お通夜の香典マナー!相場金額や表書き、香典袋の書き方を解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

お通夜の香典マナー!相場金額や表書き、香典袋の書き方を解説
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  • お通夜の香典の相場は、故人との関係性と自分の年齢によって変わる
  • 香典袋と表書きは、故人の宗教・宗派、包む金額にあわせて選ぶ
  • お通夜・葬儀両方に参列するときは、香典は通夜で渡すのがマナー

香典袋の選び方と表書きの書き方は、故人の宗教・宗派や金額によって異なるので注意が必要。正しい知識を身につけることで、突然の訃報にも慌てず対応できます。

この記事では、お通夜における香典袋の正しい選び方や書き方、香典の相場、渡すタイミング、お通夜に参加できない時の香典の渡し方などを解説します。

≫ 香典の基本知識をまとめて知りたい方はこちら

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お通夜に持参する香典袋の選び方

お通夜に持参する香典袋は、故人の宗旨宗派や金額にあわせて用意します。

日本では仏式葬儀が多く執り行われていて、仏式以外の香典袋を用意した経験のない方もいるでしょう。まずは、香典袋や水引の選び方について解説します。

香典袋:故人の宗教にあわせて選ぶ

宗教別の香典袋

お通夜に持参する香典袋は、故人の宗教・宗派にあわせて選ぶのがマナーです。

仏式では、白無地か蓮の花が描かれた香典袋を選ぶのが一般的。キリスト教では、十字架やユリが描かれた封筒、もしくは無地の封筒を使用します。神道では、白色で無地の香典袋を用意しましょう。もし、故人の宗旨宗派が分からなければ、白色の無地で水引がない香典袋を選ぶと、マナー違反になる心配がありません。

香典袋は、故人の宗旨宗派によって用意すべき種類が違うので、事前に遺族や喪主に確認するのが大切です。

水引:故人の宗教・金額にあわせて選ぶ

香典袋に使用される水引は、故人の宗教と包む金額に合わせて選びましょう

仏式では白黒の水引、神式では双銀の水引を選び、キリスト教では水引は使用しません。なお、関西などの一部地域では、黄白の水引が使用されることがあります。

香典袋に包む金額によっては、印刷ではなく本物の水引を用意するのが大切です。水引と金額が釣り合っていないと、失礼にあたる場合があるため注意してください。以下に、金額別に水引の選び方を表にまとめました。香典の金額を確認してから、使用するべき水引を選びましょう。

香典の金額水引の種類
約3千円~5千円印刷された水引
約1万円~2万円黒白の本物の水引
約3万円~5万円黒白または双銀のあわじ結びの水引
約6万円~10万円銀色のあわじ結びの水引
10万円未満:中金封の香典袋
10万円以上:大金封の香典袋

お通夜に持参する香典袋の表書きと書き方

香典袋(外袋・内袋)の書き方

香典袋の表書きは、故人の宗旨宗派によって書き分けなければなりません。また、中袋がある場合とない場合で対応が変わります。

ここからは、お通夜に持参する香典袋の表書きの書き方とマナーを解説します。

表書き:故人の宗旨宗派によって違う

  • 一般的な仏式:御霊前
  • 浄土真宗:御仏前
  • キリスト教:御花料
  • 神式:玉串料
  • 無宗派・宗派不明:御香典

表書きは故人の宗旨宗派によって異なるため、正しいマナーを覚えておきましょう。

例えば浄土真宗では、人は亡くなるとすぐに成仏して仏になる「即身成仏」という教えがあります。そのため故人が浄土真宗なら、通夜に持参する香典の表書きは「御仏前」です。

また、表書きに使用する文房具は、薄墨の筆ペンを使用するのが一般的。薄墨の筆ペンには「突然の訃報によって墨をする時間がなかった」「悲しみの涙で墨が薄まった」という意味があります。筆ペンを用意するのが難しい場合は、黒色のサインペンでも代用可能です。

外袋:表書きの下に氏名を書く

  • 個人:水引下段中央に姓名を記入。会社名等も一緒に記載する場合は、名前の右上に書く
  • 2人:水引下段中央に代表者の姓名、左側にもう1人の姓名を記入。夫婦連名の場合、夫が代表者となり妻の苗字は省略して記載する
  • 3人:香典袋の中央から左側に向かって、立場が高い順に全員の姓名を記入
  • 4人以上:右側に会社名・団体名、中央に代表者の姓名、左側に小さく「他一同」と記入。会社名等が無いときは代表者名と「他一同」のみ

