土地・不動産を相続したら?必要な手続きと書類、注意点を解説

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4つの質問で必要な手続きがわかる

記事を先読み
  • 土地・不動産の相続には相続登記をはじめとする手続きが必要
  • 土地は路線価方式か倍率方式、家屋は固定資産税評価額で評価確認
  • 不動産だけを相続放棄することはできない

土地や家屋などの不動産を相続するときの流れや手続き、相続税の計算式などを解説します。

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不動産相続の手続きと流れ

  1. 遺言書の確認
  2. 相続人と財産の確定
  3. 遺産分割協議
  4. 遺産の名義変更(相続登記)
  5. 相続税の申告・納付

1.遺言書の確認

被相続人が亡くなったら、最初に遺言書を確認してください。遺言書は被相続人の遺志が書かれているため、基本的には遺言に従って遺産が相続されます。遺言書は、自宅だけでなく貸金庫、法務局、公証役場などに預けられている可能性もあるので、探してみましょう。

2.相続人と財産の確定

遺言書の確認を進めながら、相続人と相続財産を確定します。

相続人を確定するために、被相続人の誕生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて調査しましょう。遺産分割協議後に新たな相続人が見つかった場合、やり直しになるかもしれません。養子や婚外子など、新たな相続人がいないか確認してください。

相続人が確定したら、被相続人の財産をすべて洗い出し、財産目録を作成します。

不動産財産は、年に1度市区町村から届く「固定資産税課税明細書」で確認可能です。課税明細書がない場合は、不動産のある市区町村で「名寄帳」の写しか「固定資産評価証明書」を取得します。

3.遺産分割協議

被相続人が遺言書を残していない場合は、相続人全員で遺産分割協議をして、財産をどう分けるか話し合います。全員が合意したら、遺産分割の内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。

4.遺産の名義変更(相続登記)

遺産分割協議を終えたら、相続した不動産の名義変更をします。

不動産の名義を被相続人から相続人に変更するには、相続登記を行わなければなりません。不動産を管轄している法務局に相続登記の申請をしましょう。

5.相続税の申告・納付

相続税は相続財産に課せられる税金で、相続開始を知った日の翌日から10か月以内の申告・納付が必要です。期限を過ぎると加算税や延滞税がかかる可能性があるので、気を付けてください。

相続した不動産・土地の分割方法

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 共有名義

現物分割

現物分割は、個々の財産をそのままの形で相続人に振り分ける方法。たとえば、相続人が2人で遺産が家1軒・土地1筆のとき、1人は家、1人は土地を相続します。分け方と手続きがわかりやすくて簡単なため、もっともよく選ばれている分割方法です。

ただし不動産によって時価額が異なるので、相続人全員が納得して分割を決める必要があります。

代償分割

代償分割は、家や土地などの現物を相続した相続人が、法定相続分の少ない相続人に他の財産を与える方法。たとえば、相続人が兄弟2人で3000万円の不動産を兄が相続する場合、兄は弟へ1500万円の代償金(または同等の財産)を渡します。

現物分割と違って相続人全員で公平に遺産分割できますが、現物を受け取った相続人が代償金を支払えることが前提です。

換価分割

換価分割は、土地や不動産を売却して現金を相続人で分割する方法です。相続人が相続された家や土地の受け取りを望んでいない場合に、よく選ばれています。相続人全員で公平に遺産を分割できて、代償分割のように誰かが代償金を支払う必要がありません。

一方で、親族の理解を得るのが難しかったり、不動産の売却に手間や費用がかかったりする可能性があります。

共有名義

複数の相続人で財産を共有するのも、不動産・土地の分割方法のひとつ。不動産を共有名義にするためには、個々の相続人が所有する割合を決めて相続登記します。

ただし共有名義は、不動産の取扱いが複雑になるので避けた方が無難です。たとえば、共有名義だと、不動産の処分をするときに相続人全員の同意が必要。家の住居権や固定資産税の支払い、共有名義人の相続などの問題もあるため、十分に検討してから選択しましょう。

相続税の計算式と計算方法

路線価が定められていない場合の土地は、倍率方式で計算します。
  1. 課税価格の合計額(正味の遺産額)を計算する
  2. 課税される遺産の総額(課税遺産総額)を計算する
  3. 各法定相続人の法定相続分の取得金額を計算する
  4. 相続税の総額の基となる税額を算出する
  5. 相続税の総額を計算する
  6. 財産を取得した各法定相続人ごとの税額を計算する
  7. 各法定相続人の納付税額を計算する

参考:No.4152相続税の計算|国税庁

1.課税価格の合計額(正味の遺産額)を計算する

各法定相続人の課税価格の合計=課税価格の合計額(正味の遺産額)

各法定相続人の課税価格の合計は、不動産や預貯金、株式といったすべての相続財産から、非課税財産や債務、葬式費用などを引いて純資産価額を算出します。相続開始前3年以内の贈与財産の価額がある場合は、純資産価額に加算してください。

