【プロが語る!】平成30年度の介護保険改正で、介護はどう変わる?


今回は、平成30(2018)年4月に改正される「介護保険法」の、現時点の検討課題や方針などをお話ししたいと思います。

気が早いなぁ~と思われるかもしれませんが、議論は始まっています。

 

平成27年の改正では何が変わったの?

介護保険は、6年ごとに大きな制度改正があり、3年ごとに報酬改定があります。

直近では、平成24(2012)年度に大きな制度改正が(次回は平成30年度)、平成27(2015)年度に報酬改定がありました(これも次回は平成30年度)。

また、平成30年度は医療報酬とのダブル改定が予定されていますので(医療は2年ごと)、大きな改正(激震?)が予想されます。

直近の平成27年度の改正もなかなか劇的な変化だったのですが、簡単にご紹介します。

 

1)利用者の金銭負担が増えた

平成27年度8月から、サービス利用時の自己負担2割が新設された
補足給付の対象者が絞られた(施設に入居している方の食費や居住費の補助をする給付)

 

2)サービス利用者を、特に重度者に限定しはじめた

これから、要支援者1・2の一部のサービスを、介護保険から地域支援事業に移行する(地域支援事業の総合事業では、認定方法が簡略化された:基本チェックリストを使用)
平成27年度から特養への入居は、原則介護度3以上になった

 

3)市町村(保険者)の役割・責任が増えている

平成28年度から小規模通所介護・療養通所介護が、地域密着型サービスに移行した
平成30年度からケアマネ事業所の指定が市町村に移行する
平成30年度までに、市町村は地域支援事業の総合事業を開始することになっている

 

平成27年度の改正からやっと1年が過ぎましたが、次回の改正について論議が本格的になっています。

平成27年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の方針2015」p.33(負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化) には、以下のような文章が載っています。

「公的保険給付の範囲や内容について検討した上で適正化し、保険料負担の上昇等を抑制する。このため、次期介護保険制度改革に向けて、高齢者の有する能力に応じ自立した生活を目指すという制度の趣旨や制度改正の施行状況を踏まえつつ、軽度者に対する生活援助サービス・福祉用具貸与等やその他の給付について、給付の見直しや地域支援事業への移行を含め検討を行う。」とあり、この方針に従って議論が進められています。

突き詰めると、介護保険の財源をどうするか?

サービスの対象者を更に限定するかどうか?という話になっています。

 

今後、自己負担が増え、介護保険もなかなか使えない状態になるかも……

現在、検討されている大雑把な内容としては(今後議論が深まる中で、詳細が出てくると思います)、

① 軽度者向け居宅サービスは地域支援事業へ移行する

② 軽度者の生活援助、福祉用具、住宅改修は原則自費となる

③ 2割負担の対象者を拡大する

現在、ここで議論される軽度者は要支援1・2だけではなく、要介護1・2も含まれています。

この事実に、業界では、なんだそれは!?…となっているわけですが、平成28年7月20日の資料によると「なお、介護保険制度においては、軽度者について要支援・要介護度の区分による定義は設けていない」と載っており(笑)、この疑問への回答のようです。

もしこれが本決まりとなると、現在618万人の認定者のうち、3分の2は地域支援事業に移行するという、前代未聞な話になっています。

まさに激震!!です。

なお平成28年2月末の認定者数は、要支援1・2=175万人、要介護1・2=229万人、要介護3・4・5=214万人となっています。

ただ、軽度者の全サービスが地域支援事業に移行するとは考えにくいので、今後移行するサービスを選定する流れになるように思います。

今回、要支援1・2のデイサービスと、ホームヘルプサービスが地域支援事業が移行しましたので、要介護1・2のデイサービス、ホームヘルプサービスが移行する可能性が高いのかな?…とは感じています。

介護保険から地域支援事業に移行すると、報酬ダウンになることが予想されますので、サービス事業者さんは、いつも以上に、今回の改正について注目されていると思います。

また、サービスを受けるみなさんも、このまま状態で改正が本決まりになると、自己負担が更に増えること、そしてなかなか介護保険が使えない……という状態になるかもしれません。

最後に、この議論は厚生労働省の社会保障審議会 (介護保険部会)で検討されています。資料なども公開(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)されていますので、一度ご覧になってはいかがでしょうか?

 

 

スクナクリエイト代表 橋谷創(社会保険労務士・介護福祉士)

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橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

医療法人で人事・総務・行政対応等、総務人事全般を経験。実地指導や監査対応も場数をこなし、対応策などについては独自の視点も交えながら的確なアドバイスに定評あり。また、ディマティーニ・メソッドの導入により、介護現場のモチベーションアップを後方支援。マネジメント研究に日々取り組んでいる。