60を前に事実婚から法律婚へ

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【連載】リアル・シニアライフ
この連載では、シニアライフにまつわる、人間関係、経済問題について、実際の生活者にヒアリングした結果を、個人の事情がわからないよう脚色し、ルポ形式でお伝えします。

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なんとなくの事実婚

「もう、かれこれ連れ添って20年くらいでしょうか」
そう話してくれたのは都内に住む50代後半のA子さんです。
一見普通のご夫婦に見えるA子さんご夫婦、じつはつい先日まで事実婚でした。
30を過ぎた頃に出会い、結婚の話しがでたことも昔はありましたが、お互い実家と折り合いが悪かったこともあり、色々面倒で、子供もできなかったのでそのまま事実婚を選んだというよりは、気づいたらこの歳になっていたというのが正直なところです。
特に困ることもありませんでしたし、こだわって事実婚を選んだわけではなかったんですよね。
ご近所の人は普通に夫婦だと思っている人が多いと思います。

転機は突然に

ある時、あの人が職場で怪我をして手術をすることになりました。
職場の方からの連絡で病院にかけつけたものの、手術の同意書になかなかサインさせてもらえず、唯一私が連絡先を知っているあの人のお姉さんに電話で病院と話してもらい、なんとか手術が行えた、ということがありました。
これまで、なんのトラブルもなく深く考えずにこの関係でいましたが、法的に夫婦でないというだけで、こんなことになってしまうのかと自分の無知さと無力さに肩を落としました。

このままで良いのか考える

そんなこともあり、初めて自分たちの関係について考えるきかっけになりました。
本当はもっと早くに考えるべきだったのですが、お恥ずかしい話です。
もう若いとは言えない年齢ですので、このまま事実婚を続けていくと、どちらかが入院や手術をする場合今回のように同意書にサインができない場合がほとんどのようです。
医療費の控除についても法的に夫婦でないので当然控除が受けられません。
また、さらに先の話ではありますがどちらかに介護が必要となった場合、公的サービスを利用したくても介護認定の申請なども事実婚では代理で行うのが難しいことが多いようです。
事実婚のほうが気楽でいいわと選んだわけではなく、なんとなくそのまま事実婚でズルズル、という私たちにはこのまま事実婚でいることはデメリットのほうが多いように思いました。

事実婚のメリット・デメリット

このままで良いのか考える上で、カップルごとに様々な事情があり、何をメリット・デメリットと感じるかは様々だとは思いますが、事実婚には自立したイメージがある、世間体、といった感情やイメージの部分をのぞいた事実婚のメリット・デメリットについて調べてみました。

まず、メリットを見ていきましょう。

事実婚は当たり前ですが、姓が変わりません。
姓にこだわりがある場合、現在の姓で積み上がったキャリアがある場合などは変わらないことはメリットになります。
銀行やクレジットカードの手続きひとつにしても姓の変更はなかなか面倒ですからね。
また、事実婚をしていても戸籍に載るわけではないので、当然解消しても戸籍には影響がありません。同棲やおつきあいを解消するのと同じです。
法的に結婚離婚を繰り返した場合、戸籍を見ると一目瞭然ですが、事実婚の場合は戸籍に影響がありません。気軽と言えば気軽ですね。

次はデメリットです。

今回の病院での出来事同様、公的手続きで面倒が多かったり、そもそも認められないことが多いです。
相続や配偶者控除といった金銭的な面でも享受が受けられない場合がほとんどです。
法的に結婚すると姓の変更で様々な手続きが面倒というそれだけの理由で事実婚を選んでいるのであれば、事実婚の場合の公的手続きはそれ以上に不便が多いので気をつけなければなりません。
内縁や事実婚という選択肢が世間で認知はされていますがまだまだ少数派である以上、仕方がないのかもしれません。
私の場合は関係ありませんでしたが、子供に関しては色々な問題が発生します。
事実婚の二人の間に子供ができた場合、非摘出児となり事実婚であろうがなんであろうが法律的な父子関係を持つには認知が必要です。認知をしないと父親とは赤の他人ですので相続もできません。
子供が大きくなるにつれて、子供自身が父親と姓が違うことや、両親の関係に疑問を持つこともあるかもしれませんし、場合によっては進学や子供の結婚など不便があることもあるでしょう。
二人の都合で事実婚を選んだ人でも、面倒ごとに子供を巻き込むの避けたいですよね。私たちももし子供ができていたら法的に結婚するかもしれないな、とは思っていました。

晴れて法的に夫婦に

もう、お互いの両親もおりませんし、法的に夫婦になることに特に弊害はありませんでした。
なぜ今までズルズルと事実婚だったのだろうと、今となっては不思議です(笑)
それくらい、何も考えずに生活していたんですね。
今回のあの人の入院は私たちにとって本当に良いきっかけになりました。
今更苗字が変わったのは少し恥ずかしい気もしますが、紙切れ一枚でいろんなことがスムーズに進むのであればもっと早く籍をいれておけば良かったです。
配偶者控除で少しだけ税金もお得になりました。

シニアの事実婚

もし、私たちのようになんとなくズルズルと内縁関係にある方達がいるならば、若いうちは自由で気楽で良いかもしれないけれど、病気や怪我で入院することや介護、万が一の時のことを考えておふたりの関係について今一度考えてみることをおすすめします。
まだまだ法的に夫婦でないと手続きができなかったり面倒なことが多いのが現実です。
私たちのようなシニア世代にこそ法的な夫婦関係は重要になってくるのかもしれません。

まとめ

事実婚のメリット 事実婚のデメリット
  • 夫婦別姓が可能
  • 事実婚を解消した時に、戸籍に影響がない
  • 年金の受取が認められない
  • 相続の配偶者控除
  • 身元引受人として認められにくい

シニアライフを平穏に過ごすにはパートナーの存在は重要です。とはいえ、戸籍の問題は子どもたちなど家族も巻き込みます。よく相談して決めるのがいいでしょう。

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