生命保険とは、万が一病気やケガをしたときに、入院・通院費に充当したり、生活費を保障したりするものです。そして、不幸にもご家族が亡くなられた場合には、遺されたご家族の生活費に充てることもできます。生命保険は、さまざまな商品が販売されていますが、どのタイプを選べばよいのかについては、個々の家庭事情によって異なります。
ここでは、生命保険の種類と選び方についてご紹介します。
目次
生命保険の種類
公益財団法人生命保険文化センターでは、生命保険を次のように位置づけています。
- 大勢の人が保険料を負担し、給付を受ける仕組み
- 死亡や病気・ケガ、介護などへの備え
- 将来のための資金の備え
これを裏づけるように、同センターが平成28年に行った「生活保障に関する調査」によると、日本人のおよそ8割の人が生命保険に加入しているという結果が出ました。
また、性・年齢別では、男女とも40代から50代の加入率が高くなっています。これは、教育費・住宅ローンなどを抱えることが多い働き盛りの世代であり、万が一の事態に備えておかなくては、という心構えの表れといえます。
ひとくちに生命保険といっても、種類がいくつか分かれています。まずは特徴を確認しましょう。
生命保険の基本型
生命保険には、3つの基本型があります。
定期保険
いわゆる「掛け捨て型」と呼ばれるものです。保障の期間があらかじめ決まっていて、期間中に解約してもお金が戻らないことが多いです。保険料が割安なのが特徴です。
養老保険
定期保険と同じように、保障の期間が決まっていますが、期間満了時に満期金を受け取ることができます。貯蓄性が高い分、保険料も高くなります。
終身保険
満期がなく、保障が一生続きます。途中で解約した場合には、契約に応じた解約返戻金も支払われます。何歳になっても、死亡時に保険金が支払われるのがメリットですが、その分、保険料は定期・養老保険よりも高くなります。
ここで必ず覚えておきたいのは、生命保険は保障期間のみ保障が有効になるという点です。終身保険に加入していれば、保障が一生続きますが、定期保険と養老保険は、保障期間を1日でも過ぎると保障が受けられなくなるのです。なので、自分が希望する保障期間と、生命保険の保障期間が一致しているかどうか、確かめることが必要です。
死亡保険とは
死亡保険とは、病気やケガなどで死亡または高度障害になった場合に、死亡保険金や高度障害保険金が受け取れる保険で、生命保険の契約に含まれるものの一つです。死亡保険にしか加入していない方が入院した場合は、入院に対する保険金は支払われません(医療特約をつけている場合は、支払われる場合もあります)。
先にご紹介した3つの基本型の中でも、死亡保険がついているものとそうでないものがありますので、契約の際に確認しましょう。
死亡保険を選ぶときのポイント
死亡保険の保障内容は、保険会社によって異なる場合がありますが、どのようなことに重点を置いて選べばよいのでしょうか。
掛け捨てにするか、貯蓄性を重視するか?
掛け捨て型(定期保険)と貯蓄性のあるもの(終身保険)では、同じ保障内容でも、終身保険の方がかなり高額になります。
ただ、終身保険は、保険料はずっと変わりませんが、定期保険の場合は、更新時の年齢で保険料が決まるため、更新時に保険料が上がることが多いです。また、入院・手術などをすると、保障期間終了後に更新をしようと思っても、保険の更新条件が変わってくる場合もあります。
ライフサイクルに応じた、適正な保険になっているか?
それぞれの家庭の考え方にもよりますが、例えば子どもが生まれたばかりであったり、大学進学などでお金がかかることが分かっていたりする世代の場合は、万が一のための保険金も多く受け取れるように契約しておく必要があるかもしれません。反対に、子どもが自立したり、自身が定年を迎えたりするなど、時間が経過すると必要なお金も変わってきます。
また、住宅ローンを組む際に、団体信用保険(団信)に加入する場合には、それが生命保険の役割を果たすことがありますので、ここでも内容を見直すことができます。死亡保険の見直しは、人生の節目(就職、結婚、出産、住宅購入、定年退職など)には行っておきたいものです。
特約の内容はどうなっているか?
特約とは、保険の主契約に追加して加入するオプションです。特約にはたくさんの種類があり、保険会社によって取り扱いが異なりますので、自分が必要とする特約が付加されているか、加入時にしっかり確認してください。
死亡保険の受取時、税金はかかるのか
死亡保険金は、まとまった額で受け取ることがほとんどですが、受け取った保険金には税金がかかります。ケースによって、かかる税金が違います。
所得税が課税される場合
保険料を払っていた人と受け取る人が同じとき。受け取りの方法によって、一時所得または雑所得として課税されます。
相続税が課税される場合
亡くなられた方が保険料を支払っていたとき。このケースでは、受取人=相続人であれば、相続により取得したものとみなされ、相続人以外の方が受取人であるときは、遺贈(遺言によって、財産を無償で譲ること)により取得したものとみなされます。
贈与税が課税される場合
亡くなられた方、保険料を支払っていた方、保険金を受け取る方がすべて違うとき。
いずれの場合も、保険金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。
家族間トラブルを回避!もしもの時に役立つ保険契約
生命保険金にしておく利点として、預貯金と違い、自分が亡くなった後に口座を凍結されることがありません。10ヵ月後の相続税の支払い時に現金として利用することができます。
不動産などは配偶者や老後の世話をしてくれた子供に残すことができますが、不動産にも相続税はかかります。
不動産を現金化して平等に分けることができないケースも多々ありますので、保険金を準備しておくことは、相続した人がトラブルに巻き込まれないためのベストな方法です。
預貯金で現金を残せば良いという考えもありますが、非課税枠の節税効果を考慮すれば、現金で残すより生命保険にしておいた方がよいのではないでしょうか?
トラブル回避のために、必ず遺言に残しておくことも忘れないようにしましょう。
相続税対策に適した生命保険のプランとは?
相続税対策に入るべき保険は、生命保険なら何でも良い訳ではありません。最も適した生命保険はズバリ「終身保険」です。
定期保険や養老保険など死亡保障が一定期間に限られた保険は満期になると保険金が受け取れないリスクがあります。
死亡時に保険金が受け取れる終身保険がベストです。
また、保障は一生涯でも、保険金が満期を過ぎると減っていくプランはお勧めできません。
これから加入するなら保険金が一定金額保障された終身保険を選びましょう。
ただし、健康上に問題があると加入できない恐れがあるので、病気になる前に加入することが大事です。
また、契約者や受取人が誰かによって相続税の対象にならない場合があるので、契約者と被保険者、受取人を誰にするかをしっかりと考えましょう。
遺産相続のことに関しては、いい葬儀の姉妹サイト「いい相続」でも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。