2018年度、通所介護(デイサービス)の改正内容見通しについて


今回は、来年度から通所介護(デイサービス)は、どうなっていくのか?最新の改正情報をお届けします。

現在、厚生労働省で、来年度の介護保険改正、介護報酬改定について、社会保障審議会 介護給付費分科会というところで議論されています。

資料は以下にあります。この資料が、なかなか良くまとまっています。面白いデータがてんこ盛りです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698

今回は、以下のスケジュールで改定作業が進むようです。

  1. 夏頃までに、各サービスの主な論点を示す、関係者へのヒアリング
  2. 12月まで、各サービスの具体的な方向性を話し合う
  3. 12月中旬に、報酬・基準に関する基本的な考え方を整理し、とりまとめる
  4. 年末の予算編成で、改定率が決定される
  5. 2月に介護報酬改定案の諮問・答申を行う

今回はデイサービスですので、2017年6月21日の資料をご覧下さい。
①通所介護及び療養通所介護      → 論点が載っています
②通所介護及び療養通所介護(参考資料)→ 論点の根拠となる資料です

通所介護(デイサービス)の長時間化(平成27年改正)

通所介護に求められる役割として、

利用者に必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の
①社会的孤立感の解消、及び
②心身の機能の維持 並びに
③利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減(レスパイトケア)
を図るものである。

現在、通所介護(定員19人以上)、地域密着型通所介護(定員19人未満)に分かれていて

サービス提供時間は、
3時間以上5時間未満
5時間以上7時間未満
7時間以上9時間未満 となっています。

ちなみに、サービスの割合としては7-9時間が58%、5-7時間が29%、3-5時間が12%です。
7-9時間の長時間サービスが、6割なのですね。

27年度の改定で、この9時間に延長加算を追加して、トータル13時間・14時間のサービス提供時間を作りましたが、ほとんどの事業所が、そこまでの延長を行なっておらず、9~10時間目の延長加算を請求しても(せいぜい10~11時間まで)、それ以上の時間はサービスを提供していないようです(参考資料P15通所介護の時間区分の見直し・延長加算について)。
職員不足も深刻のため、延長を受け入れるための人員確保が難しいのでしょうか?

この延長加算は、介護者の更なる負担軽減や、仕事と介護の両立の観点から、今まで最大12時間までだったものを対象範囲を最大14時間まで拡大したものです(保育園よりも、営業時間が短いという批判がありました)。
この家族の介護負担を軽減する(=レスパイトケア)については、特に働き盛りの世代からの要望になっています。しかし、実感として、この長時間のサービス提供は、知られていないように思います。

利用の多い入浴介助加算、個別機能訓練加算Ⅱ

一方、よく取られている加算は、入浴介助加算、個別機能訓練加算Ⅱです(参考資料P36 通所介護の主な加算の算定状況)

現在、日本全国に、通所介護施設は、介護保険をの開始時と比べて4.5倍の43,440か所になりました。利用者は、開始当初から2.9倍の約190万人です。ほぼ3人に1人が利用しているメジャーなサービスになっています。

費用額は、27年度で約1.7兆円(約4.4倍)です。

これだけ大きなサービスなので、議論にも上がりやすいわけです。

そのため、前回の27年度の報酬改定で、特に小規模通所介護の報酬が下がりました。
そして、28年度に、小規模型が、地域密着型通所介護に移行することになりました。

大規模型と小規模型の扱いをめぐる議論

ちなみに、今までの議論の中の、とがった意見としては、
財政制度等審議会財政制度分科会(平成29年4月20日提出資料)の資料

「機能訓練などの自立支援・重度化防止に向けた質の高いサービス提供がほとんど行われていないような場合には、事業所の規模にかかわらず、基本報酬の減算措置も含めた介護報酬の適正化を図るべき。」という意見がありました。

加算の算定状況などを見ても、地域密着型通所介護(小規模)よりも、大規模通所介護のほうが個別機能訓練Ⅰ・Ⅱを取得していて(参考資料のP41通所介護の事業所規模別比較)、実際に個別機能訓練を提供している事業所のほうが、介護度が維持改善されています(参考資料のP35 通所介護の機能訓練による効果等)。

また小規模型は、大規模型よりも、基本単価が高いこともあり(スケールメリットが少ないので、単価を高くしている)、この機能訓練に関することになると、下記のようなまとめも説得力を持ちます。とはいえ、機能訓練をキーワードにしてみたら?という視点ですから、これが介護の全て!ではないことを、ご理解頂きたいです。

「通所介護については、規模が小さいほど、個別機能訓練加算の取得率が低くなる一方で、サービス提供1回当たりの単位数は高くなる傾向にあり、規模が小さい事業所に通う利用者にとっては、機能訓練などの質の高いサービスを受ける割合が低いにもかかわらず、高い費用を支払う結果となっている。」

通所リハビリテーションの現状について

また、このあたりが、通所リハビリテーションとも比較され、通所リハビリテーション(参考資料)のP39「通所リハビリテーションと通所介護における日常生活自立度変化の比較」を見ると、通所リハビリのほうが、通所介護よりも効果が高い!という結果になっています。

ただ、通所リハビリは、事業所数が7500カ所ほどなので、通所介護に比べると、数が足りません。

この結果の差は、通所リハビリテーションには、リハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が多く配置されていますので、日常生活自立度や要介護度に改善がみられるのは、当然という意見もあります。
ということは、通所介護もリハビリ専門職を配置することで、結果が出しやすくなるということです(あとは医師の具体的なリハビリ指示、退院退所後なるべく早くサービスを開始する)。先ほど紹介した、通所介護(参考資料)P35には、リハビリテーション専門職の配置と個別機能訓練加算の算定の有無によって、機能訓練の効果(日常生活自立度の変化)に差がみられることがわかります。
たぶん、このあたりを加算でメリハリをつけていくのかなぁという感じがします。

ただ、現場の実感としては、誰もが自分が体を動かすことの重要性は分かっていると思いますが、それをどのような形で楽しむか?というのは、人それぞれの人生観に影響されると思います。
大きな部屋で、やる気満々な人達と、楽しむのが好きな人。少人数でわいわいやりながら楽しむのが好きな人。マンツーマンだと、話が出来るけど、集団だとショボンとしてしまう人などなど。

今後の見通し

ある意味、多様性というのは、これからのキーワードになる言葉ですから、日本で育ってきた介護の文化をベースにして、更に活かしつつ、多様性を広げていくことが大事だと思います。私達の世代が高齢者になった時、昔は良かったなぁと言いたくありません(笑)。

ただ現時点の議論では、レスパイトケアは必要だけれど、そのあたりは機能訓練ほど評価しないよ(評価するとしたら、長時間サービスね)という感じがします。

そして、小規模の事業所は、少人数できめ細かい対応が出来る、レスパイトケアを中心とする方向に進んでいくような気がします。でも、少人数のスタッフで、長時間のケアというと、どうも時代とは逆行する流れになるように思います・・、それで良いのだろうか?

今後の議論に注目しましょう。


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橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

医療法人で人事・総務・行政対応等、総務人事全般を経験。実地指導や監査対応も場数をこなし、対応策などについては独自の視点も交えながら的確なアドバイスに定評あり。また、ディマティーニ・メソッドの導入により、介護現場のモチベーションアップを後方支援。マネジメント研究に日々取り組んでいる。