香典の外袋には、表書きの下に香典を出す方の姓名を書きます。人数によって書き方が違うため、確認しておきましょう。

中袋:金額・住所・氏名を書く

中袋の表面には、香典に包んだ金額を記入します。このとき、中袋中央に旧字体の漢数字を縦書きにして記載しましょう。また、金額の前には「金」を、後ろには「也」と書きます。例えば、1万円を旧漢数字で書くなら「金壱萬圓也」とします。その他の旧漢数字の書き方は、以下の通りです。

  • 3千円:参仟圓
  • 5千円:伍仟圓
  • 1万円:壱萬圓
  • 3万円:参萬圓
  • 10万円:拾萬圓

中袋の裏面には、郵便番号、住所、氏名を記入しましょう。喪主や遺族は、中袋の情報をもとに香典返しやお礼状の手配を行うため、分かりやすく丁寧な字で記載してください。

中袋なしの場合:外袋の裏側に住所・氏名を書く

香典袋には、中袋がない種類もあります。中袋が付いていない香典袋の場合は、外袋の裏面に住所・氏名を記載しましょう。水引より下の封筒左側に少し小さい文字で住所・氏名を記入します。番地なども漢数字で書いてください。

地域によっては、中袋を使用しないのが正しいマナーです。なぜなら、袋が二重になると「不幸が重なるため縁起が悪い」という考えがあるから。事前に喪主や遺族、年配者などに中袋を使用してマナー違反にならないか確認しておくと安心でしょう。

お通夜に持参する香典の相場金額

家族・親族

20代30代40代50代〜
3万円〜10万円5万円〜10万円5万円〜10万円5万円〜10万円以上
祖父母1万円〜2万円1万円〜5万円3万円〜5万円3万円〜5万円以上
兄弟・姉妹3万円〜5万円3万円〜5万円5万円5万円
おじ・おば5千円~2万円1万円〜3万円1万円〜3万円2万円~3万円
その他の親戚5千円~1万円5千円~1万円5千円~2万円5千円~2万円

会社・職場関係者

20代30代40代50代〜
会社の上司5千円5千円〜1万円5千円〜1万円5千円〜1万円
会社の同僚5千円5千円〜1万円5千円〜1万円5千円〜1万円
会社の部下5千円5千円5千円〜1万円5千円〜1万円
取引先関係5千円5千円~1万円5千円~1万円5千円~1万円

友人・知人・ご近所の方

20代30代40代50代〜
友人・知人5千円5千円〜1万円5千円〜1万円5千円〜1万円
ご近所3千円~5千円3千円~1万円3千円~1万円5千円~1万円
知人の家族3千円~5千円3千円~1万円3千円~1万円5千円~1万円

故人との関係性・本人の年齢ごとの香典相場を表にまとめました。

香典の金額は故人との関係性で異なり、故人と血の繋がりが濃いほど高額になるのが一般的です。また自身の年齢によっても金額が変わり、年代が上になるほど金額が高くなります。

故人を偲ぶ気持ちが強いがゆえに高額な金額を包む方もいますが、多すぎる金額はかえって遺族に気を遣わせて負担となります。そのため、香典に包むお金はあくまで相場内に収めるのが大切です。

≫ 香典の相場金額は?年齢・関係性・法要別に包むお金の目安を紹介

お通夜に持参する香典のお金の向き・入れ方

香典に入れるお金は、紙幣の向きを揃えたり新札を避けたりと、いくつかマナーがあります。また香典の閉じ方や袱紗の包み方にも配慮が必要です。

ここからは、香典袋へのお金の入れ方や閉じ方、袱紗の包み方を解説します。

お金の入れ方:肖像画を裏向き・下側に入れる

お通夜に持参する香典袋にお札を入れるとき、新札の使用は避けましょう。新札は「不幸が起きることを予想し、あらかじめ用意していた」と受け取られる可能性があるためです。新札しかない場合は、軽く折り目をつけて包むのがマナーです。また、汚れが酷かったり折り目が多すぎる紙幣を包んだりするのも遺族に対して失礼にあたるため、注意してください。

香典袋に複数枚のお金を入れる場合は、遺族がお金を数えやすいようにお札の向きを揃えます。また、お札を香典袋に入れるときは、肖像画を裏向きにして人物が描かれた方を下側にしてください。お札を裏にして人物の顔を伏せるのは、お悔みの気持ちを表すためです。

香典の閉じ方:糊付けや封をしない

香典袋は、糊付けや封をしないようにしましょう。なぜなら、遺族が開封に手間取ることを避けるためです。香典袋を購入したとき、付属品としてシールが付いていることがありますが、シールも貼らないようにします。遺族に対する配慮として、作業の負担を減らすのが大切です。

