神道(神式)の通夜振る舞いの作法〜気をつけるべきことは?〜

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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「神式」とは、日本古来の民俗信仰である神道(しんとう)の思想に則った祭典や儀式全般をあらわす言葉です。日本神話の主神であり皇室の祖神である「天照大神(あまてらすおおみかみ)」をはじめ、八百万の神々を祀ります。
一般に、日本のお葬式といえば仏教の形式がなじみ深いですが、近年では費用の面も比較的手軽なことから、神式による葬儀を希望する人も増えています。ここでは、神式葬儀と通夜振る舞いについて、流れや作法、気をつけるべき点などをご紹介します。

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「通夜振る舞い」とは?

通夜振る舞い(つやぶるまい)」とは、仏事で通夜のあと弔問客に振る舞われる食事のことで、弔問のお礼やお清めといった意味があります。もともと「通夜(つや)」は葬儀の前に行われるお別れの儀式で、お釈迦さまの入滅を悲しんだ弟子たちが夜通し師の教えを語り合ったのが始まりとされています。
したがって神式に通夜はありませんが、通夜に相当する儀式に「通夜祭(つやさい)」があり、その後の通夜振る舞いにあたる食事を「直会(なおらい)」といいます。
本来の「直会」には、神社で執り行われるさまざまな神事のあと神さまの供え物を下げ、斎主(神職)や参列者が全員でいただく、という意味があります。そうすることで神さまとの結びつきを強め、加護を得ようという重要な儀式(共飲共食儀礼)のひとつとなっているのです。儀式を境に神道特有の「忌み」や「斎戒」が終わり、日常生活に戻るという意味の「直り合い」が語源とされ、関係者の労をねぎらうという意味があります。神道の儀式でお供えするものは一般に、米・神酒(みき)・餅などですが、神道の葬式にあたる「神葬祭(しんそうさい)」や「通夜祭」などの儀式のあとに出される食事のことも「直会」と呼びます。仕事や行事が終わったあとの打ち上げのことを「直会」と呼ぶこともありますが、本来は神事と宴会とで異なります。

通夜振る舞いの流れと、気をつけるべきことは?

通夜や通夜振る舞いの慣習は地域によって違いがあるように、直会の内容もしっかりとした会食から簡単な軽食までさまざまです。仏式の通夜振る舞いとほぼ同じと考えて良いですが、仏教のように肉や魚などの生ものが禁止されていません。一般に「直会」の所要時間は1時間から1時間半程度ですが、地域の習わしなど、場合によっては省略することもあります。

「直会」や「通夜振る舞い」は宴会とは異なります。神酒が振る舞われることもありますが、清めの意味があります。飲み過ぎてつい声が大きくなったり、大きな声で笑ったりすることのないよう気をつけたいところです。ほかにも故人を偲ぶ集まりで故人とは関わりのない話題に触れたり、遺族に死因をたずねたりするなど、プライバシーに触れることは話さない方が無難です。

神式葬儀の作法について

「神酒」には、いただき方に作法があります。

神酒を受けるときは、盃を両手で持って受けるようにします。4本の指で下から盃を支え、親指を縁に掛けます。神酒が注がれている間は盃を動かさないようにしましょう。全員の盃に神酒が注がれたら、斎主(神職)の発声を待って、一気に飲み干さず3回ほどに分けていただきます。飲み終わったら手の甲を上にして、口をつけたところを3本指(人差し指・中指は上、親指は下)で軽く拭いましょう。
このときに神職の発声を待たずに神酒を飲んだり、神酒を注ぎに来た際、盃を置いたままで神酒を受けたりするのは作法に反します。
「いただきます」を意味する「礼手(らいしゅ)」の一拍手は、地域や神社によっていただく前に打ったり、あとに打ったりとさまざまです。神式の直会には地域の神社から神職が招かれていますので、詳しいことはそのときに説明を受けられるでしょう。直会に出席するにあたり、金包を出したい場合の表書きは「玉串料」と記します。

また、仏式のお通夜や葬儀には欠かせない「数珠」ですが、神道では必要ありません。つい、言ってしまいがちな「供養」「ご愁傷様」「ご焼香」なども仏教葬儀の言葉なので慎みます。

まとめ

神式では通夜のことを「通夜祭」、通夜のあとの通夜振る舞いを「直会」と呼びます。仏式の通夜振る舞いとそれほど大きな違いはありませんが、直会は一般に使われているような「行事の打ち上げ」ではなく、神さまへの捧げられた供物のお下がりをみんなでいただくという意味があります。宴会とは違い、大切な神事のひとつとして故人を偲ぶひとときとしたいものです。

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