【行ってきました】JAおおいた プリエール蓮華の杜に聞いた、大分のお葬式ってどんなお葬式?


大分県大分市にあるJAおおいたプリエール蓮華の杜 宗方斎場に行ってきました。

平成24年にオープンしたこの斎場。外観は真っ白な建物の正面左側に、濃い茶色の四角すいを逆さにしたような建造物がついた特徴的なデザインです。通りからも一目でわかる、ちょっと変わった建物です。

プリエール蓮華の杜、鬼塚浩之センター長は「葬儀場らしくない葬祭ホールにしたかった」といいます。今回は鬼塚センター長に大分のお葬式、JAのお葬式についてお話を伺いました。

 

大分のお葬式。昔からの風習があるところは、やはり残した方がいいと思います

 

――少し変わったデザインの斎場ですね

全農の設計の方に依頼をしたのですが、ちょっと葬祭場に見えない雰囲気の建て方です。

葬祭場となるとどうしてもいいイメージを持たない方もいらっしゃいます。雰囲気を少し変えた方がいいのでは?と、このような外観に設計になりました。

この会館ができた地域は大分市内でも家族葬が増えている地域でもありました。そのため一般葬だけでなく、家族葬も受け入れられる式場にしたのです。

1階は150名が入れる大型の式場が、そして2階には30名が入れるやや小型の家族葬用の式場が2つ。全部で3式場あるので、家族葬であれば確かに3件のご葬儀を1日に執り行うことは可能です。ただ、ご遺族のことを考えると、通常は1日に2件くらいに抑えています。

 

――家族葬が増えているのですね?大分のお葬式にはどのような特徴があるのでしょうか?

大分では今でも隣保班が町内にある地域が多く、その班の方々にお葬式のお手伝いをしていただく風習があります。

それぞれの地区によっても違いがありますが受付のお手伝いや、「おとき」と言って精進料理のお食事を出すときに、そのお給仕も町内の女性の方に手伝ってもらうところもあります。

もちろん、そうしたことを葬儀社がするとこもありますし、うちも必ず何人かスタッフを入れます。けれど、昔からそういう風習があるところは、やはり残した方がいいと思います。

 

――なるほど。ちなみに、今、おっしゃられた、「おとき」というのはいつ召し上がるものなのですか?

大分の場合は、通常ですと午後のご葬儀が多いです。一方、家族葬をする方は、午前中の方が多いです。

通常の午後の葬儀でいえば、例えば午後1時からのお葬式だとすると10時半から11時くらいから。「お別れのお膳」といって精進料理のお膳をお一人一個ずつ、親族の方が食べるんです。そのあと、近しい方とか親せきの方が見えたら召し上がっていただく。

食事をしてから午後のご葬儀に入るという流れです。

 

――故人と親しかった方が召し上がるのですね?

昔はその町内のみなさんも食べていたのですが、今は親族の方や受付をお手伝いしてくれる方とかの場合が多いです。宗教者も召し上がります。

 

――お通夜のあとの通夜ぶるまいはどのような感じなのですか?

大分市内の場合、基本的に一般会葬者には、通夜ぶるまいはしてないと思います。通夜のお経が終わったあとに、親族の方だけが控室でお食事をするというかたちになります。一般の会葬者のみなさんは、式が終了したらそのままご散会されます。

 

――ではご親族はお通夜の後お食事をして、翌日の午前中にお食事をして、それからご葬儀、出棺となるわけですね?

火葬後にご自宅とかお料理屋さんで精進落としのお食事をします。精進上げということもあります。

当日初七日はしないという宗派もありますので、いろいろですが。

ただ、昔は精進落としはご自宅に帰ってという方が多かったのですが、最近はどうしてもマンションとか、核家族化の影響により家のつくりが新しくなっておりますので、この精進落としをご自宅でする方は少なくなっています。

 

今までのしきたりなどに則ったベースの部分を崩さずに、しっかり葬儀をしていきたい

 

――御社ではどのようなご葬儀をされているのでしょうか?

私は、ご葬儀は基本的にはなるべくシンプルにしたいと考えています。

 

――演出などに凝るのではなく、シンプルなお葬式ということですか?

もちろん、いろいろな演出をしたいとおっしゃるご遺族様もいらっしゃいます。そういったご希望にはきちんと応えます。故人様のことを考えて、ご遺族様が納得の上で執り行うのであれば、できる限り叶えてあげたいと思います。ご遺族のご希望に対して適切にご提案できるよう、スタッフも常にアンテナを張って、研鑽を積まなければなりません。引き出しは多い方がいい。

ただ、あまり葬儀社の職員が表に立って何かをするというのではなく、どちらかというと今までのしきたりなどに則ったベースの部分を崩さずに、しっかりやっていきたいっていう感じです。

最近のご葬儀は、私たちが提案するものではありません。ご遺族様の方から「こうしたい」というケースが増えています。それらのご希望に応じて、ベースに枝葉を付けていけばいいと思います。

 

――お葬式のプランにはどのようなものがあるのですか?

