告別式は通夜・葬儀とどう違う?基本知識と流れ、参列時のマナー

小林憲行【記事監修】
小林憲行

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  • 告別式とは、喪主・参列者を中心に、社会的な儀礼で故人とお別れする儀式
  • 葬儀は僧侶を中心とする宗教的な儀式、告別式は喪主を中心とする社会的な儀式
  • 告別式では、焼香や花入れ、釘打ち、出棺などを行い、故人との別れを惜しむ

告別式とは、喪主・参列者を中心に、社会的な儀礼で故人とお別れする儀式。焼香や献花、出棺などの社会的な儀式によって、故人との別れを偲びます。

対して葬儀は、僧侶による読経や引導、戒名授与など、宗教的な儀礼で故人を弔う儀式。葬儀と告別式はまとめて行われるのが一般的ですが、本来は別々の儀式です。

この記事では、告別式の意味や通夜・葬儀との違い、流れ、参列マナーなどを解説します。

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告別式とは?故人との別れの儀式

告別式とは、亡くなった人に別れを告げる儀式です。

葬儀と混同されがちですが、葬儀は、僧侶を中心に、宗教的な儀礼によって故人を弔う儀式。告別式は、喪主を中心に、社会的な儀礼によって故人とお別れする儀式です。

基本的に告別式は、葬儀の直後に続けて行われるため、明確な区切りはありません。最近は葬儀の中に告別式を含め、「葬儀・告別式」としてひとくくりにされている式が多いです。

葬儀と告別式の違い

葬儀告別式
儀式宗教的な儀式社会的な儀式
中心人物僧侶・司式者喪主・参列者
内容読経
引導
戒名授与
焼香
献花
出棺

葬儀とは、僧侶を中心に、宗教的な儀礼によって故人を弔う儀式です。一般的には、僧侶による読経から引導、授戒などの宗教的儀式が葬儀にあたります。

対して告別式は、喪主を中心に、社会的な儀礼によって故人とお別れをする儀式葬儀の後に引き続き行われる焼香や献花、出棺などが告別式にあたります。

ちなみに「葬儀」は宗教的儀式なので、無宗教葬では「葬儀・告別式」ではなく「告別式」と表示されることもあります。

通夜と告別式の違い

通夜告別式
目的故人と最後の夜を過ごす故人とお別れする
時間帯夜(18時~19時)日中(10時~11時)
参列者家族
親族
親しい友人
家族
親族
親しい友人
知人
会社関係者 など

通夜は、葬儀・告別式の前日に行われる宗教儀式です。

通夜は、故人と最後の夜を過ごす儀式で、夜の18時~19時ごろに開始します。家族や親族、親しい友人など、故人と関係性が深かった人を中心に行われるのが一般的です。

対して告別式は、故人と最後のお別れをする儀式で、日中の10時〜11時ごろに開始します。家族や親族、親しい友人に限らず、知人や会社関係者など、基本的に誰でも参列できます

そもそも通夜は、故人が亡くなったあと、邪霊を防ぐために線香やろうそくの火を灯し、夜通し見守った慣習からはじまりました。また、通夜の終了後に「通夜振る舞い」と呼ばれる会食で参列者をもてなすのが特徴です。

告別式と通夜はどちらに参列すべき?

通夜は、家族や親族、故人と親しかった人が参列する儀式。本来の意味を考えると、故人と関係性が深いなら通夜と告別式の両方、知人程度なら告別式に参列するのが望ましいです。

ただ、告別式は昼間、通夜は夜間に行われることがほとんど。昼間にある告別式より、夜間にある通夜の方が都合をつけやすいため、最近は間柄に関係なく、通夜だけに参列する方が増えています。告別式の参加が難しいなら通夜だけ、通夜の参加が難しいなら告別式だけと、ご自身の都合にあわせて参列して問題ありません

故人が仕事関係者の場合は、会社の代表として参列するため、通夜と告別式どちらに参加するか指示をあおいだ上で判断すると安心です。

通夜・葬儀・告別式の流れ

通夜・葬儀・告別式の流れ

通夜は、故人が亡くなった当日または翌日に行われるのが一般的。そして、通夜のさらに翌日に葬儀・告別式が行われます。

通夜・葬儀・告別式の流れは、葬儀の種類や地域によって異なるため、あくまで目安として参考にしてください。参列するときは、遺族や親族、葬儀社などに確認をとりましょう。

通夜の流れ

  1. 受付開始
  2. 遺族・親族着席
  3. 通夜開始
  4. 読経
  5. 焼香
  6. 説教法話
  7. 喪主挨拶
  8. 通夜終了
  9. 通夜振る舞い

一般的な通夜の流れは、こちら。

通夜は、18時〜19時ごろに開始され、1時間〜1時間半で終了することが多いです。遺族・親族は、通夜の開始1時間前には会場に到着し、控え室で待機します。また弔問客の受付は、通夜開始の15分前から行われるのが一般的です。