香典袋には、封筒だけではなく和紙で折り込むタイプもあります。和紙で香典を包む際は、左右から折り込んで、最後に裏の折り込み口を上から下へ被せるように折りましょう。これには、故人を亡くした悲しみの涙を溜め込まないように、という意味があります。

≫ 香典の正しい入れ方は?中袋なしの作法や香典袋の閉じ方、書き方など

袱紗の包み方:左開きになるように包む

袱紗の形には金封袱紗、風呂敷袱紗、爪付き袱紗、台付き袱紗の4種類があります。金封袱紗は二つ折りタイプの袱紗で、中のポケットに香典を挟むだけなので簡単に取り出すことが可能です。世代を問わず人気のあるタイプですが、略式であるため相手との関係性や場面によって使い分けるのが重要。本来、正式に使用するのは風呂敷袱紗とされています。大人のマナーとして持っておくと良いでしょう。

袱紗で香典を包むときは、左開きになるようにします。風呂敷袱紗の包み方として、まず袱紗を裏向きで起き、その上に香典を表書きが読める方向にし、中央よりもやや右側寄りに置きます。次に右側を中に折り込み、下側と上側を折り込み、続いて残った左側を折って包めば完成です。

お通夜に持参する香典の渡し方とタイミング

香典を渡すタイミングは、お通夜か葬儀のどちらかにするのが一般的です。また、香典の渡し方は、状況によって作法や手順が異なります。

ここでは、香典を渡すタイミングや、香典の渡し方について解説します。

香典を渡すタイミングと渡し方・手順

香典袋を、むき出しの状態で持参するのはマナー違反です。香典袋は紙でできているため、そのままジャケットの内ポケットやカバンなどに入れると、形が崩れたり汚れたりする恐れがあります。故人・遺族に礼儀や敬意を表すためにも、袱紗に包んで持っていきましょう

香典は、会場の受付で渡すのが一般的です。お通夜の会場に到着したら、まず受付へ向かい記帳を済ませましょう。次に受付台の上に袱紗を置き、左手で香典を取り出します。両手で持ちながら相手側から正しく表書きが読めるよう、香典袋を反時計回りに180度回転させます。両手を添えたまま、静かな声でお悔やみの言葉を伝えて一礼しましょう。

お悔みの言葉は、簡潔に済ませるのがマナーです。長々と言葉を重ねたり受付周辺で話し込んでいると、対応に追われている遺族や他の参列者の迷惑になるためよくありません。香典を渡し終えたら、すみやかに受付から離れましょう。

≫ 香典の渡し方とタイミング、お悔やみの言葉のマナー

会場に受付がない場合

家族葬をはじめとする小規模な葬儀では、会場に受付がないかもしれません。受付が見当たらない場合は、遺族に直接手渡しするか、会場スタッフに香典を渡します。香典を渡すときは、相手の前で袱紗を開き、お盆や台の上に置いて差し出します。お盆や台が無い場合は、袱紗を折りたたんで台の代わりにしましょう。

自宅で通夜が行われる場合

自宅で通夜が行われる場合は、遺族に挨拶するタイミングでお悔みの言葉を述べながら香典を渡すか、御霊前へのお供え物として置きます。香典を渡す手順は、前述した内容と変わりません。御霊前に香典を供える場合は、自分から見て正面の方向になるように置きましょう。

お通夜と葬儀、両方に参列する場合

通夜と葬儀、両方に参列する場合は、お通夜で渡すのが一般的です。ただし、突然の訃報で香典の準備が間に合わない場合は、葬儀で渡しても問題ありません。お通夜と葬儀の両方で香典を渡すのは、「不幸が重なる」ことを連想させるため避けてください。

香典を渡すときのお悔やみの言葉

香典を渡す時に適切なお悔やみの言葉は、宗教によって異なります

仏教の通夜では「ご冥福をお祈りいたします」が適していて、故人が安らかに眠り、穏やかな転生を遂げることを願う言葉です。

キリスト教の通夜では、「天国で安らかにお眠りになられることをお祈りしています」になります。キリスト教では、死は神に召されることを意味し、祝福すべきものとして捉えられています。そのため、悔やまれるという言葉は適しません。

神道の通夜では、「御霊のご平安をお祈り申し上げます」になります。神道では、故人は家の新たな守護神となってその家に留まると考えられており、「ご冥福」や「成仏」といった仏教用語は使用しません。

