父さんが「馬鹿だから」と結婚に反対した夫は、優しく気配りがあって、月命日には必ずお参りし、仏前には好物を欠かさず上げてくれてるよ

今は亡きあの人へ伝えたい言葉
Adsense(SYASOH_PJ-195)

今は亡き父へ

もっと生きていてほしかった

私、一度も言った事なかったけれど、教員だった父さんの事、尊敬していたんだよ。

だけど、教員だったがゆえに、彼の学生時代の成績が丸わかりで「馬鹿だから」って、結婚に反対したよね。私だって、父さんの賢さが遺伝しないで頭が悪かったのに、この時は、人間性を見ないで、どちらが馬鹿なんだろうと、さすがにがっかりしたよ。

彼は、父さんの嫌味攻撃にも耐え、色々あったけど、立派な方を間に立てて、頑固な頭を砕いてくれた。結婚して息子ができてからは、自分に男の子がいなかったので、とても可愛がってくれて嬉しかった。

七十半ばで、末期の肺がんで逝った時は、「どうして気づいてあげられなかったのか」と自分を責めた。私一人が、余命告知を受けて、黙っていたのが、ずっと苦しかったよ。思ってもいなかっただろう、あの世行きが突然訪れて、何も言わず涙を流して逝ってしまった無念の顔が、未だに頭から離れないんだ。大切な人が居なくなるっていうのは、こんなにも切ないんだと改めて思った。

父さんが馬鹿だと言った夫は、優しく気配りがあって、仏壇もお墓も立派なものを用意してくれて、月命日には必ずお参りし、仏前には好物を欠かさず上げ、こまめに尽くしてくれている。

あれから十年、父さんが心残りだった母さんは、認知症を発症して、私達は、イライラもあり、どうしようもなく心が苦しくなる時があるけれど、みんな一生懸命介護している。お陰で母さんも穏やかに過ごす事が出来、父さんも知っての通り、ズボラな私はずいぶん助かっている。

父さん、彼みたいな人は、そういないよ。

これからも、私たちは馬鹿なりに考えて一生懸命生きていくから、あの世から応援してよね。そして、幸せでいられますように、ずっと見守っていて下さい。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

葬儀・お葬式を地域から探す