【プロが語る!】プレゼントしてもいいの?デイサービス内の贈り物事情


先月はバレンタインデー、そして今月はホワイトデー。さらに来月は花まつりと、私たちの暮らしの中では、年間を通じてさまざまなイベントが繰り広げられています。イベントではプレゼントを贈ったり、贈られたりといったことも盛んに行われます。

そこで今回は、デイサービス内のプレゼントについて、話をしたいと思います。

前回の恋愛話でも触れましたが、職員さんの誕生日や、バレンタイン、ホワイトデー、クリスマスなどは、デイサービス内でプレゼントが飛び交うことがあります。もちろん、お中元、お歳暮などの伝統的な行事にも飛び交います。

このプレゼントですが、プレゼントをもらう職員側からすると、正直なところ、困ってしまう事態になる場合があります。

 

プレゼントは放置するとだんだんグレードアップする?

まず、デイサービスを利用する方に対しては、「御礼やプレゼントは、どうかお気になさらず……」と思います。

どうしてか?と言いますと、「一定額を超えたプレゼントは、その取扱いをどうするか?職員が悩んでしまうから」です。

ある時点で御礼の意味が薄れ、愛情表現に変わってしまうためです。

愛情表現としてのプレゼントには、特徴があり、通常、徐々に豪華になっていきます。

また、対象者が限定されます。「職員さん全員へ」ではなく、「あなたへ」になります。

例えば、次のような感じです。

 

飴ちゃん1コ

袋菓子

高級有名菓子

二人の会話に上った商品

服飾品(自分が使わなくなった品 )

デパートで購入した商品

 

……という具合に、だんだんにグレードが上がっていきます。

ですので、職員の側も、最初の段階で、「お気持ちは嬉しいのですが、プレゼントのお気遣いは結構です」と、断っておかないと、相手からのプレゼントをもらう度に、相手の愛情を受け取る事になってしまうため、あとで「私にはその気持ちはありません!」と言っても、「え?何それ!」と返されてしまうのです。

医療介護で働く新人さんは、一度はこのプレゼントに関するトラブルを体験しているように思います。

ちなみに御礼だけの場合だと、あまり豪華になりません。

 

現場のコミュニケーショントラブルも減る?愛情表現の方法

私の講義でも、教えているのですが、「愛を伝える5つの方法/ゲーリー チャップマン」(原題 The Five Love Languages)という本があります。

人は、誰かに愛を伝える時は、大別すると下記の5つの方法を使うそうです。

自分と伝えたい相手が、同じ方法を選択している場合は良いのですが、自分と相手とが違う方法を選択している場合、自分が一生懸命に伝えていても、相手にその愛情が伝わっていないかもしれないのです。

そのため、相手が愛を実感する方法で、自分が愛情を表現したほうが、「すれ違い」が起こりにくくなります。お互いの「愛の言語(Love Language)」を学んで実践しましょう!というのが本の内容です。

その5つとは?

(1) 一緒の時間を共有する

(2) 肯定する言葉を言う

(3) プレゼントをする

(4) サービスをする(相手のお手伝い)

(5) スキンシップをする

職員さん自身も、「プレゼントをする」がその人の愛情表現だったりすると、そのプレゼントの意味に気がつくのですが、そうでないと、相手の愛情表現に気がつかず「え?!」というところまで行く事が多いようです。

(1)の人なら、一緒に居る時間を大切にするので、一緒に居ても、相手に気が向いていなかったりすると(携帯・TVを見てる)、愛情が足りない……と思われてしまいます。

(2)の人なら、相手が喜ぶことを言葉で伝える(口頭、文章)と良いです。

(3)の人なら、頻繁なプレゼントです。

(4)の人なら、相手に気遣い、自発的に、家事を手伝ったりするとポイントが上がります。

(5)の人なら、スキンシップです。触って確認します。

サービス業で働く職員さんは、この5つのうち、自分が普段重視しているのは、何か?を分かっていることが大切です。これを自己覚知と言います。

そして、利用者さんの好む愛情表現に併せて、個別対応が出来ると一人前になります。この5つを分かっているだけで、現場でのコミュニケーションのトラブルが減ると思います。

利用者さんからすれば、素直な愛情表現をしているだけですが、それを御礼と愛情表現を職員が取り違えていると、あれ?なにか変だとなるのです。

 

職員に気持ちを伝える方法は?

最後に、どうしても、御礼の気持ちを職員さんに伝えたいという場合があると思います。

この場合は、お中元やお歳暮に、事業所のみなさん全員にという形が良いと思います。この場合は、事業所も断らないと思います(大手の事業所さんは断るかもしれません)、あとでお礼状が届くと思います。

また、どうしても職員個人に渡したいという場合は、職員さんに直接渡すのではなく、上司(管理者)に渡して、上司から渡してもらう方が良いと思います。

ただ、頻回になると、管理者さんから「お気遣いなく」と言われると思いますが。

実際、職員さんの中には、断る事が基本苦手で、プレゼントを上手く断ることができない人も居ます。

上司もその職員から相談を受けた時には、高価なプレゼントにグレードアップしていて、もう返却対応しかない場合もあります。

こうなると、別室で、管理者から謝罪を聴くことになると思います。話や気持ちが、ずれてしまって、お互いが引くに引けない状態になります。

こういうトラブルを機に、サービス業は向いていないと、退社を選ぶ職員さんも居るのです。

上司から部下に渡す場合は、その辺りの指導もされると思いますので、その職員さんが、大人の対応を学ぶチャンスになります。

あと、もし可能であれば、事業所への「ご寄付」もご検討頂ければと思います。

事業所は、度重なる報酬改定で設備投資が後回しになっているところもありますから、その寄付金で、デイサービスの備品やサービスが新調されると思います。マシンを購入した、電動自転車が新調された、なんていう話を聞きます。

 

今回はプレゼントの話でした。

ただ、みなさまのお気持ちを職員に伝えるだけで、充分と感じている職員もいますので、あまりお気遣いなく……。

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橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

医療法人で人事・総務・行政対応等、総務人事全般を経験。実地指導や監査対応も場数をこなし、対応策などについては独自の視点も交えながら的確なアドバイスに定評あり。また、ディマティーニ・メソッドの導入により、介護現場のモチベーションアップを後方支援。マネジメント研究に日々取り組んでいる。