相続税と生前贈与について

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相続税対策として生前贈与を活用するという話は、聞いたことがある方も多いと思います。

生前(お元気なうち)に推定相続人等(※)に財産を譲り、財産の総額を減らしておくことで、将来相続が発生したときにかかる相続税をおさえようとする対策がこれにあたります。

しかし、贈与をするにも「贈与税」という税金がかかります。さらには、贈与税の方が相続税よりも税率が高く設定されております。

ですから、相続税対策として生前贈与を行う際は、基本的に贈与税の「非課税枠(年間110万円)」を上手に利用することがポイントになります。やり方を間違えると、節税したつもりがかえって多くの税金を納めなければならない事態になりかねません。

そこで今回は、相続税対策として生前贈与を活用する要点についてご紹介いたします。

※贈与は推定相続人以外の人にもすることができます。

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被相続人の死亡による相続税の申告・納税期限

いわゆる被相続人の死亡による相続で財産を取得した人は、取得した財産に対し相続税が発生します。その申告期限は被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内となります(通常は亡くなった日の翌日から10ヶ月以内)。

また、納税の期限も同様に被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。相続の発生後には様々な手続きがあり、相続財産の確定には時間を要する場合もありますので、申告・納税の期限に間に合うように各種手続きを進める必要があります。

管轄の税務署から相続人の代表者に申告の有無のお尋ねが送られてくる場合もありますが、申告・納税が必要な場合であっても税務署からは何も届かない場合もありますので、まずは相続が発生したら相続税の申告・納税とその期限「被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内」という事を押さえておきましょう。

相続税の申告・納税までのステップ

相続税の申告・納税までの期限は被相続人の死亡の翌日から10ヶ月以内と申し上げましたが、それまでに下記のような手続きが必要となりますので、参考にしてください。

1.相続人の確定

被相続人の戸籍謄本を収集して相続人の確定を行います。

▶もっと相続人と相続税の関係を知りたい方は「法定相続人で相続税が無税になる?」の記事がおすすめです。

2.遺言書の有無の確認

遺言書が残されている場合はその指示に従い遺産を分割しますので、遺言書の有無を確認します。自宅等に遺言書が残されていた場合には開封せずに裁判所で検認を受ける必要があります。

3.被相続人の財産の調査

財産にはプラスの財産だけでなく負債などのマイナスの財産も有ります。どのくらいの財産があるか調査をして目録や一覧表などを作成します。

4.相続財産(遺産)の評価

相続税法と財産評価基本通達により定められた相続税のかかる財産の評価に基づき、相続財産の評価を行います。

5.相続財産(遺産)の分割

遺言書が無い場合の相続財産の分割については、相続人全員で行う遺産分割協議により、財産の分け方を決定します。また、その協議内容は遺産分割協議書にまとめます。

(相続人の中に未成年者がいる場合、裁判所により特別代理人の選任を受ける必要がある場合があります。この場合には特別代理人がその未成年者に代わり、遺産分割協議を行います。)

6.相続税の申告と納税

被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税を行います。

※期限までに遺産分割が決定しなかった場合は、民法による法定相続分で財産を取得したものとして一旦、未分割で相続税申告を行うことになります。

贈与税の非課税枠を利用しましょう

基礎控除

一般贈与は、その金額に応じて課税されますが、年間110万円までなら税金がかかりません。

この非課税枠の範囲で毎年少しずつ財産を贈与していくというのが、相続税対策としての生前贈与としては最も一般的に行われている方法です。

1年間で110万円でも、10年、15年と年数をかければ、1000万円単位で相続財産を減らすことができ、結果的に効果的な相続税対策になり得ます。

例えば子供が3人いる人でしたら、子供たちにそれぞれ110万円ずつ10年間贈与を続ければ3300万円を非課税で贈与することができます。

ここで注意したいのは、非課税枠の110万円は、受贈者(贈与される側)1人が贈与される金額だということです。

例えば、祖父・祖母からそれぞれ110万円の贈与があった場合、合計で1年間に受けた贈与が220万円となり、基礎控除の110万円を超えてしまうので贈与税の対象となります。

