【アジアの聖地から】タイ王室 第一級寺院 ワット・ボウォーンニウェート(タイ)


国民から敬愛されたプミポン国王も出家した、タマユット派の総本山
私財を寄付して出家した尼僧の何もない幸せ

格式高く閑静な寺院

タイの首都バンコク。世界中のバックパッカーが集まるカオサン通り近くに、ワット・ボウォーンニウェートというお寺があります。1826年にラーマ3世の副王が建立し、厳格な戒律で知られるタマユット派の総本山となりました。昨年ご崩御されたプミポン国王(ラーマ9世)が出家修行したことでも知られる、タイ王室の第一級寺院です。これほどの格式があるにも関わらずガイドブックで見かけることは少なく、観光客はまばら。敷地も広くないのでゆっくりと細部までを自分のペースで見たい人には絶好の聖地です。

見どころは大理石の白壁、そこからそびえたつ黄金の仏塔、古代チェンセーン王朝から受け継がれた仏像、歴代王が出家修行中に滞在した宮殿。これらの控えめな装飾が品格を放ちます。

プミポン国王の絶大な人気

そして私は何よりプミポン国王のお写真がたくさん飾ってあることに魅力を感じました。国王の写真は国内の至るところで見かけることができますが、それらの多くは同じ写真。ここには今まで見たこともなかった王の姿、様々な場面を一同に拝むことができます。


国民からの絶大な支持を受けた国王は2016年10月にご崩御。この時タイ国民は声をあげて泣き、公務員の喪中は1年間。直後に訪問した私は、殆どの国民が黒の服で身心を慎んでいたのを目にしました。在位は世界最長の70年、度重なる政治混乱を一言で鎮めてきた国王。社会開発、農業開発を掲げタイ全土を自ら奔走した姿は国民の圧倒的な信頼を得ることとなったのです。そして、細身で端正な顔立ち。サングラス姿もとても素敵です。ご功績はもちろんですが、このお姿も国民の誇りの一つだったのだろうと写真を眺めてきました。

財産のない幸せをつかんだ尼僧

お寺のベンチからは楽しそうに話しをする二人の女性の声が聞こえました。ゴミ箱と掃除用具が目に入ったので掃除のおばさん達かと思いきや、お一人は衣を着ています。声をかけてみるとこの方は尼僧さんでした。タイでも尼僧は数少なく、何故出家したのか、以前はどんな仕事をしていたのか伺ってみました。
私は別のお寺の僧侶ですが、国王が大好きでここまでバスで3時間かけて通っています。ここでの仕事は仕出しのお手伝い。国王の崩御以降は訪れる方も増えたのでここで食事やお水を配っているのです。

昔からお寺に寄付をするのが好きでした。結婚もしなくて子供もいないから、お金はかからないからね。親が大きな家と広い畑を持っていたから、働く必要もありませんでした。そして親が亡くなって一人になったのを機に財産をお寺に寄付して出家したのです。今はお金も土地もないけど、こうしてお寺に来て皆さんにお食事を出したり、時にはお経を唱えさせてもらったり。ここでおしゃべりしてるだけでも幸せですよ。また明後日もここまで来るんです。

 

尼僧は本当に幸せそうに笑っていました。お金があっても苦しんでいる人がたくさんいる中、私財をなげうってこんなに楽しく幸せそうに暮らしている方と出会うことができました。「あなたも食べなさいよ」とくれたラムヤイの実はとても甘くて美味しく、幸せのおすそ分けのようでした。

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齋籐 浩司

齋籐 浩司

齋藤浩司(株式会社B-WAYグループ 代表取締役) 互助会から葬儀社を経て2001年同社創業。2002年に葬送支援NPO法人を創設。2010年には宗教法人を新規認証。CSR活動として、2007年お寺で余ったお供え物を困窮世帯へ届けるフードバンクを設立。2013年からは東南アジアの貧しい子ども達への生活・教育支援を開始し、現在はカンボジアのスラムで孤児院と幼稚園を運営。活動時に各国の聖地を訪れ、宗教家や現地の人々から文化を学んでいる。東京都新宿区出身。