実は、基本的には当JAではプランというのはありません。

「この式場でしたら、祭壇はいくらからになります」というかたちで、お棺も骨壺もすべて別売りなんです。必要なものを、ご希望にそって組み合わせていきます。

以前は全部、セットのプランにしていました。

例えば、100万の祭壇を選んだら、お棺はこれがついていて、骨壺はこれ、という具合です。でも、それで果たしてお客さんに違いをわかっていただけているのかな?っていう疑問もありました。

また、お葬式のセット販売について、その金額の整合性といったことが、業界中でも話題になっていたような気もしていました。

それならばうちは、1つずつやっていこうと。1つずつカタログで写真を見ていただいて、納得したものを決めていただければいいんじゃないかなと思いました。

 

――1つずつ決めていくのですね?けっこう大変ではないですか?

確かに、お打ち合わせということであれば、セットとした方が楽なのかもしれません。もう100万円セットなら、商品は自動的に決まってしまうのですから。

しかし、例えば骨壺とかセットのものではないものをお望みの方も、やはりいらっしゃるわけです。それなら最初から全部、お好みのものを決めていただいた方がいいのかなと。

お打ち合わせでいろいろとご説明する中で、時間をかけてお話しすることによって、お客さまとのコミュニケーションもとれていくと思います。

だいたいそうですね、ご葬儀のお話で1時間か1時間半くらいでお見積りもお出しできます。返礼品や飲食も、すべて含めてのお見積りです。

おそらくお棺にしても、骨壺にしてもそれぞれ、単価は抑えていると思います。

やはりJAというのは、組合員様へのサービスが根本にあります。組合員様のために、最大の奉仕をすることが目的です。

 

>>しきたり・風習・マナーから学ぶ 大分県のお葬式はこちら

 

葬儀会館でのイベント。ご年配の参加者にとっては、お孫さんにお化粧やヘアメイクをしてもらっているような感じになるんです

 

――最近のお葬式の傾向にはどのような変化がありますか?

やはり葬儀の形態は一般葬から、家族葬に移ってきているのは間違いのない事実です。感覚ですが、家族葬がおよそ4割を占めているように思います。

お客様のご要望としては漠然と「家族葬をしたい」とおっしゃる方が多いです。

ただ、ご遺族が「家族葬を希望します」とおっしゃった際には、家族葬に何を望んでいるのかを見極める必要があると思います。家族葬にはメリットもあれば、デメリットもたくさんあるわけですから。また、家族葬だから安いと勘違いされている方もいらっしゃいますが、内容によって費用は変わってきます。

大分では、関東のようにご葬儀を数日待つということはありません。翌日にはお通夜、翌々日が火葬。お亡くなりになった当日にお通夜、翌日にご葬儀ということもよくあります。ですから、家族葬をしたいという方の場合、きちんとご説明してご納得していただくためにも、事前相談をおすすめします。

 

――会館でのイベントなどは行っているのですか?

JAですので、組合員様へのイベントとしてですが、年に1回、「おもひでの写真撮影会」と題して、男女を問わず、髪のセットやお化粧をしていただき、一番輝いているご自分のお姿を写真に残していただこうと。プロのカメラマンが撮影する、お写真の撮影会を大々的にさせていただいています。これには、理容美容専門学校の生徒さんにも協力していただいていているんです。

 

――専門学校の生徒さんですか?

大分駅の近くにある明日香美容文化専門大学校の生徒さんに、着付けとヘアメイクをしてもらって、ご自分のお気に入りの写真を残すというかたちです。

ご年配の参加者にとっては、お孫さんにお化粧とか、ヘアメイクをしてもらっているような気分になるんですね。「もう、それだけでうれしい」と喜んでいただいて。若い学生さんにセットしてもらって、言葉を交わして。会場全体がアットホームな雰囲気になり、とても好評でした。

うちとしては、組合員様の皆様に喜んでいただける場を提供したかったですし、学生さんにとっても実習ができる場になります。

この企画は地域のテレビや新聞でも報道され、NHKでは全国ニュースとして取り上げていただきました。

 

――地域だけでなく世代間の交流も広がりますね。

この美容学校の方にはこれからも専属的にやっていただけるというお話もいただいています。そこからまた、すごい輪が広がらないかなと思っています。例えば、看護学校とか、写真撮影会にいらした方の健康診断をするとか。

このほかまだ企画の段階ではありますが、窯元の方にご協力いただいて、ご自分の骨壺を作っていただくツアーとか。先日、ある窯元に伺いましてご協力いただけるというお話もいただきました。今後、そうしたお話も形にしていきたいですね。

 

――ありがとうございました。

 

プリエール蓮華の杜の鬼塚センター長は、お葬式のお仕事をもう20年も続けているプロフェッショナル。

古くから伝わる地域のお葬式を大切にしながら、地域の人たちに若い方と高齢者と、世代を超えた新しいつながりの場も生み出しています。

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