沖縄の葬儀・告別式のしきたりとは?本州との違いや流れ、マナー

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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沖縄の告別式やお葬式は沖縄独自の文化に基づいたもので、本土から沖縄の告別式や葬儀に参列する際にはあらかじめ知っておいた方がいいことがあります。例えば一般の参列客はお通夜に参列することはなく、葬儀でのお別れがメインだということや、前火葬をした場合は告別式の段階で故人のご遺体に会うことはできないといったことです。また慣習によって、中には葬儀に参列できない人もいるためあらかじめ不明点は確認しておきましょう。

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沖縄の葬儀は独自の文化が背景に

沖縄は長い間日本の本土とは異なる独自の文化や死生観を育んできました。それは15世紀から19世紀に沖縄で栄えた琉球王朝の時代の思想が大きく影響を与えているためです。例えば琉球王府が重用視した儒教思想では、女性の位牌承継が禁止されています。今もなお、生活の中にはさまざまな風習が残っているため、沖縄の葬儀は本土とは違ったものとなり、現在に至っています。

新聞に載る訃報

沖縄の葬儀の特徴の一つは「荼毘広告」です。これは沖縄の新聞に毎日掲載される訃報欄で、有名人だけではなく一般人も亡くなると名前が掲載されます。名前だけではなく葬儀の日時や喪主などの必要事項も載せられています。
友人や知人といった立場で人から訃報を聞いた場合はまずこの荼毘広告を確認することが一般的です。荼毘広告を見た人が参列するのと、昔から相互扶助の精神があるために参列者数も本土よりは多くなりがちです。

葬儀の流れ

火葬は「前火葬」といって、告別式の前に火葬を済ませてしまう形式で行われます。故人のご遺体に会いたい場合、本土と同じ感覚で告別式に参列してしまうと間に合いません。故人に会いたいときは出棺までに間に合わせる必要があります。ただし家や地域により後火葬のところもありますので、どうしてもご遺体に会いたいときは、前火葬か後火葬かを確認しておきましょう。
また沖縄では、告別式が終わった後にすぐ納骨まで済ませてしまうのが一般的です。門中墓がある家ではすぐに納骨式を済ませます。その後は翌日から初七日まで墓参りすることもあります。

沖縄のお通夜と告別式

沖縄と本土ではお通夜の重要度も異なります。本土では一般参列客であってもお通夜にも葬儀にも参列する人が多く、訃報を聞いたらすぐにお通夜に駆けつけるのがマナーです。これに対して沖縄では訃報を聞いたのちに前述のように荼毘広告を確認し、その後に葬儀に出席するため、お通夜の位置付けも本土のものとは違います。式典としての通夜式はなく親族のみが行い一般参列客は基本的に参列せず葬儀の日時の確認のために訪れるときなどは、服装はカジュアルなままのこともあります。

沖縄の葬儀と宗教

沖縄では本土のように檀家制度がありません。これは本土で檀家制度が成立した頃、沖縄は独自の文化を持つ琉球王国だったことに起因します。また、自然崇拝や先祖崇拝など独自のものが根付いているため典型的な本土の仏教とは趣を異にします。 宗派へのこだわりも比較的薄く、数珠などを使う習慣がないのも特徴です。宗教者も読経が必要になるときには、知り合いや近所のお寺などに依頼する形になります。

沖縄の告別式に参加するときの服装

沖縄で告別式に参列するときの服装は、基本的には本土のマナーに従った服装と同じで問題ありません。ただ沖縄には気候や文化の面で異なる習慣があります。まず夏場であれば社会人男性は「かりゆしウェア」と呼ばれる漆黒のかりゆしを着用して参列することが多く、下には喪服で用いる光沢のない黒い布地のズボン、黒い無地の靴下を着用します。女性用の喪服であるかりゆしウェアもありますが、女性の場合は一般的な七分袖のワンピース型の喪服などが好まれがちです。
数珠は使用しないため、準備の必要はありません。お子様の場合は制服があれば制服を、もしなければ、地味な黒やグレーの平服を着用するとよいでしょう。

沖縄で葬儀に参列してはいけない人

沖縄では死生観が本土と異なり、「シニフジョー(死に不浄)」と呼ぶなど、死を不浄なものと考える文化が根付いているのが特徴です。こうした不浄は故人から人にうつり、良からぬ状態を招くと考えられています。
このため、沖縄では葬儀に参列してはいけない人がいます。まず、妊婦とその夫、そして亡くなった方と干支が同じ方、家やお墓を工事中の方や新築一年以内の方などです。また、場合によっては病気の方もここに含まれます。これらの人々は他の方よりも穢れがうつりやすい状態にあると思われるためです。
ただしこうした風習は地域によって異なる場合があるため、妊娠中の女性や干支が同じ方など、該当する方は事前に確認をしておくとよいでしょう。

まとめ

本記事では独自の文化を持つ沖縄の告別式に参列する際の基礎知識や注意点についてお伝えしました。故人を偲ぶ気持ちは同じですが、宗教観や死の位置付けに本土と少し違いがあります。告別式自体のあり方にも特徴があるので、あらかじめ知った上で式にのぞむことで故人と落ち着いてお別れすることができそうです。

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