除籍謄本とは?取り方・取れる人・必要な場面を解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

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  • 除籍謄本とは除籍した人全員の身分と除籍理由が記録された書類
  • 故人の本籍地の役所で、除籍謄本に記載されている人が取得できる
  • 除籍謄本は、主に相続手続きや遺産の名義変更で必要になる

除籍謄本とは、戸籍に在籍していた人全員が抜け、空の戸籍になったことを証明する書類。主に故人の財産名義変更や相続で必要になり、煩雑な手続きを要するケースもあります。

この記事では、除籍謄本の概要や取得方法、注意点などを解説します。

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除籍謄本とは?

婚姻や転籍、死亡などで戸籍から人が全員いなくなると、戸籍は閉鎖されます。戸籍が閉鎖されたあと、身分証明が必要になったとき取得するのが除籍謄本です。

除籍謄本は、戸籍に誰も在籍していないことを証明する書類。在籍していた人が全員抜けた戸籍を「除籍」、除籍記録の写しを「除籍謄本」と呼びます。除籍謄本には、婚姻や転籍、死亡などで除籍した人、全員の身分と除籍理由が記録されています。保管期間は、全員が除籍になった年度の翌年から150年間です。

なお、紙の除籍は「除籍謄本」電子(コンピュータ)化された除籍は「除籍全部事項証明書」。体裁は違いますが、どちらも除籍の内容を証明できます。

除籍謄本と戸籍謄本、改正原戸籍謄本の違い

  • 除籍謄本:全員が除籍されている戸籍の写し
  • 戸籍謄本:現在人が在籍している戸籍の写し
  • 改正原戸籍謄本:戸籍法改正前の戸籍の写し

除籍謄本は、婚姻や転籍、死亡などで全員が除籍され、閉鎖された戸籍の写し。戸籍謄本は、現在存命している人が在籍している戸籍の写しです。故人の死亡を証明するとき、故人が生前在籍していた戸籍に誰もいないなら除籍謄本、誰かいるなら戸籍謄本を取得します。

また改正原戸籍謄本は、戸籍法改正前の戸籍の写しです。直近だと1994年にコンピュータ化があったため、それ以前の戸籍は改正原戸籍謄本になります。

戸籍謄本だけだと必要な情報をすべて取得できないときに、除籍謄本や改正原戸籍謄本が必要です。

除籍謄本と除籍抄本の違い

謄本は「原本の記載内容すべての写し」、抄本は「原本の一部の写し」を指しています。

そのため、除籍謄本は戸籍に在籍していた全員の除籍情報、除籍抄本は戸籍に在籍していた個人の除籍情報が記載されています。

除籍謄本の取り方

取る場所:故人の本籍地の役所

取る手段:役所の窓口 or 郵送

取れる人:除籍謄本に記載されている人

必要書類

  • 戸籍証明等請求書
  • 本人確認書類
  • 手数料750円/1通 など

除籍謄本を取れる場所と手段

除籍謄本の請求ができるのは、故人の本籍のある市区町村の役所だけ。市区町村役所の窓口か、郵送で取得できます。戸籍謄本と違って、コンビニでは取得できないので気をつけてください。

故人の住民票がある場所と本籍地が異なる場合、居住地の役所では除籍謄本を請求できないので注意が必要。郵送で手続きをすると、発行まで時間がかかるので余裕をもって申請しましょう。

故人の本籍地がわからないときは「死体埋火葬許可証」か、住所地の役所で「本籍地・筆頭者記載の住民票の除票」を取ると確認できます。

除籍謄本を取れる人

除籍謄本を取れるのは、原則として除籍謄本に記載されている人のみ。故人と同じ戸籍に入っていた配偶者や父母、祖父母、子ども、孫などが該当します。

除籍謄本の取得に必要な書類

窓口で申請する場合

  • 戸籍証明等請求書
  • 本人確認書類(パスポート・運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 手数料750円/1通

戸籍証明等請求書は、役所の窓口か公式ホームページでダウンロードして取得します。1通あたり750円手数料がかかるため、必要なお金と本人確認書類を用意しておきましょう。

