浄土宗とは?歴史・教え・お経・浄土真宗の違い【仏教解説】

小林憲行【記事監修】
小林憲行

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  • 浄土宗とは、法然上人を開祖、阿弥陀如来を本尊とする日本の仏教
  • 「南無阿弥陀仏」を日々唱えることで、極楽浄土へ行けるという教え
  • 浄土宗の総本山は京都市にある知恩院で、法然が入寂した場所でもある

浄土宗とは法然を宗祖とする日本の仏教です。現在は、京都市にある知恩院を総本山とし、全世界に広く信徒がいます。日本人なら馴染みのある、「南無阿弥陀仏」を日々唱えることにより、極楽浄土へ行けるという教えを説いています。法然上人を開祖とし、阿弥陀如来を本尊としています。平安時代に始まり、分裂や統合を繰り返しながら、現在は、宗教法人浄土宗となっています。

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浄土宗と開祖法然の歴史

浄土宗は大乗仏教の宗派のひとつで、承安5年(1175年)、法然が43歳の時に開宗しました。法然は、1133年に美作の国(現在の岡山県)に生まれ、幼少期に父を亡くしたのを機に、出家して比叡山にのぼって勉学に励みました。

その後、比叡山を下りて東山吉水草庵に住み、念仏の教えを広めました。これが浄土宗の立教開示とされています。法然は善導が撰述した「観無量授寿教疏」にある文言により、ほかの行をせずにただひたすらに念仏を唱える専修念仏の道に進み、立教に至ったとされています。

浄土宗はどこにいても何をしてても南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)と唱えることが大切だと教えています。南無阿弥陀仏と唱えていれば、心と体が清らかになり、死後、極楽浄土に生まれ仏さまになることができるという教えは、旧仏教の中では新しい教えであり、迫害を受けることもしばしばありました。しかし、当時貴族だけのものであった仏教を大衆も含めた皆のものへという教えは、日本中へ広まるようになり、貴族だけでなく、一般民衆へも大きく広がっていきました。

法然の死後は、弟子のひとりであった信空が後継となりましたが、法然の教義へのわずかな解釈の違いなどで、以後、分裂と統合を繰り返すことになります。

現在は、法然が半生を過ごし、最期を迎えた「知恩院」(京都市京都府)を総本山とし、法然の弟子である聖光房弁長によって始められた鎮西派が主流となっています。浄土宗の寺院は京都をはじめ、日本中に広く建立されています。

浄土宗の教えと特徴

浄土宗は、教えとしてただひたすらに仏に帰依すれば、必ず救われる。どこにいても何をしていても南無阿弥陀仏を唱えよとすすめています。南無阿弥陀仏を口に出して唱えれば、必ず仏様の救済を受けて、平和な人生を送り、極楽浄土に生まれることができるという教えです。浄土に生まれればいつまでも浄土に居られる、しかし仏様としてこの世に戻り、人々を救うこともできる、とも説いています。

他の宗教は、「信じている人の中に仏さまは存在する」「自分自身の心の在り方によって、この世は極楽浄土となる」というように、自分の心の在り方、行いから仏さまや浄土と向き合うような傾向の教えが多くあります。
しかし浄土宗は、帰依する阿弥陀様は救済者であり、自分の心の外に存在するものとしています。どんな時も南無阿弥陀仏と唱えていれば、臨終した時に阿弥陀様自らお迎えに来てくれ、極楽浄土に往生できるとしており、生前縁のあった人とも亡くなった後に往生していれば、浄土で会うことができるとしています。
他の宗教には無い、人が亡くなった後のことをはっきり説いている点が特徴と言えるでしょう。

現在、浄土宗は「鎮西派」と呼ばれている宗派が主流とされていおり、この「鎮西派」が中心となり、宗教法人浄土宗となっています。鎮西派は真南無阿弥陀仏と念仏を唱えるのも、善行を行うのも、どちらも同じく極楽浄土へ往生できる方法であるという『二類各生説』を説いてます。もうひとつ、法然の教えの流れを汲む「西山派」という宗派がありますが、こちらは念仏こそが極楽浄土に往生できる唯一の方法という『一類往生説』を説いており、協議の違いから、宗教法人浄土宗には属していません。

浄土宗でよく読まれる経典

『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』

『無量寿経(むりょうじゅきょう)』

『阿弥陀経(あみだきょう)』

の3つで 「浄土三部経」と呼ばれます。

浄土宗のお仏壇の飾り方

中央にご本尊の阿弥陀如来を、向かって右に観世音菩薩、左に勢至菩薩をまつります。さらに観音菩薩の隣に、唐の善導大師を、勢至菩薩の隣には宗祖円光大師法然をまつります。お仏壇の大きさなどによっては、観音・勢至の両菩薩は省略されます。また、仏壇か厨子の前に戸張を垂らすこともあります。

※地域や仏壇の大小などによってまつり方に違いがありますので、正しくは菩提寺にお聞きください。

浄土宗の主な行事

1月1日   修正会

2月15日    節分星供

29日    鎮西忌

3月14日    善導忌

4月7日   宗祖降誕会

8日       花まつり

19~25日   御忌会

7月6日      記主忌

10・11月  十夜

12月8日    成道会

浄土宗の主要な寺院と現在

浄土宗の総本山は、京都市にある知恩院です。正式には、華頂山知恩教院大谷寺(かちょうざんちおんきょういんおおたにでら)と言います。法然が浄土宗を開創し、建暦2年(1212年)入寂(僧侶が亡くなること)した場所でもあります。現在は高台に法然の御廟があり、本殿である御影堂には法然上人の像が祀ってあります。

ご本尊は阿弥陀如来像が祀ってあり、境内には三門、経蔵など重要文化財も多くあります。その他、大本山として、増上寺(東京都港区)、金戒明光寺(京都市左京区)、善導時(福岡県久留米市)、知恩寺(京都市左京区)、清浄華院(京都市上京区)、光明寺(神奈川県鎌倉市)があり、この中でも金戒明光寺は、新選組発祥の地として、増上寺は徳川将軍の菩提寺として有名です。

浄土宗は総本山と大本山の他に、全国に大小七千余りもの寺院があります。またハワイ、北米、南米など全世界にもあり、年間に多くの人々が浄土宗の教えに触れています。

仏教をさまざまな身分へ広めたのが浄土宗

浄土宗は、どんな時も「南無阿弥陀仏」と唱えることで、だれでも極楽浄土へ行けるという教えを説き、貴族だけのものであった仏教を、身分の違いなく多くの人々へ広めました。仏教においては仏様を想い、感謝の気持ちや尊敬の意を唱え、日々善行を働く努力をするという心こそが大切です。
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