2018年秋公開「どうすれば自殺を減らすことができるのか?」映画『曙光』に込められた坂口監督の想い

母の介護の日々を記録したドキュメンタリー映画『抱擁』(文化庁記録映画部門優秀賞受賞)の坂口香津美監督の最新作『曙光』(しょこう)が、2018年10月6日より、アップリンク渋谷にて公開されます。主演は映画『六月の蛇』(塚本晋也監督)の黒沢あすかさん。

映画の企画書、冒頭には、「どうすれば自殺を減らすことができるのか…?」の文字。本作品の制作には、坂口監督自身の体験と、強い想いが込められています。今回は、自殺大国といわれる日本の状況を描き出した本作品についてご紹介します。

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『曙光』物語

物語は、主人公の文江(黒沢あすか)の中学生の娘が学校から帰って、自室で自死するところからはじまります。その後、山間の実家に戻った文江は、自殺をしようとする人々の救済活動をする「ハートビート」という組織を立ち上げ、日々、自殺希望者の保護を行っています。そんなある日、自殺をしようとした男を助けたことから、歯車が大きく崩れだします。

作品に込められた坂口香津美監督の想い

この映画を生み出した理由について、坂口香津美監督は2つの動機がありました。

ひとつは監督自身の体験。30年近く前のある日、監督が当時交際していた女性の部屋で、彼女の元交際相手だった男性が首を吊っていました。警察の指示で死体を床に下し、その女性とは永訣したといいます。監督が35歳の時のことです。

そしてもう一つは、ドキュメンタリー番組のリサーチで、自殺をしようとする人に直接手を差し伸べて、保護し、教会である自宅で共同生活を送りながら社会復帰と自立の道を一緒になって模索する活動を続ける夫妻に出会ったことです。

「自殺は近しい人を、誰ひとり幸福にはしない」という坂口監督。映画には「痛みと孤独の果てに自殺があるなら、それらと向き合う、差し伸べる手を無数に、私たちの社会は持たなければならない」という強いメッセージが込められています。

日本の自殺件数の推移

統計データによると、日本の2017年の自殺件数は21,321件となっています。最近では減少傾向にありますが、1999年から2011年までは、3万人台で推移。また減少傾向とは言え、年間2万人以上の方が、自死で亡くなっています。

厚生労働省自殺対策推進室 警察庁生活安全局生活安全企画課 「平成29年中における自殺の状況」より。作図は鎌倉新書

映画『曙光』公開情報

■主演:黒沢あすか

■監督・脚本・撮影:坂口香津美

■上映時間:120分

■4K、カラー、2.35:1(シネスコサイズ)

■2017年12月完成

■公開:2018年10月6日よりアップリンク渋谷にて公開。以降、大阪シアターセブン・鹿児島ガーデンズシネマほか全国順次公開

>>【終活シネマ】終活を超えて命を繋ぐ映画『曙光』

まとめ

葬儀社をはじめ、ライフエンディングにかかわる方々の中には、自殺・自死で大切な方を失った方などをはじめ、死別によって辛い思いをされている方に寄り添うため、グリーフケアという活動を行っているところもあります。例えば、地域で活躍する音楽家によるコンサートを開いたり、また同じような苦しみを感じている遺族たちが食事をともにしながら話し合うなど、遺族同士が集まって悲しい気持ちを共有し合える時間や空間を提供するなど、さまざまな活動を行っています。

そういえば、『曙光』の中でも、食事をするシーンが強く印象に残っています。

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