通夜がはじまると、僧侶による読経、焼香と続き、最後に喪主の挨拶があります。喪主挨拶では、故人が亡くなった報告や弔問客への感謝、翌日行う葬儀のスケジュールを手短に伝え、最後に通夜振る舞いが案内されます。弔問客が多いと焼香の時間が長くなるため、2時間前後かかる通夜もあります。

葬儀・告別式の流れ

  1. 受付開始
  2. 着席
  3. 僧侶入場
  4. 読経・引導
  5. 弔辞・弔電の奉読
  6. 読経・焼香
  7. 花入れの儀
  8. 釘打ちの儀
  9. 出棺
  10. 火葬
  11. 収骨
  12. 繰り上げ初七日法要
  13. 精進落とし

葬儀・告別式の流れはこちら。

葬儀・告別式の開始時刻は、午前10時〜11時が多く、あわせて1〜2時間で執り行われます。葬儀・告別式の後に火葬が行われる地域では、火葬場の予約時間から逆算して、葬儀・告別式の開始時刻を決めるご家庭が多いです。

葬儀・告別式は、僧侶による読経のあと、弔辞や弔電の奉読、焼香があります。花入れの儀や釘打ちの儀で故人と最期のお別れをしたら、出棺して火葬、お骨上げをするのが一連の流れです。収骨後は、火葬場から会場へ戻って繰り上げ初七日や精進落としを行います。

告別式当日の流れと参列のマナー

  • 受付
  • 焼香
  • 花入れ・釘打ち
  • 出棺
  • 火葬
  • 初七日・精進落とし

告別式当日の流れに沿って、告別式の参列マナーを紹介します。

受付

受付で記帳を済ませたら、香典を渡すのが一般的です。香典を袱紗(ふくさ)から取り出して、相手が文字を読めるよう反時計回りに向きを変え、「お供えください」と言って渡します

すでに通夜で香典を渡している場合は、その旨を受付に伝えてください。他の方から香典を預かっているなら、受付で人数分の香典を渡し、自分の名前と香典を預かった人の名前を記帳します。

また、代理で参列するときは、来れなかった方の名前を先に書いてその下に「代理」と記帳します。その後に小さく自分の名前を書き添えてください。会社の代表として参列するときは、あわせて名刺を渡しておきましょう。

受付が設けられていない会場は、遺族に直接渡したり、会場スタッフや世話役に渡したりする場合もあるので、覚えておいてください。

焼香

受付後は、式場内に用意された椅子に腰掛け、焼香の順番が来るまで待ちます。司会者や会場スタッフに案内されたら、焼香台に進みましょう。前の方が終わったら進み出て焼香します。

焼香の回数は、指示がなければご自身の宗派にあわせて1回〜3回。参列者の人数が多く、焼香の数を1回にするよう案内があった場合は従います。焼香で喪主や遺族・関係者と向かい合ったら、黙礼するか、短くお悔やみの言葉を述べるだけにしましょう。

花入れ・釘打ち

花入れの儀では、故人の棺に花を入れていきます。花入れの儀は、故人の顔を見て別れを告げられる最後の瞬間です。最後に遺族がゆっくりお別れできるよう、花入れを終えたら次の方に速やかに場所を譲りましょう

釘打ちの儀は、故人の棺に釘を打ち、蓋を閉める儀式。近年は省略されるお葬式も多いですが、棺の蓋を閉じた後に手を合わせるのがマナーです。

出棺

お別れの儀式が終わると、棺を運んで霊柩車に乗せます。一般会葬者は、出棺が故人を見送る最後の場なので、出来る限り立ち会うのが望ましいです。霊柩車が火葬場へ向けて出発する直前になったら黙礼し、合掌して故人の冥福を祈りましょう

遺族はマイクロバスやタクシー、車に乗り込んで火葬場へ向かいます。一般参列者は出棺を見送ったら解散となり、火葬場には行きません。ただ、もし家族から火葬場に来て欲しいと言われたら、可能な限り同行してください。

火葬

一般参列者は、遺族から勧められた場合に限って火葬に参加できます。自分から「参列したい」と申し出るのは、マナー違反にあたるため避けた方が無難。火葬場へ向かう車両の準備や精進落としの食事が必要になり、遺族に迷惑をかけるかもしれません。

火葬場では、火葬炉前に棺を安置し、僧侶による読経と関係者による焼香を行います。故人と最期のお別れをしたら棺を火葬炉に納め、火葬中はお茶や食事をしながら待機。火葬が終わったらお骨上げをして、遺骨を骨壷に納めて終了です。

初七日・精進落とし

火葬が終わったら、再び葬儀場に戻り、繰上げ初七日法要や精進落としをするのが一般的です。

精進落としでは、参列者に食事とお酒が用意されます。遺族に配慮してできるだけ長居しないようにし、食事を終えたら遺族に声を掛けて退席しましょう。

葬儀・告別式に参列できないときはどうする?