生前贈与手続き方法のポイント「現金・不動産・株式・税金」注意点は?【税理士監修】 | いい相続|相続手続きの無料相談と相続に強い専門家紹介
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相続時精算課税の特例

60歳以上の親や祖父母から、20歳以上の子供や孫への贈与は、一度の贈与額が2,500万円までなら控除できるという特例です。

この特例は一般贈与との選択制であり、利用するためには税務署に届出が必要になります。また、一度相続時精算課税の特例を利用してしまうと、一般贈与に戻ることはできませんので注意が必要です。

この制度を利用して贈与された財産は、相続が発生したときに相続財産に加えて相続税の計算がされるため、確実に将来の相続税申告が見込まれる場合には、相続税対策としては、ほとんど効果がありませんので特例の使用には検討が必要です。

夫婦間の居住用不動産購入のための贈与

夫婦間の居住用不動産購入のための贈与は2,000万円まで控除できます。

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自分の住居用の不動産の購入に限り、贈与額が2,000万円まで控除できます。

一般贈与の基礎控除額110万円とは別に利用することができますが、この控除は一度しか使うことができません。このほか、贈与税はかかりませんが、固定資産の取得税や登録免許税などが高額となりますので、どうしても今すぐに不動産を渡したいという方以外にはあまりお勧めは出来ません。

直系尊属から、受遺者の教育資金の一括贈与

受贈者の年齢が30歳までであること、受遺者の教育資金のための贈与であることという条件がありますが、信託会社を利用することで1500万円までの贈与が非課税で行う事ができます。ここでいう、直系尊属というのは、親、祖父、祖母、曾祖母、曾祖父等があたります。

この贈与には、信託会社との契約が必要になりますが、受贈者が受け取る贈与額が1500万円まで控除になりますので相続税対策に活用することも可能です。

生前贈与を行う際のポイント

贈与は早めに始めること

なぜかというと、相続が始まった日から3年以内の贈与は、相続財産として計算されるという制度があるためです。

被相続人が亡くなる前3年間に行われた贈与は、相続財産として計算され相続税の課税対象になります。(贈与が行われた際に贈与税を納めている場合は、算出された相続税から引くことが出来ます。)

この制度が適用されるのは、受贈者が相続人となる場合です。孫など、受贈者が法定相続人ではない場合は、これに当てはまりません。ただし、孫に財産を相続させる内容の遺言していた場合は孫が相続人と認められるため、この制度の対象となります。

贈与の証明ができるようにしておくこと

贈与の証明のために、贈与のたびに贈与証明書を作るのが簡単な方法です。

贈与は契約です。贈与者と受贈者の合意があって、贈与が成立すると考えられます。

例えば、子供のためにとこっそり子供名義の口座を作って、そこに毎年110万円ずつ振り込むというのは、贈与とは認められません。

贈与の証明に一番簡単なのは、贈与のたびに贈与契約書を作ることです。家族の中で契約書を作るのはなんだか違和感があるという方もいるかもしれませんが、贈与に「必要なもの」として捉えて作成することをお勧めします。

贈与したお金は、受贈者が自由に使える状態にすること

受贈者名義の口座に振り込みをしても、通帳や印鑑を贈与者が管理している状態ですと、贈与とは認められません。(受贈者が未成年の場合はこの限りではありません)

いかがでしたでしょうか。相続税対策として生前贈与を活用するポイントを簡単にご説明いたしました。

はじめに「生前贈与の非課税枠を上手に利用することが、基本的な相続税対策になります」書きましたが、贈与税が発生したとしてもそれを最小限におさえることで、結果的に納税額を最小限にすることが出来るケースもあります。

ぜひ一度、ご自分の総財産と相続税・贈与税を計算し、最適な方法を探ってみてください。

行政書士法人オーシャン代表取締役 黒田 泰(くろだ ひろし)https://ocean-souzoku.com/

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