もし来世というものがあるなら、もう一度、私の母親になってください

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今は亡き母へ

もう一度

「人にはしっかりした姿しか見せないけれど、本当は見え ないところで一人で泣くような子だから、私のかわりに助けてあげてね。」

病気だったお母さんは、叔母さんに私のことをそう頼んでいたね。自分のことだけでも大変だったのに、既に二十八歳にもなり、二児の母にもなっていた私のことを心配してくれたお母さん。母親の愛って、本当にすごいね。涙が出ます。

私は幼いころからずっと、本当は心が弱いくせに負けず嫌いで、気が強い人間です。六歳の時からお母さんが一人で私と弟を育ててくれるようになり、その「強がり」は一段と強くなりました。親戚にどこか蔑んで見られていると、子供ながらに感じてしまった私は、「くやしい」「見返してやる!」と思い、頑張ってしまったの。そんな私のこと、お母さんは心配してくれたんだよね。「ありがとう。本当に。」

お母さんと会えなくなって十年。知っていると思うけれど、子供たちは十三歳と十歳になりました。いつも子供たちがおばあちゃんの写真に見せている、テストや絵や工作。ちゃんと見てくれているよね?毎週末、家族でお墓参りに行っている姿も見てくれているよね?私は大丈夫です。幸せです。強がりじゃなくて、本当です。だからお母さんは、安心してそちらで暮らしてください。

あのね、本当はお母さんが生きている時に言いたかったこと、お願いしたかったことがあるの。でも、恥ずかしくて言えなかったこと。もし来世というものがあるなら、もう一度私を生んでください。そして、もう一度、私の母親になってください。

何度生まれ変わったとしても、私の母親はあなたしかいません。二十八年しか一緒に過ごせなかったから、やり残したことがいっぱいあります。親孝行も全然できていません。だから、二人でまた親子としての時間を過ごしたいです。今度はもっとたくさん。その願いがいつかきっと叶うと信じて、私は精一杯生きぬきます。またお母さんと会える日を楽しみに……。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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