忌中札とは?いつまで張る?意味と掲示期間、書き方を解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

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  • 忌中札とは、身内が亡くなったときに玄関に貼り出す紙のこと
  • 忌中札を掲示する期間は、故人がなくなってから四十九日までが一般的
  • 連絡手段の発達や防犯上の理由により、忌中札を掲げる家は減っている

忌中札(または忌中紙)とは、身内が亡くなったときに玄関に貼り出す紙のことです。以前はよく見かけた札ですが、近年はほとんど見なくなったと感じる方も多いかもしれません。しかし、まだまだ忌中札の文化が根強く残っている地域もあります。そこで、忌中札の貼り方や貼り出しておく期間など、いざという時のために事前に知っておきたい事柄について紹介します。

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忌中札の掲げ方・書き方

忌中札は、半紙の中央に「忌中」と書き、その周りを太い黒枠で囲みます。使用する半紙は長方形またはひし形が多く見られます。もともとは、すだれを裏返した上に忌中札を貼っていました。しかし、現在は門扉や玄関の壁に直接貼ったり、黒い額縁に入れて掲げたりすることが多くなっています。立札や木札を使って、紙を上から貼るパターンもあります。

なぜ忌中札を掲げるのか?意味と理由

昔は死=穢れ(けがれ)と考えられていたため、死の穢れを他の人にうつさないようにと考えられていました。そこで、身内な亡くなったため人と接するのを避けることを目的として、玄関に「忌中」と書いた忌中札を掲げるようになりました。

この死の穢れの考え方には、次のような説があります。

宗教によって異なる死の捉え方

死を穢れとする考え方を「死穢観念」(しえかんねん)といいます。この考え方は家族の中で不幸があると身内が落ち込み、元気をなくすことに端を発します。

その落ち込んだ姿が「気が枯れ衰えた」状態に見えることから、「気枯れ」と呼ぶようになったという説です。この「気枯れ」が変化して「穢れ」と呼ばれるようになったと言われています。つまり、忌中とは死の穢れを他の人にうつさないように、人と接するのを避ける期間を指す言葉です。現代では、死=穢れという考え方は薄れてきており、忌中札は家族の不幸を外に知らせる告知板の役割に変化しました。

その一方で、死を穢れととらえていない宗教もあります。例えば、キリスト教には忌中や喪中の概念がありません。そのため、忌中札を掲示することもありません。また、浄土真宗では「忌中」ではなく「還浄」(げんじょう)の紙を貼ることもあります。これは故人が仏様のもとへ向かったことを表現しています。

忌中札を掲げる家が減っている理由

近年は忌中札を掲げる家が少なくなりました。これにはいくつかの理由があります。

近所に忌中を知らせる必要がない

都市部では近所付き合いがほとんどないことも多く、お隣に住んでいる方の顔も知らない方も多いのではないでしょうか。そんな中で、身内の不幸をご近所の方に知らせる重要性が薄れてきていることが挙げられます。

連絡手段が発達した

仲のいい近所の方や親族と気軽に連絡が取れるようになったため、わざわざ忌中札を掲げて身内の不幸を知らせる必要がなくなったという面もあります。

防犯上の理由で貼らなくなった

忌中札を掲示しているお宅は通夜・葬儀を近日中に行います。

しかし、現代では通夜・葬儀を葬儀会場で行うことが増えているので、近日中に家を留守にすることを公言するようなものです。実際に自宅に置いてあるであろう香典を狙った空き巣の被害にあうケースが多発していました。

ただし、もちろん住民のコミュニティーが強い地域など、今でも忌中札を掲示するのが当たり前のところもたくさんあります。ご近所の方に尋ねるなどして地域の慣習に従うようにしましょう。

忌中札の掲示期間は地域によって違う

忌中札を掲示する期間は、地域によって大きく異なるようです。故人が逝去して、葬儀日程や場所が決まり次第貼り出します。忌中期間が終わるまで掲示しておく家庭もあれば、葬儀の終了後すぐに外す家庭もあります。

一般的に忌中札を掲示する期間は故人がなくなってから四十九日までとされています。仏教では、人が亡くなってから49日間は死者の魂がまだこの世に彷徨っていると言われていて、魂が無事に極楽浄土へ旅立てるように審判が開かれるとされています。この間、遺族は7日ごとに法要を行い、故人が成仏できるように供養します。四十九日法要が終わると魂が住み慣れた家を離れて旅立ち、忌中期間が終わり、身内は日常生活に戻っていきます。

忌中と喪中の違い

忌中と喪中との違いに悩む方もいらっしゃるかもしれませんが、忌中は死の穢れを人にうつさないように振る舞う期間です。これに対して喪中は故人を偲ぶ期間のことであり、喪中の期間には決まりはありません。故人との続柄によって違いますが、一般的には一周忌までの期間(1年から1年1か月ほど)を指します。また、故人との関係によっておおよそ以下のような期間が目安となっているようです。

・父母・義父母…1年から1年1か月ほど

・子…3か月から6か月ほど

・祖父母…3か月から6か月ほど

・兄弟姉妹…1か月から3か月ほど

この期間は地域や家庭事情によって前後することもあります。

>>喪中の正月の過ごし方

忌中札は故人との別れを知らせる大切な慣習

忌中札の掲げ方や、現代での取扱について紹介しました。防犯や通信技術の発達など、現代ならではの理由で以前ほど見かけなくなったものの、人のつながりが密接な地域では今でも故人との別れを知らせる大切な役割を担っています。地域によって掲示期間も異なるので、忌中札を貼るべきかどうかわからないという方は、近所の方や親戚に確認をとってみるとよいでしょう。

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