あなたと共に六十年

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今は亡き夫へ

こんなに早くお別れの時が来ようとは考えてもいませんでしたのに。それは蝉しぐれのやかましい八月十日の昼下がりでした。

あれから十ヵ月が経とうとしています。

もう十ヵ月、いやまだ十ヵ月、何も考えられずに、時は過ぎていきました。

今は、故郷、安心院の墓地で、祖父母、父母に「おお、お前も来たか」と迎えられ、どんな話をしているのでしょうか。なつかしい人達に迎えられ、安らかに眠っていることと思います。

私達は、戦中・戦後の苦しい時代を生きぬいて来ましたね。学徒動員で軍需工場へ動員され、勉強もろくに出来ずに過ごしたものです。空襲で、一面焼け野原になった大分の町の様子は今でも忘れることが出来ません。

昭和三十九年に私達は結婚。あれから六十年平和な時代を、自由に生きて来られました。幸せだったとしみじみ思います。

しかし、最近、憲法九条云々とか……雲行きがあやしくなりそうで、心配になります。

子どもや孫の世代もずっと平和で、人間らしく生きられる時代が続くように祈っています。

いっしょに祈って下さいね。

さて、私、一人暮らしにも少しは馴れて来ました。

しかし、ご飯の時が一番わびしいです。朝のお味噌汁を「あぁ、おいしい」と言って食べていた声が聞けないんですもの。

おさしみも好物で、おいしそうによく食べましたね。

バランスを考え、なるべく好きなものをと考えるのは大変でしたが「あぁ、おいしかった」の一言に、幸せを味わわせて貰いました。

一人の食事って本当にわびしいものです。

犬のハナも、猫のシローも元気で、私の独り言の相手になってくれます。淋しさをまぎらわせてくれています。他の人が見たらきっと笑うでしょうね。

誰にだって、お別れは来ます。

でも、弟妹や地域の方々の力を借りて、もうしばらく頑張りたいと思います。

応援してくださいね。千の風になって励ましに来てください。

あなたとのいろいろな思い出と、やさしい笑顔を心の糧に生きて行きます。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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