【父の日】今は亡きお父さんへ伝えたい言葉

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おっとうへ

福岡県 ゆきさん

高校を卒業したら会いに行って、「今までごめんなさい」って言おうと決めてたんだよ。

十四歳の冬、荷物をまとめて、おっとうが仕事に行ってる間に家出しようとした時。

それまで一度もそんなことなかったのに、忘れ物を取りに帰ってきたよね。

あの時の、おっとうの悲しそうな顔は今でもはっきり覚えてるよ。

「なんでや」ってきかれて、「幸せじゃないから」って答えたけど、そんなの嘘だよ。

あの頃の私は色んなことにイライラしていて、はっきりした理由なんかなかった。

私の好きなアイスをいつも買って帰ってきてくれたり、休みの日には色んなところに連れて行ってくれたり、私が楽しいように頑張ってくれてたの、知っていたよ。

結局、家出しちゃって……。

電話もメールもくれたのに、何度も会いに来てくれたのに、無視し続けてた。

私意地っ張りだし、合わせる顔もないし、どうしたらいいかわからなかったの。

おっとうが亡くなったって知ったのは、高校卒業を目前にした一月。

なんで“卒業したら”なんて思ったんだろう。

息を引き取る時、何を思っただろう。

傍に誰かいたかな? 寂しくなかったかな?

なんてことをしたんだろう。

きっとみんなが嘘ついてるんだ。

まだきっとどこかで生きている、としか思えなくなって、携帯に何度も電話しました。

ずっと無視していたから、仕返しされてるんだとまで思ったよ。

それから五年。

私は今、大学院で心理学を勉強しています。

おっとうと向き合う五年間でした。

その中でひとつ思い出したことがあります。

おっとうはいつも言っていたよね。

「俺はお前を信じる」って。

そして、「幸せじゃないから」って言った時も、「お前がそれで幸せになると思うなら、俺もそれを信じる」って言ってたね。

その後、決断を迫られるとき、この言葉がいつも頭に浮かびます。

私の決断を、おっとうはきっと信じてくれる。

そう思うと、少し怖くても、一歩踏み出せます。

ひどいことをしたし、ごめんなさいも言えなかったけど、おっとうは私を大切に思ってくれたし、きっと幸せを望んでくれているよね。

自分の爪を見た時、自分の鼻を見た時、おっとうに会えたようで、何だか笑っちゃいます。

二度とあんな後悔をしないように、自分だけじゃなく、周りの人たちも幸せになれるように。

自分を信じてやってみようと思います。

おっとう、ごめんね。

本当にありがとう。

おっとうの娘に生まれて幸せだよ。

大好き。

ゆきより

今は亡きあの人へ伝えたい言葉 より)

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