額に三角形の布を付けて出棺?
宮城県の一部地域では、出棺の際に男性は白い三角形の布を、女性は白い頭巾をかぶります。
白い布を身につける、すなわち故人と同じ格好をするということで、「旅立ちまでは共に見送る」という思いと、その先は「故人一人で旅立って欲しい」という願いが込められています。
お葬式の時に三角形の布を身に付ける風習は全国各地にも点在していますが、この三角形の布のことを「天冠(てんかん)」または「宝冠(ほうかん)」と言います。
死装束のひとつで、よく幽霊が額に付けているあの三角形です。
白という色には汚れのない清らかな意味があり、この世とあの世を結ぶ霊界の象徴とも考えられていますが、なぜ三角形なのかということについては定かではありません。
ただ、これを付けていないと「閻魔大王に失礼にあたる」といわれることもあるようです。
なお、宮城県では納棺を「入棺(にっかん)」と呼ぶ地域もあります。
通夜で“白ぶかし”を食べる?
宮城県のお通夜では、「白ぶかし」という、もち米に白ササゲ豆(小豆の一種)を混ぜて蒸かしたおこわを振る舞います。
通夜でおこわを食べる慣習は全国各地で見られますが、「おこわを食べることで力を付ける」という意味があるようです。
土葬が主流だった時代、お葬式は言葉通り重労働でした。
故人をしっかり旅立たせ、埋葬するためにもおこわを振る舞ったのかもしれません。
また、松島市近辺では、数年前まで通夜振る舞いがホテルの宴会場で行われていたようです。
ひとりひとりにお膳を出していたようですが、通夜の参列者は人数が判らなかったでしょうから遺族は大変な準備だったと思います。
近隣の契約講?
宮城県では郊外などに「契約講」や「講中」とも呼ばれる地域の近隣組織が残っており、10軒程度の家で一単位となって喪家を手伝います。
お葬式は地域の重要な仕事ととらえられていて、会社の仕事よりも地域の葬儀を優先するのが当然と考えられている地域もあります。
宮城県のお葬式に参列する
焼香の後、通夜振る舞いを勧められたら、故人の供養のためにも遠慮せず箸をつけるようにしましょう。
また、通夜振る舞いに対して「お悔やみ」として、1,000~2,000円程度を香典と別に包む地域もあります。
土葬の時はお金や穀物を入れる?
宮城県の北西部で土葬を行っていた時は、通夜、葬儀に念仏が行われ、土葬の際には、豆、蕎麦、稗、粟の五穀を混ぜ合わせたものと紙に100万円、1,000万円と書き、これらを入れていたようです。
紙に金額を書き故人に持たせる風習は、東北の各地方に点在し残っているようです。
葬儀社に聞いた葬儀しきたり
石巻市、登米市等 |
この地域では、葬列を行う場合(供物・団子・位牌等)を持って寺・墓に納骨に向かう際は、まき銭という、行年年齢の数だけ懐紙に一枚づつ10円玉か100円玉を包み一般会葬者に撒く。 |
石巻市、登米市等 |
最近は撒くこともありますが、受付で会葬者に渡す場合もある。 |
石巻市、登米市等 |
また、逆さ別れの場合(親より子が先に亡くなる場合)、親不孝という事で、葬儀・火葬場には行かない事もありますが、最近はさまざまです。 |
米山町 |
この地域では、一番最初に作った団子は火葬出棺前お別れの時に枕元に入れる。 |
お葬式経験者に聞いた葬儀しきたり
仙台市 |
49日法要と100か日法要を本葬のあとにまとめて行う(男性 41歳) |
気仙沼市 |
特になし。 |
気仙沼市 |
震災後は簡素化・身内のみが増えた。(男性 53歳) |
白石市 |
香典を受け取らない(男性 56歳) |