
模擬葬儀を行うことで得られるもの
模擬葬儀は自身の葬儀のリハーサルを行っているようなものなので、より具体的に自分の望むエンディングをイメージできます。また、遺族となる家族は、自分たちが主宰者となる葬儀がどのように進んでいくのかを知ることができます。
事前に全体の流れを知ることで、実際に葬儀を迎える時にも焦らず対応することができます。また自分の葬儀を体験することで、死を見つめる機会になりますし、家族にとっては家族の死を受け入れる準備をするということにもなります。
自殺者を減らす働きも！？
韓国では、模擬葬儀は鬱による自殺者を減らす働きがあると注目されているそうです。
自分自身の死亡体験をすることが抑鬱状態にある人のストレスを軽減させ、人生の方向性を調整する支援になるとして、カウンセリングのひとつに模擬葬儀が取り入れられているとのことです。
つまり、模擬葬儀は自分自身や身近な人の『死』というものをリアルに受け止める機会となる意味合いがあるのです。
模擬葬儀の行われ方、一般的な流れ
模擬葬儀は葬儀社がそれぞれのサービスを宣伝し、集客する意味合いで開催している場合が多いです。また、ツアー会社が企画する終活ツアーなどに組み込まれている場合もあります。模擬葬儀を行う場所としては、葬儀社が提携しているメモリアルホールなどが一般的です。数はまだ少ないですが、寺院で行っている場合もあります。
模擬葬儀の一般的な流れとしては、まず開催者から葬儀の進行について説明を受け、その後、参加者は葬儀の参列者となり、受付を行います。この時、宗教宗派による違いなども含めながら、香典の渡し方などを教わります。僧侶がいる場合は、読経、焼香、喪主の挨拶などを実際の葬儀と同じスケジュールで行い、中には入棺体験ができることもあります。葬儀後は、精進落としなど実際に出てくるものと同じ料理を食べることができます。その他、終活に関するセミナーや遺影撮影会などを行う場合もあります。寺院で行う場合は、僧侶がお寺での葬儀の流れを説明し、実際に読経や法話を行い、参加者からの質問に答えるスタイルが多いようです。
葬儀の多様化による模擬葬儀の必要性
近年、葬儀の在り方が多様化し、さまざまなスタイルの葬儀が行えるようになってきています。宗教宗派を問わず、自身や遺族の希望に沿った葬儀が行えるようになってきているのはよいことですが、 反対にどのような葬儀を行えばよいのか悩んでしまう場合もあります。模擬葬儀は、自身と家族それぞれが、葬儀に関する理解を深め、自分の葬儀はどういった葬儀にして欲しいかなど要望を残せる一方、残されることになる家族も、万が一の時に故人の望みに沿った葬儀を安心して行うために有効な体験と言えるでしょう。
まとめ
人生の最後のイベントである葬儀。その時が来た時に、家族へ負担をかけないためにも、生前に家族と葬儀について話しておくことはとても大切なことです。模擬葬儀もそのひとつのきっかけとなるでしょう。模擬葬儀に関して葬儀社はどこにすればよいか、また葬儀に関してのお悩みなど、ご相談ごとがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。