宗教や宗派が分からない場合は、「謹んでお悔やみ申し上げます」などにしましょう。宗教関係なく使用できるため、覚えておいて損はありません。

お通夜に参列できないときの香典の渡し方

仕事や家庭の事情により、お通夜や葬儀に参列できないこともあるでしょう。たとえ参列できなくても、香典を遺族に送り届けて弔意を示したいものです。

ここでは、お通夜に参列できないときの香典の渡し方について解説します。

代理人を立てる

故人の訃報は突発的なので、香典を代理人に託す行為はマナー違反にはなりません。香典を代理で渡す場合は、遺族に前もって知らせておきましょう。事前の知らせがないと遺族が混乱する可能性があるためです。

代理人は、まず受付係や遺族に誰の代理なのかを簡潔に伝えてください。それから、マナーにのっとって香典を渡します。記帳する際は、依頼主の名前と住所を記載し、名前の下に小さく(代)と書きます。配偶者の代理人である場合は、(内)と記入しましょう。代理人の名前も記帳するよう言われたら、(代)や(内)の下に代理人の名前を記入します。

現金書留で郵送する

住まいが遠方といった理由でお通夜や葬儀に参加できない場合は、現金書留で郵送する方法もあります。香典を郵送するときは、現金書留を利用しましょう。当然ですが、現金書留郵便以外での現金の送付は認められていません。香典を送る際に、お詫びの手紙を添えて置くとより丁寧です。現金書留封筒に香典袋を入れて郵送しましょう。

送るタイミングは、お通夜か葬儀の当日に間に合うのであれば問題ありません。会場によっては現金書留を受け取っていない場合もあるため、事前確認が必要です。もし会場に送れないなら、葬儀が終了して1週間後から1ヶ月以内に届くよう喪主の家に送りましょう。

後日弔問して香典を渡す

お通夜や葬儀に間に合わないため、後日弔問して香典を渡す場合は、葬儀後3日後から四十九日法要までの間が望ましいです。弔問する前に、必ず遺族に確認しておくのが大切です。もし、弔問を断られたら遺族の意志を尊重しましょう。

弔問するときの服装は、略喪服を着用します。遺族の自宅に到着したら、まずは玄関先でお悔みの言葉と挨拶(自己紹介)を述べます。その後、遺族に促されてから自宅にあがりましょう。遺族が家の中に上がることを嫌がる場合は、玄関先で香典を手渡してそのまま帰宅します。

香典だけ渡して帰る

お通夜に参加できないけれど、香典だけでも自分で渡したいという場合は、喪服を着用した状態でお通夜が始まる前に受付で渡しましょう。突然の訃報でどうしても都合がつかないことはよくあるので、香典だけ渡して帰っても失礼にはあたりません。忙しくても香典を渡すために足を運ぶことは、故人を偲ぶ気持ちの現れといえるでしょう。

香典と一緒に、参列できなかったお詫びの言葉を添えた手紙を同封することで、より誠意が伝わります。香典を渡すタイミングは、お通夜が開始する30分前が良いです。開始時間が近くなるほど参列者が増えて受付が混みあうため、早めに行動することをおすすめします。

香典を辞退されたときの対処法

喪主や遺族から香典は必要ないと伝えられた場合は、無理に渡す必要はありません。強引に香典を渡そうとすると失礼になる可能性があるため、相手の意志を尊重しましょう

遺族が香典を辞退する理由は、主に2つあります。1つ目は、参列者に負担をかけたくないという、故人や遺族側の配慮によるケース。2つ目は、香典返しの手間をなくしたいケースです。慣習として、遺族は香典を受け取ったら、参列者に返礼品を用意する必要があります。その負担を減らすために、あえて香典を辞退するご家庭も存在します。

どうしても弔意を示したい場合は、供物や供花を贈るのがおすすめです。供物は日持ちする個包装の菓子折りなどが良いでしょう。供物や供花も辞退しているのであれば、何もせず遺族の意志を尊重しましょう。

香典のマナーを守ってお通夜に参列しよう

お通夜に持参する香典袋は、宗教や宗派、金額に合わせて選ぶのが大切です。水引は香典に包む金額に合わせて種類を選びましょう。また香典袋に入れるお金は、新札は避けて折り目のついた汚れのない紙幣を使用します。お札を香典袋に入れる際は、向きを揃えるのがマナーです。

香典を渡すタイミングは、お通夜か葬儀のどちらかにし、両日に渡すことがないようにしましょう。お通夜や葬儀に参列できない場合は、代理人を立てたり現金書留で郵送したりなど、香典を送り届ける方法もあります。もし遺族から香典を断られたら、相手の意志を尊重して無理に渡さないようにしてください。

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