故人の葬儀後、しばらくして役所から住民税の納付書が届くケースがあります。すでに亡くなっている人の住民税なので、間違いなのでは?と思うかもしれませんが、これは間違いではありません。
ここでは、死亡した人の住民税について、誰がどのように納付するのか解説します。
目次
死亡した人の住民税はどうなる?課税はいつまで?

1月1日より前に亡くなった:死亡した年度の住民税が残っている場合は納税
(例)令和5年11月に亡くなった:令和5年分の住民税が残っている場合は納税
1月2日以降に亡くなった:死亡した年度の納税義務が生じる
(例)令和6年2月に亡くなった:令和6年分の住民税を納税
住民税は、その年の1月1日に住民登録のある自治体で、前年の所得に基づいて課税されるのが基本。1月1日の状況によって課税されるため、1月1日に生存していて一定の所得がある方には納税義務が生じます。
そのため、1月1日より前に亡くなった人は、死亡した翌年度の納税義務はありません。1月2日以降に亡くなったのであれば、前年度の所得に基づいて住民税が課税されます。
例えば、令和5年の11月に死亡した場合、令和6年1月1日より前なので令和6年分の住民税は徴収されません。ただし、令和5年分の住民税が残っている場合は納付しなければなりません。
死亡した人の住民税を納めるのは誰?
亡くなった方の住民税は、相続人が納税する必要があります。故人の遺産を正式に引き継いだ人に納める義務があり、原則として回避はできません。
遺産相続と聞くと、現金や土地などの資産を引き継ぐイメージですが、実は借金なども相続することになります。故人の住民税も負の遺産として相続するため、納税義務が生じるのです。
死亡退職した人の住民税は遺族が納付する
死亡により退職が決まった方の住民税は相続財産になるため、相続人が納付します。
死亡した人の住民税を納める方法
故人が「普通徴収」で住民税を納税していた場合
- 個人事業主
- 退職後に就職していない
- 特別徴収から普通徴収に切り替えが認められた
など、故人が給与所得者でなく「普通徴収」で住民税を納税していた場合、役所から送られてくる納付書で納めます。
納付書は毎年6月頃に送付されますが、納税者が亡くなっている場合、税金を納める相続人代表者を決めて役所へ届出を行います。納付書があれば、銀行や郵便局、コンビニなどでの納税も可能です。
亡くなった方の居住地によっても変わるので、管轄の役所へ問い合わせてみるとよいでしょう。
故人が「特別徴収」で住民税を納税していた場合

故人が給与や年金から天引きされる「特別徴収」で住民税を納税していた場合、差し引かれていない金額は個人で納付する「普通徴収」に切り替わり、相続人代表者に納税通知書が送られてきます。納付書の指示に従い、所定の方法で支払いを済ませてください。
死亡した人の住民税を納めないとどうなる?
亡くなった方の住民税は、正式な相続人に納税義務が生じます。故人の住民税を納税せず、そのまま放置すると、延滞税が発生する恐れがあります。本来納めるべき住民税の金額に、延滞税が加算されてしまうので注意してください。
納税通知書は故人が亡くなってしばらく経ってから届くため、「だいぶ前に亡くなっているのだから関係ない」と放置してしまうご家族は少なくありません。延滞税で余計なお金を納めることにならないよう、納税通知書が送られてきたときは期限までにきちんと納めましょう。
死亡した人の住民税の相続放棄はできる?

相続人は、借金や住民税といった、故人の負の遺産も引き継がなければなりません。
しかし、相続放棄や限定承認を行うと状況は変わります。
相続放棄とは、相続する権利をすべて放棄すること。現金や預貯金、土地などプラスの資産を相続できなくなりますが、マイナスの遺産も放棄できます。住民税も対象となるので、相続放棄をすれば、相続人に亡くなった方の住民税を納める義務はありません。
また限定承認とは、相続によって得た財産を限度として負の遺産を承継する方法です。
いずれを選択する場合も、相続開始を知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に申述しなくてはなりません。申述する家庭裁判所は、被相続人が最後に暮らしていた住所を管轄する裁判所です。
必要な書類は、申述書や被相続人の住民票、戸籍の附票、申述人の戸籍謄本などがあります。家庭裁判所の公式ホームページでチェックできますが、個人で行うには大変な手続きなので、まずは管轄の家庭裁判所か専門家へ相談されるのがおすすめです。
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死亡した人の住民税でよくある質問

死亡した翌年の住民税はどうなる?
住民税は、毎年1月1日に住民登録のある人に対して、前年の所得に基づいて課税されます。死亡した年度分の住民税は相続人が残りの税額を支払いますが、翌年分は課税されません。
(例)令和5年11月に死亡した場合
令和5年1月1日時点では住民登録があるので、令和5年分の納税義務が生じる
令和6年1月1日時点では住民登録がないので、令和6年分の支払い義務は生じない
年金受給者が死亡したときも住民税を払う?
年金は「雑所得」のため、住民税の課税対象。亡くなった方が年金受給者でも、相続人は住民税を支払わなければなりません。
年金受給者は、年金から住民税が差し引かれる「特別徴収」で納税していますが、死亡後は「普通徴収」に切り替わります。相続人代表者に納税通知書が送られてくるので、忘れず納付しましょう。
故人の住民税や相続のお悩みなら「いい相続」へ
亡くなった方の住民税は相続人に納税義務が生じるので、通知書に従って、期日までに納付しなければなりません。相続放棄や限定承認をすれば回避もできますが、故人の遺産状況やご家族の事情によって、何が最善の選択肢なのかは異なります。
住民税だけでなく、故人の遺産相続についてお悩みがありましたら、「いい相続」へぜひご相談ください。「いい相続」はいい葬儀の姉妹サイトで、相続に強い士業を無料で紹介するサービスです。相続についての疑問や不安がありましたら、お電話・メールでお気軽に相談を受け付けております。