案内をいただいたのに葬儀・告別式に参列できないときは、まず遺族に欠席の連絡を入れましょう。参列できない理由を長々と説明する必要はありません。遺族の状況を鑑み、「どうしても都合がつかず、大変申し訳ございません」などお詫びの言葉とともに参列できない旨を伝えてください。

連絡を入れるだけでなく、可能であれば、代理人を立てて参列してもらうと丁寧です。その他、弔電や供花・供物、香典などを郵送したり、後日弔問に伺ったりして弔意を伝えるのもよいでしょう。

告別式に参列するときの服装

告別式に参列するときの服装を、男性・女性・子ども別に紹介します。

男性

告別式における男性の服装は、準喪服にあたるブラックスーツが基本です。白い無地のワイシャツに黒のネクタイをつけ、靴は光沢のないシンプルな黒の革靴、靴下は黒色の無地をあわせます。

ネクタイピンやアクセサリーは外しますが、結婚指輪はつけていても問題ありません。髪型は清潔感を意識して、長髪やヒゲは手入れするようにしてください。

女性

告別式における女性の服装はブラックフォーマル。漆黒のワンピースやアンサンブル、スーツなどを選びます。足元は黒の薄手のストッキングを着用し、靴は3〜5cmのローヒールパンプスが基本。黒無地の布製もしくは革製で、シンプルな靴を履いてください。

小物・バッグ類は、派手な色や光沢のあるものは避けましょう。アクセサリーは、結婚指輪以外つけないのが無難ですが、真珠の一連のネックレスや一粒ピアス・イヤリングは認められています。

子ども

告別式における子どもの服装は、学校の制服が正式な礼装です。

制服がなければ、白いシャツ・ブラウスに地味な色のズボン・スカートをあわせ、同じ色のブレザーやカーディガンを着せましょう。靴下と靴は黒や白、グレーなどのモノトーンが無難で、キャラクターものや派手な色柄、光るデザインなどは避けてください。

幼児や乳児は、黒色や淡い色で無地の服であれば、基本的には問題ありません。

告別式で必要な持ち物

告別式で必要な持ち物
  • 数珠
  • ハンカチ
  • 袱紗
  • 香典袋(香典)

告別式に必要な持ち物は、こちら。

数珠は宗派ごとに玉の数や持ち方が異なりますが、喪家の宗派に合わせる必要はありません。袱紗とは、絹やちりめんなどで一重もしくは二重に複製された四角形の布で、香典を包んで持参します。袱紗を忘れた場合はハンカチでも代用可能です。

告別式の注意点

葬儀・告別式で注意したいポイントを紹介します。

遺族に配慮した言動をする

告別式では、遺族の方に配慮した言動を心がけましょう。葬儀会場で親族・友人・知人と会っても、長話は避けて黙礼する程度にします。どうしても話したいときは会場の外に行くなど、遺族の気持ちを最優先に考えて行動してください。たとえ親しい友人と会っても、冗談を言い合ったり笑い合ったりするのは不謹慎です。

また、葬儀の会場には余裕を持って到着するようにしてください。出棺前のお別れで遺族がゆっくり時間を取れるよう、自分の順番が終わったら場所を譲りましょう。

告別式の遅刻・途中退席は厳禁

葬儀・告別式は、基本的に遅刻や途中退席ができません。開始から20分以上遅れる場合は、葬儀への参列を遠慮するのが理想的。体調が悪く、途中退場する可能性がある場合も、あらかじめ参列を遠慮するのが望ましいです。

ただし、どうしても都合がつかないときは、焼香だけ上げて退出するのもひとつの方法です。喪主・遺族に、事前に途中退出する旨を伝え、無断で退出しないようにしてください。途中で退場するときは、中腰姿勢で静かに退場します。退席後、席にまた戻る場合は、他の参列者の迷惑にならないように最後尾に着席します。

香典では新札を使わない

香典に包むお金に、新札を使ってはいけません。香典で新札を使うと、「死を予期していた」「あらかじめ準備していた」と捉えられ、失礼にあたるとされています。手元に新札しかないときは、香典袋に入れる前に一度半分に畳み、折り目をつけてから入れてください。

告別式では遺族への配慮とマナーを忘れずに

告別式は、葬儀の後に行われる故人との別れの儀式です。喪主・参列者を中心に、焼香や献花で故人を偲び、別れを惜しみます。告別式に参列するときは、遺族への配慮とマナーを忘れないことが重要。あらかじめマナーを心得ておき、失礼にならないよう気をつけましょう。

告別式とは、喪主を中心に社会的な儀礼で故人とお別れする儀式。焼香や花入れ、釘打ち、出棺などによって故人との別れを惜しみます。ここでは、告別式の意味や通夜・葬儀との違い、流れ、参列マナーを解説します。

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