また、故人の戸籍に入っていない場合は続柄を確認できる戸籍謄本などの書類が、税理士や司法書士に提出を依頼する場合は委任状が別に必要になります。自治体によって請求方法や必要書類が違うこともあるので、該当市区町村の役所に確認しておくと安心です。

郵送で申請する場合

  • 戸籍証明等請求書
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードの写しなど。パスポート不可)
  • 定額小為替750円/1通
  • 返信用封筒1通(切手を貼り付け)

本籍地が遠い場合は、郵送で除籍謄本を取得できます。

窓口と同様、戸籍証明等請求書と本人確認書類の写しは必須。また、手数料として1通につき750円の定額小為替切手を貼り付けた返信用封筒を、忘れずに同封してください。

除籍謄本は何に使う?必要になるシーン

  • 遺産の相続人調査
  • 故人の不動産の名義変更(不動産登記)
  • 故人の生命保険金の受取
  • 相続税の申告
  • 故人の銀行預金の名義変更
  • 故人の株式の名義変更
  • 故人の自動車の名義変更

相続するときは、故人、つまり被相続人にどのような相続人がいるか調査しなければなりません。相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本をすべて取得して相続人を調べます。さらに、相続人全員の戸除籍謄本も集める必要があります。

その他、除籍謄本は、故人の遺産相続や遺産の名義変更などに必要となる書類です。

除籍謄本を取る際の注意点

除籍謄本に反映されるまで1~2週間かかる

亡くなった人を除籍するには、役所に死亡届を提出して手続きしてもらう必要があります。反映されるまで1〜2週間かかるので、除籍謄本はすぐに取得できないと覚えておきましょう。

古い除籍謄本は読むのが難しい

除籍謄本の保存期間は、全員が除籍になった年度の翌年から150年間。古い除籍謄本だと、毛筆で書かれていたり、旧字体だったり、文字が小さかったりして読めないことも珍しくありません。

正確に読み解くのが難しいときは、弁護士や行政書士、司法書士などの専門家に依頼するのもひとつの手です。

出生から死亡まで連続した謄本が必要

相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本をすべて取得します。抜け漏れがあると相続人を見落とすかもしれないため、戸除籍謄本の日付・期間は連続していなければなりません

戸除籍謄本を集めるときは、日付・期間が連続しているか確認するようにしてください。

相続手続きの期日に間に合わせる

  • 遺言書の確認・検認(被相続人の死亡後3か月以内)
  • 相続人・相続財産の調査(3か月以内)
  • 遺産分割協議(3か月以内)
  • 相続放棄(3か月以内)
  • 相続税の申告・納税(10か月以内)

親や家族が亡くなったときの相続手続きには、期限が設けられています。相続人調査や遺産分割協議、相続放棄は被相続人の死亡後3か月以内に対応が必要。また相続税の申告・納税は10か月以内です。期日に間に合わないと、望んでいない負債を抱えたり、相続税の延滞税・無申告加算税が発生したりするかもしれません。

被相続人によっては、除籍謄本の取得や解読に時間がかかるので、余裕をもって取得してください。また、司法書士や行政書士、弁護士などの専門家に頼ることも検討しましょう。

相続手続きにお困りの方は「いい相続」へ

相続手続きでは、除籍謄本以外にも、相続人を確定するためにさまざまな証明書類が必要です。

生前故人が戸籍を移動していると、複数の自治体の役所に謄本を請求しなければなりません。市町村の統廃合で本籍の地名が変わっている場合は、変更後の地名を調べて請求する必要があります。さらに相続後も、名義や所有権変更などで除籍謄本の提出を求められる場面は少なくありません。

もちろん個人でも対応できますが、役所が開いている時間に赴いたり、手続きの時間を割いたりするのが難しい場合は、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に代行してもらうのもひとつの手です。

専門家に相続手続きを依頼すると、戸籍関係の書類集めも業務内容・費用に含まれることがほとんど。相続に関する疑問や不安をいつでも相談できますし、安心して相続手続きを進められます。

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