貴方へ

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今は亡き夫へ

博志さん、突然のお別れをしてから、もう十八年経ちました。

熊谷市にある保泉寺さんに御縁を頂いて墓所を持った時に「姉さん女房の私からお先に入らせて頂きますね」と話し合いましたね。

無類のアルコールと、女性大好き人間の貴方には、ほとほと手を焼きましたが……。

「ひとりっ子の息子が結婚する時は、元気で父親の役目を果たして下さい」という、私との約束は守ってくれました。

結婚式のお礼の言葉もキチンと述べてくれて……。私は嬉し涙が止まりませんでした。

その息子は、突然の事態にも落ち着いて貴方の葬儀を取り仕切りました。会葬者皆様への謝辞も済ませて、貴方の兄弟から「よくがんばったな」と、肩を叩かれていました。

あの時四歳だった孫の太郎は、異様な状態に「怖いよ」とママの膝から離れなかったけど……、もう成人式も済みました。

別室で泣き続けていた生後六ヵ月だった桃も今年は高校を卒業。お兄ちゃんよりもしっかりした娘に成長しました。

貴方がかわいがっていた直美は、ママの仕事と両立して、介護の仕事一筋に、ケアマネージャーの資格も取得しています。

家族も怪我や病気もしますが、それなりに生きています。

今の私は家族と貴方のお墓参りに行くのが楽しみの一つです。

息子と太郎は、貴方のDNA通り、同じような生き方をしています。但し、太郎はアルコール類は一切駄目ですが……。

以上、報告オワリます。

私が貴方に伝えたいことは唯一つ、「お別れの時、側に居なかった」という淋しさです。

私にブツブツ言われると「死ぬ時はお前に迷惑をかけないから……」。

その言葉通りに逝ってしまった貴方。私の大切な人です。

生きていた時も、旅立ちの時も< 私に無関心みたいな貴方ですが、六十年前の「交換日記」に残っている二人の心は変らないと信じています。 何年経ったら貴方の側に行けるのでしょうか? その時は貴方の隣に坐りたいと思います。知らぬ振りをしないで下さいね。 貴方に便りが出来て幸せです。 「化粧して 繋ぐ手は無し 山笑ふ」 悪筆は直りません。ごめんなさい。 かしこ 

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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