亡き母への想い

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今は亡き母へ

今から二十六年前の八月二十六日に、母は亡くなりました。私が四十七歳の時でした。

戦時中を生き抜いて、いろんな工夫をしながら、ほとんどの事は一人でやってしまう気丈で優しい母でした。私など、とてもまねのできない事だと思いました。惣菜やおやつ、母の着物をといて、手縫で作ってくれた洋服など、みんな一杯の愛情がこもっていました。

まさに「母の愛は山よりも高く、海よりも深し」という言葉を思い出されます。

一番楽しかった事は、母と義母を誘い、私の夫と息子も一緒に三泊四日の北海道旅行に行った事です。広大な大地、すがすがしい青空のもと、別世界のような気持ちになりましたね。

今、思い返せば、この事が私に出来た唯一の親孝行だったと思います。

それから母に、謝罪したいと今までずっと思っていた事があります。

母が入院した時、病弱や多忙を理由として、優しい看護をしてあげられなかったので、「本当にごめんなさい」

今、この言葉を記して、長年の胸のつかえがようやく取れたような気がします。

今から二十六年前の八月二十五日、なんとなく予感がして、脱脂綿に水をふくませたものを母の口元にそっと持っていき、末期の水のように軽くぬらしました。目を閉じて、じっとしている母の手を強くにぎり、頭を優しくなでて、私なりに最後の別れをしました。

母の頬に大粒の涙が一つこぼれた事を覚えています。

その次の二十六日の明け方、病院にかけつけた時は、すでに旅立った後でした。

私、一人だけだったけれど、お別れをしてあげて良かったと思いました。

今、あちらこちらで「終活」という言葉を耳にします。自分なりの心積もりをする事は、良き人生と考えるようになり、私も身の回りを整理する気になりました。

「お母さん、今いる所はどんな所ですか」

「亡くなった父さんと会って仲良くしていますか」

いつか私が旅立ったら、母に再会したいと念じながら筆をおきます。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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