2.課税される遺産の総額(課税遺産総額)を計算する

課税価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)
課税遺産総額

課税される遺産の総額(課税遺産総額)は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて求めます。基礎控除額の計算式は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。課税遺産総額がゼロまたはマイナスになった場合は、相続税はかかりません。

3.各法定相続人の法定相続分の取得金額を計算する

課税遺産総額÷各法定相続人の法定相続割合
各法定相続人の法定相続分の取得金額(千円未満切り捨て)

課税遺産総額を、各法定相続人の法定相続割合で割って、相続人ごとの法定相続分の取得金額を算出します。

4.相続税の総額の基となる税額を算出する

各法定相続人の法定相続分の取得金額×税率=算出税額

各法定相続人の法定相続分の取得金額、それぞれに税率をかけて各法定相続人ごとの算出税額を算出します。

5.相続税の総額を計算する

各法定相続人ごとの算出税額の合計=相続税の総額

各法定相続人ごとの算出税額をすべて合計すると、相続税の総額がわかります。

6.財産を取得した各法定相続人ごとの税額を計算する

相続税の総額×各法定相続人の課税価格÷課税価格の合計額
各法定相続人等の税額

各法定相続人の課税価格に応じて、課税価格の合計額を割り、各法定相続人等の税額を算出します。

7.各法定相続人の納付税額を計算する

各法定相続人等の税額-各種の税額控除額=各法定相続人の納付税額

各法定相続人等の税額から、各種控除を差し引くことで各法定相続人の納付税額がわかります。

不動産・土地の評価方法。路線価方式と倍率方式

不動産を相続する上で注意すべきポイント

不動産を相続するときは、不動産の評価額を確認しなければなりません。土地は路線価方式か倍率方式、家屋は固定資産税評価額で不動産評価を確認します。

ここでは、路線価方式か倍率方式、2つの評価方法について解説します。

路線価方式

路線価方式とは、相続した土地に面する路線価に基づいて不動産評価を算出する方法。路線価とは、道路に面する宅地の1平方メートルあたりの価額(千円単位)で、地域によって定められています。

評価額は、路線価に土地の形状および立地などの要素を加えて修正された数値。一般的に不便な立地だったり、奥まった場所にあったりする土地は、補正率が加えられ評価額が低くなり、角地などの土地は加算率が加えられ、評価額が高くなります。

路線価は、国税省のホームページに公開されている路線価図を確認すれば誰でも調べられます。全国の道路が閲覧できるので、相続する土地の路線価を事前にチェックしておくとよいでしょう。

倍率方式

相続する土地に路線価が定められていない場合は、倍率方式で計算します。倍率方式とは、固定資産税評価額に地域で設定された倍率をかけて評価額を算出する方法です。

評価倍率表も、国税局のホームページで毎年公開されています。

評価額には、建物を所有しているが土地を借りているケースや、貸家を建て他人に貸しているケースなどもあり、最終的な評価額は借地権割合と自用地を掛けて計算します。借地権割合は、地域ごとに決められている評価倍率表とともに記載されているので確認してみましょう。

相続登記の手続き方法と必要書類

相続登記の手続き方法

  1. 登記申請書の作成
  2. 登記申請書の提出
  3. 登記完了

相続登記の書類を作成し、不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)に提出すると、登記識別情報を記載した登記完了証及び登記識別情報通知書が交付されます。提出方法は、直接窓口に持ち込むほか、郵送またはオンラインでも可能です。

相続登記に必要な書類

  • 登記申請書
  • 戸籍の証明書
    • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
    • 相続人全員の戸籍謄本
  • 住所を証明する書類
    • 相続人全員の住民票の写し
  • 被相続人の登記上の住所が戸籍の証明書と異なる場合
    • 故人の住民票の写し
    • 故人の住民票の除票の写し
    • 故人の戸籍の附票の写し

参考:法務省:不動産を相続した方へ~相続登記・遺産分割を進めましょう~

不動産相続4つのポイント

1.相続登記はなるべく早く終わらせる

不動産を相続して売却するときに限らず、相続した家に相続人が住み続ける場合も、相続登記はなるべく早く済ませましょう

手続きが面倒なら、司法書士にすべて任せてしまうのもひとつの手です。自分で相続登記するとなると、さまざまな書類を自分で用意しなければいけないため時間がかかります。

司法書士への報酬は平均5~10万円。間違いなく相続登記を終わらせたい方は、相続に詳しい司法書士に問い合わせてみましょう。市町村が開催する司法書士無料相談会があれば、そこで聞いてみるのもおすすめです。

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2.確定申告を忘れずに行う

相続した不動産でも、売却後は確定申告が必要です。

確定申告で、住宅の取得費と売却にかかった手数料よりも売却益が大きかったときは「譲渡所得税」の対象になります。これを知らずに確定申告を忘れると、知らないうちに「脱税」していたことになってしまいます。追徴課税を取られることもあるので、不動産を売却したときには忘れず管轄の税務署にて確定申告を行いましょう。

