棺とは、故人を見送るときに最後に遺体を納める大切なものです。現代の棺には、多様なタイプがあります。サイズ・種類・材質・形状によってイメージや費用が変わってくるため、どのようなものがあるのか、まずはひとつずつチェックしていきましょう。また、故人の遺志や火葬場のルールに沿ったものを選ぶことも大切です。
目次
大切な人の葬儀。棺を購入するには、まずなにをすればいい?
棺を選ぶ前に、棺を決めるときの流れを確認していきます。
・故人の身長や宗教を確認する
・棺のサイズを決める
・棺の種類を決める
・棺の値段を確認する
・条件に合った棺を購入する
棺の値段は、サイズや材質などによって変わります。
よく見比べて、故人のイメージや家族の姿に合った最適な棺を選びましょう。もちろん予算と相談することも大切です。
さまざまな種類・形状がありますが、通常は葬儀社の用意したカタログの中から、ふさわしいものを選ぶというのが一般的です。よりしっかりと選びたいという場合は、葬儀社の事前相談を受けるなど、余裕をもって準備することをおすすめします。
棺の大きさは?
棺のサイズについては、一般的に尺で表現されます。1尺=約30cmと覚えておくとよいでしょう。また、Mサイズ、Lサイズというようにサイズで呼ばれることもあります。標準タイプのものは長さ180㎝といわれていますが、小さなものでは長さ170㎝くらいのものから、大きなものでは長さ195㎝くらいと幅があります。
火葬できる棺の大きさに決まりはある?
遺体は、寝かした状態になると足の甲が伸びるため、ゆとりを持って身長+10~15cmのサイズを選びます。ただ、火葬場の施設によって、使用できる棺の大きさに制限があります。
例えば、東京都港区、品川区、目黒区、世田谷区、大田区の5区が共同で設置、運営する臨海斎場では、火葬できる棺の大きさは、通常炉では、高さ48㎝、幅56㎝、長さ195㎝。また、大型炉では高さ60㎝、幅66㎝、長さ225㎝までとされています。
一方、横浜市北部斎場では、通常炉では、高さ50㎝、幅65㎝、長さ215㎝。また、大型炉では高さ60㎝、幅70㎝、長さ245㎝までとなっています。
棺の種類(材質)
棺の材質には、大きく分けて次の4つの種類があります。
木棺
檜・桐などの天然木材や、ベニヤ材と芯材を貼り合わせた棺(フラッシュ棺とよばれることもあります)があります。木のぬくもりを感じる魅力があります。
ごくシンプルなものもあれば、彫刻が施されたものなどさまざまで、彫刻を施した面の数によっても二面彫刻、三面彫刻というように種類があります。
布棺・布張棺
棺の周りを布で覆っている棺です。比較的費用を安くおさえることができるので人気があります。色のバリエーションが豊富にそろっているのも魅力のひとつでしょう。シンプルなものから、凝った刺繍をあしらったものまで、故人のイメージに合った棺が選べます。
また、棺の表面にさまざまな風景や模様、柄などをプリントしたものを貼った棺もあります。
エコ棺
近年の環境問題に対する関心の高さから登場した棺です。段ボールや間伐材などで作られています。二酸化炭素の排出量が少ない、環境にやさしいといった特徴がうたわれています。価格は通常の棺と比べ割高となっています。
エンバー棺
エンバーミングを施したご遺体用の棺です。通常の棺であれば故人の顔が見れるようふたに窓があるものが多いですが、エンバーミング棺の場合、エンバーミングを施した故人との対面を想定してアクリル製の透明のふたが中にあります。
棺の種類(形状)
次に、棺の形状による種類です。
組み立て型
簡単に組み立てることができ、使用するまで折りたたんでおけることが特徴の形状です。葬儀社にとっては、たくさんの量を運ぶことができる、ストックの場所をとらないというメリットがあります。
箱型
キャスケット型とも呼ばれます。最もシンプルな形で、蓋部分が平らになっている長方形の箱状の棺です。
山型
蓋部分が台形に盛り上がっている形状の棺です。箱型よりも少し装飾性のある、オーソドックスなデザインです。
かまぼこ型
蓋部分が曲線を描くように盛り上がっている型の棺です。R棺と呼ばれることもあります。柔らかな印象で女性に人気があります。
コフィン型
頭側が広く、足側が狭くなっている棺です。海外の映画などで見たことのある方も多いかもしれません。主にイギリスで使用されている型です。
インロー型
インローとは印籠のことです。その名のとおり、蓋の縁の部分が印籠のようにはめこみ式になっている棺です。
予算が心配な方は、棺の値段の相場を見てから決めましょう
値段は、主に棺の形式や使用されている材質などによってさまざまです。また葬儀社によっても価格の設定に違いがあります。「まずは大体の値段が知りたい」という人のために、ここではおおよその値段相場を紹介します。
・組み立て式棺…2万~3万円
・木棺…4万~100万円(ベニヤ使用品などは4~10万円、檜使用品などは高額になります)
・布棺…2万~30万円(刺繍などを入れなければ2~10万円)
・エンバー棺…10万~40万円
・エコ棺…5万~20万円
組み立て式棺や布棺は、シンプルなものを選べば費用をおさえて購入することができます。「棺にはこだわりぬきたい」という場合には、高級木材を使用した木棺などがおすすめです。
ダンボール製のエコ棺はどうして人気なの?
棺の種類でも紹介した、ダンボール使用したエコ棺の人気が近年どんどん高まっています。値段を見るとそこまで安いわけでもないのに、なぜ人気なのでしょうか?
もともと、段ボールの棺は日本でもありましたが、あまり使用はされなかったようです。その後、アメリカで使用されるようになり日本でも用いられるようになったといわれています。
エコ棺に使われるダンボールは通常のダンボールではなく、棺用に加工された丈夫で特殊なものになっています。中は布張りなので、見た目は通常の棺と変わりありません。
人気の理由は、火葬する際に環境にやさしいといった特徴がうたわれている点です。
ただし、一方で木材を段ボールに加工する工程を考えるとそれほど環境にやさしいとは言えないのではないか?といった意見などもあるようです。
また、エコ棺を1本購入すると、植林のための寄付が付いているといったサービスもあるようです。詳しくは葬儀社に確認してみましょう。
まとめ
種類や値段など、棺を選ぶときのポイントを紹介してきました。大切な方と悔いを残さずにお別れするためには、値段だけではなくさまざまな視点から考えて、家族や故人にぴったりの棺を選ぶことが大事です。
いろいろ調べても棺の選び方がいまいちよく分からない方や、どこの葬儀社にしようか迷っている方、まずは相談したいという方は、お気軽にお問い合わせください。