献体ってなに?申し込み方法やその後の流れについて


献体とは、死後、遺体を学生が解剖学を学ぶための教材として提供することです。従来の医学科、歯科に加え、近年では作業療法士などを養成する保健学科でも、解剖実習を行うようになってきました。
昔と比べて解剖への忌避感が薄れてきたこともあり、この実習に役立ててもらおうと、献体を希望する人は増えつつあります。その反面、実際の手続きなどについてはあまり知られていないのが現実です。この記事では献体について、申し込み方法から全体の流れまで詳しくご説明します。

献体ってどんなことをいうの?

献体とは、無条件、無報酬で遺体を提供し、解剖学の教育、研究に役立てる行為です。解剖学は医学を発展させ、優秀な医師を養成するために欠かせないもので、またその篤志に感謝し、生命について考える機会を持つことで学生たちの倫理観を育てるものでもあります。
自分の死後に献体を希望する場合は、大学、もしくは関連団体に生前から登録しておかなければなりません。この時に肉親の同意が必要です。また、実際に遺体を提供するのは遺族であるため、献体の実施の際にも肉親をはじめとした関係者全員の同意が必要になります。逆に、本人の意思が確認できない場合、遺族の判断のみで献体を行うことはできないのです(臓器提供は家族の意志だけでも可能です)。登録前にしっかりと話し合って、それぞれの気持ちを確認し、理解を得ておきましょう。同意が必要な肉親の範囲は、配偶者、親、子、兄弟姉妹となります。身寄りのない方が献体される場合には、あらかじめ大学に相談してください。

献体を申し込む前に知っておきたいこと

ここで知っておきたいのは献体から遺骨の返還まで、かなりの時間がかかることです。
まず、解剖実習までの間に、防腐処理をする必要があり、これに3~6カ月程の期間がかかります。次に、実習は段階を踏んで行われるため、3~7カ月程の期間が必要です。さらに、解剖実習は大学ごとのカリキュラムに沿って行われるため、時期的に年度内の実習に間に合わないこともあります。その場合、翌年度の実習期間まで保管されることになるため、さらに期間がのびることになるのです。
実習の終了後には、遺体は大学側が火葬を行ったうえで遺骨の返還となります。しかしこのような事情から返還までには通常で1~2年、ときには3年ほどかかる場合もあるということをご理解ください。
このため、遺骨の返還までは遺髪などをまつりたい、という方は、そのむね大学に相談しておくことができます。

献体登録の申し込みの流れ

献体を希望する際には、次のような流れで申し込みを行います。まず医科、歯科大学、もしくは大学医学部か歯学部、あるいは関連団体に問い合わせます。必ず献体を希望する本人が連絡を行ってください。その後、申込書が送付されるので必要な事柄を記入し、捺印します。この時に、同意書への親族の署名・捺印が必要になるのです。記入漏れがなく、申し込み状況に問題がなければ通常は受理となり、献体登録証が登録先から発行されます。会員証には登録先の名称や連絡方法が記載されているため、なくさないように気を付けてください。献体登録をした証明書ですので、以降は不慮の事故にも備え、常に携帯するようにしましょう。
ここで最も大切なのは、親族から献体について十分な理解を得ておくことです。医学の発展のために献体を申し込むのは尊い志ですが、親族にとっては解剖が終わるまで遺骨が戻らないという重大な事態です。何より、大切な方の体が解剖されるということに大きなショックを受けられる方も少なくありません。また、葬儀や供養を十分にできないと考える方もいます。献体には本人の意思が尊重されることはもちろんですが、家族の同意が必要になることは法でも定められています。強引に事を進めても、理解が得られていなければ死後、親族が献体を辞退することもあり得るのです。献体を希望される方は、申し込みを行う前から自分の考えを打ち明け、よく話し合っておきましょう。

献体で謝礼がもらえる?葬儀代が浮く?

献体は無条件、無報酬で行うものです。そのため謝礼がもらえるということはありませんが、葬儀場から大学までの移送や、火葬の費用は大学側が負担してくれます。しかし、遺骨が親族の元へ戻るまで数年かかることは忘れないでください。お墓参りをしてもそこに遺骨がないことで、親族が複雑な思いを抱かれることもあります。中には献体に同意したことそのものを後悔し、気に病むあまりに体調を崩されてしまう方もいます。葬儀代が無料になるからと、安易な考えで献体を申し込まないようにしましょう。

献体は医学が発展する上で意義のあるもの

解剖の実習は医学、歯学を学ぶ学生にとってとても大切なものであり、ひいては医学の発展に大きな意味を持つものです。かつてはその道の先人たちが、死後もその身を医学に捧げることで賄われていましたが、そのため解剖の機会は非常に限られたものでした。その状況を見かねた心ある方々が申し出られたことから、献体制度は始まったのです。
献体は人のために役立ちたい、という思いそのものと言えます。献体に興味をお持ちの方は、その尊い意味を親族の方と一緒に考え、同意を得たうえで登録を行ってください。

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