【プロが語る】2017年4月、お給料UP!?介護職員処遇改善加算リニューアル


さて、突然ですが新聞に、介護職員さん、保育士さんの給与が「〇万円上がる!」という記事を読んだことはないでしょうか?

去年もよく載っていましたので、記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。

これ、一体どういうことなのでしょうか?

今回は、今年の4月からリニューアルされる介護職員処遇改善加算について話をしたいと思います。

 

働き手が足りない、介護の世界

介護や保育、障がい分野は、労働者が足りません。

本当に必要な仕事ですし、やりがいはあるけれど、「激務なんでしょ?」と思われています。

特に、介護業界は、入社3年以内に、7割の方が退職することもあり(残った3割の方が、介護福祉士の受験資格を手に入れて、受験されます)、なかなか人が職場に定着していません、とても残念なことですが……。

また、他の業界と比べても、平均賃金が、10万円低く、「低賃金でこき使われる」というイメージをよく聴きます。

現場で働いている感覚からすると、このあたりは誤解も多いと思っているのですが、ただ給与額というのは就職する上での判断材料になるのは確かですよね。

これでは、介護業界に人が集まらない!という危機感から、厚労省は平成21年度から、この介護職員処遇改善交付金という制度を始めました(のちに介護職員処遇改善加算に変更になりました)。

この交付金を活用することで、他業界と介護業界の賃金の差を徐々に埋めていくように、介護職員の昇給のみにしか使えない「交付金」を支給しました。

交付金時代(平成21年度後半から平成23年度まで)は税金で、加算金時代(24年度から現在まで)は介護報酬の中に組み込まれました。

当初は(21年度から26年度まで)、基準月と比べて、15,000円の増額に、27年度から28年度はさらに12,000円プラスされ計27,000円の増額になり、さらにさらに今年4月から10,000円をプラスされ、計37,000円の増額になります。

今年4月の増額は、本来は30年4月からの予定だったものを1年間前倒しし、実施されることになりました。

それだけ国も、危機感をもっているんでしょうね。

 

介護職員の昇給にしか使えないお金

この制度を単純に言うと、この加算を利用する前の賃金の水準と、加算を利用した賃金の水準を比べて、月額37,000円の差があることが求められています。

この加算額は、介護職員の昇給にしか使えないお金です。

社長さんからすると、使いにくいお金でもあります。

昇給は、基本給を改善するのが良いと言われていますが、実際は賞与などの一時金や手当で対応している事業所さんが多いと思います。

ちなみに、この加算を取得すると、毎年1回実績報告書を提出することになります。

この書類の作成が、なかなか手間が掛かって大変なのです。社長さんが頭を抱える仕事の1つのようです。

よく間違えられますが、これは、全職員の給与を一律に37,000円を上げる制度ではありません

 

昇給度合いは人それぞれ……

給与を決める要因は、常勤、非常勤、役職者、資格保持者、勤務年数などなど、さまざまなものがありますから、人によってはこの改善期間に10万円以上昇給している人も居れば、入社したばかりの人であれば、0円昇給の人も居ます。

ちなみに37,000円という数字はあくまでも平均の値です。

事業所で働く人数によって、この37,000円の額は異なることになります。

会社ごとに、昇給の中身を具体的に決めることができますから、勤務年数が長く、資格保持者で、管理職となると、それなりに昇給すると思いますし、非常勤で、資格を持っていない場合は、あまり昇給しないケースもあるかもしれません。

この加算は、1ヶ月の介護報酬の〇%を、処遇改善加算として毎月の介護報酬に上乗せして支給し、その加算金を介護職員の給与として支給することになっています。

例えば、デイサービスは、今年の4月から4.3%→5.9%に、ホームヘルプであれば、10.0%→13.7%に変更になります。
サービス毎に、〇%が違います。0.8%~13.7%まで開きがあります。

介護報酬が月額300万のデイサービスであれば、4月からこの介護報酬の5.9%(約18万円)が処遇改善加算になり、318万円が報酬として支給されます。

この18万円を、毎月の介護職員の昇給分に当てることになります。

もし、対象者が4名であれば、1人平均4.5万円になりますが、対象者が6名であれば、平均3万円になります。

最後に、今年の4月からの変更点ですが、新しい加算区分ができたので、4区分→5区分になります。

今までの加算要件より、多少厳しくなります。

 

昇給の3つの仕組み

今までも「職位・職責・職務内容等」に応じた賃金体系を定められていましたが、どのような場合に、昇給するか?が明らかではなかったため、29年4月からは「事業者において①~③のいずれかに応じた昇給の仕組みを設けることを、新たに要件とする」ことが決まりました。

なお、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備すること、全ての介護職員へこのルールを周知することを含んでいます。

また、昇給の方式は、基本給、手当、賞与等を問いません。

その3つの仕組みとは?

 

①「経験に応じて昇給する仕組み」
→ 「勤続年数」、「経験年数」などに応じて昇給する仕組み
②「資格等に応じて昇給する仕組み」
→ 「介護福祉士」、「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組み
③「一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」
→ 「実技試験」、「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組み(客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する)

 

③はハードルが高いこともあり、②を中心として整備する事業所さんが多いかと思います。

具体的な対策としては、今まで作成されていた、キャリアパス表に①②③のどれかの条件を付け加えて、想定される賃金額も併せて記載することで条件はクリアできると思います(就業規則に載せていない場合は、規定を載せてください)。

このように明記することで、離職を防ぐ仕組みの1つになります。

介護職員さんが、これからどんな資格を取ったり、どれくらい働くと、どのように昇給するのか?もらえる賃金はいくらか?を知ることができるようになるのです。

なお、来年度の改善計画書は、いつもの2月末の締切から4月15日に延期されています。それまでに準備をしてください。

 

この変更点について、詳しく知りたい方は開業社会保険労務士専門誌 SR第45号(平成29年2月5日発売)に私が、「介護職員処遇改善加算の29年度の変更点と営業提案法」という記事を書いています。

社労士さん向けの雑誌ですが、実地指導対策についてもポイントをお知らせしています。

キャリアパス表の見本も載せています。

 

 

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橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

医療法人で人事・総務・行政対応等、総務人事全般を経験。実地指導や監査対応も場数をこなし、対応策などについては独自の視点も交えながら的確なアドバイスに定評あり。また、ディマティーニ・メソッドの導入により、介護現場のモチベーションアップを後方支援。マネジメント研究に日々取り組んでいる。