3.相続人が複数いるときは代表者が対応する

相続人が複数いるとき、不動産の売却を完了するまで全員で話し合うのは難しいかもしれません。相続登記および持分登記をしたあとは、代表者が対応するとよいでしょう。

相続した不動産の近くに住む相続人が望ましいですが、不動産業者との打ち合わせに対応できる相続人を代表にすることをおすすめします。

4.相続税を払ってから売却したときは特例を活用する

相続税を支払ってから不動産を売却したとき、相続税の申告期限から3年を経過するまでであれば譲渡所得税が軽減されます。

たとえば、Aさんが相続税として1,000万円を納め、うち土地分の相続税額が300万円だったとします。いったん相続した土地を売却したときは、譲渡所得税の計算式「取得金額」に300万円を加算できます。これにより売却額が小さくなるため、結果、譲渡所得税も少なく済むという特例です。

不動産が思ったよりも高く売却できたときには、ぜひこの特例を活用しましょう。

ケース別!土地・不動産売却の注意点

不動産を相続時に売却するとき

相続した不動産を売却するのはよくある方法です。相続と同時に不動産を売却すれば、手間がかからないうえに相続トラブルを防げます。

たとえば法定相続人が3人いて、現金や株券が3,000万円、不動産が5,000万円ある場合。8,000万円を3人で均等に分けると、1人あたり約2700万円です。しかし1人が不動産を受け取ると、残りの2人は金融資産3000万円を分けることになり、不公平です。

この場合は、財産を代償分割か換価分割をするのが一般的。

代償分割なら、家をもらった相続人は2300万円を残りの2人に支払います。手元にお金がなく支払えない場合は、換価分割するために不動産を売却して現金を3人で分けましょう。

相続した不動産の売却には、法定相続人すべての同意が必要です。もしすべての相続人の同意が得られないときは、司法書士や弁護士といった専門家に相談してみるのもひとつの方法。

売却前には不動産を相続したことを示す「相続登記」を行います。換価分割で相続人が売却益を均等に分けるときは、すべての相続人が同じ割合で不動産を所有できるよう持分登記もあわせて行います。登記については司法書士に依頼するとスムーズでしょう。

不動産を相続後に売却するとき

不動産を相続し、時間が経ってから売却するときは、まず相続登記を行ってください。多くの相続人は、相続時に不動産の所有者変更を示す相続登記を行っていませんが、売却時には必ず相続登記されていなければなりません。

相続登記していない不動産は売却後の所有者変更ができないため、不動産業者に売却を依頼しようとしても引き受けてもらえない可能性があります。

相続登記が完了したあと、不動産仲介業者に売却を依頼しましょう。仲介による売却では、不動産業者に支払う仲介手数料が必要なこと、不動産がすぐ売れるとは限らないことに注意してください。

不動産が売却できない時の処分方法

不動産を売却するとき、不動産業者に仲介を断られる可能性はゼロではありません。

たとえば、古すぎて買い手が見つからなかったり、土地に面する道路が狭くて建て替えが困難だったりする不動産は、不動産業者の手に負えないケースがあります。

不動産業者に仲介を断られたときは「不動産買取業者」に買取りを依頼してみましょう。大手ハウスメーカーも買取・再販に積極的なので、諦めず、まずは問い合わせてみるのがおすすめ。不動産買取はすぐに買い取ってもらえますが、仲介による売却より安い価格になりやすい点には注意です。

ちなみに不動産が売却も買取もできないとき、安易に相続放棄をするのは危険です。

相続放棄をすると、不動産だけでなく、現金や株券の相続権も失います。不動産だけを相続放棄することはできませんし、相続した不動産が倒壊したり他社に損害を与えたりしたときは、法定相続人が損害賠償責任を負わなければいけません。

また、相続発生を知った時点から3か月以内に申し立てなければ相続放棄できなくなります。とても難しい問題ですので「相続に強い」弁護士に相談するとよいでしょう。

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相続した土地を売却せずに所有しているリスクとは?

まず、土地を相続したことで「相続税」が発生します。相続税を相続人が払えれば問題ないですが、土地が広かったり、評価額が高かったりして相続税が高いと、数百万円から数千万円かかります。

また、土地を所有し続けることで、毎年「固定資産税」を払わなければなりません。建物であれば、利用者や入居者の賃貸料等で収入を得られますが、土地だけだと収入は発生しないため、余計な支出が増えてしまいます。

土地・不動産相続のご相談はいい相続へ

土地・不動産の相続は、遺産の分割や相続税の計算、手続きなどが煩雑。また相続人が複数いたり、評価額が一定でなかったりすると、遺産分割協議も難しくなりやすいです。

手続きに時間や手間もかかるので、必要に応じてプロの専門家に頼ることも視野にいれましょう。

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