家族葬での香典返しのマナー|金額の相場や選び方、渡すタイミングまで

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

家族葬の香典返し
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近年主流になりつつある家族葬は、家族や親族などを中心とした少人数のお葬式です。

家族だけで故人を偲び、ゆっくりお別れができると人気です。家族葬は一般葬といくつか違いがありますが、そのひとつが香典です。

家族葬では香典を受け取る場合と辞退する場合があり、それぞれ香典返しなどの対応も変わってきます。

今回は家族葬における香典返しのマナーや金額の相場、選び方などについて解説します。

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家族葬における香典

家族葬では、基本的に親族以外の香典は辞退することが多いです。親族からの香典は受け取る場合がほとんどですが、それも喪主の意思によるところが多く一概には言えません。

どのような家族葬を執り行うかは故人や喪主の意思によりますが、香典を受け取るかどうか家族と相談しておくと良いでしょう。

そして香典を辞退するかどうかは、葬儀の案内状にはっきりと示しておくことが大切です。香典を持参するべきか悩ませてしまいます。

その際は「故人の遺志により近親者のみで葬儀をすること」「家族葬なので香典やお供え物は辞退すること」というように伝えます。少なくとも香典やお供え物についての案内は忘れないようにしましょう。

また参列してほしい人以外には、そもそも訃報を伝えず家族葬の後に連絡を取るケースが多いようです。

香典を断ることは失礼になる?

香典を辞退すると伝えていたにも関わらず、葬儀当日や葬儀後に持って来る場合もあります。基本的には「故人の意思なので」と丁重にお断りするようにしましょう。

ただし、どうしても受け取ってほしいと言われた際には、あまり頑なに断り続けるのも好ましいとは言えません。その場合はありがたく相手の厚意を受け取るのが無難と言えます。

故人を偲ぶ気持ちは感謝して受け取り、法要が終わった報告とお礼を兼ねて香典返しを用意します。

香典返しを忘れると失礼にあたるので注意しましょう。遺族と関係者お互いが気持ちよく、失礼のない臨機応変な対応が望ましいと言えます。

香典返しのタイミング

香典を受け取った場合には香典返しをするのがマナー

家族葬の香典返しのタイミングは、以下の3パターンに分けられます。

  1. 即日返し
  2. 即日返しに加え、後日お返しもする
  3. 即日返しはせずに、後日お返しのみする

即日返し

即日返しとは、通夜や葬儀・告別式の当日に、すぐに参列者に香典返しを渡すことです。この方法の場合、参列者から受付で香典をもらったときにそのまま香典返しを渡す流れになります。

即日返しの香典返しは、基本的に誰のものでも同一、同金額のものを用意します。その場で香典袋を空けるわけにはいかないので、同じものをわたすことになります。即日の香典返しの相場は、3,000円程度が目安です。

家族葬の即日返しは、参列者が多めになると予想されているときや、5,000円~1万円程度の香典を包む人が多い場合に行われることが多いようです。

多めに香典を渡してくれた親族などには、後日改めて香典返しを行うのが無難でしょう。

会葬御礼との違い

会葬御礼とは通夜、葬儀・告別式に参列してくれた人にお礼の気持ちとして渡す品のことです。会葬御礼は香典の有無にかかわらず、参列した人全員に同じものを用意します。

しかし、家族葬の場合は参列者が身内のみの場合が多いため、会葬御礼は省略されることがあります。

高額なものを用意する必要はなく、一人500~1,000円くらいのものを選びます。品物はハンカチやお茶、コーヒー、のりなどが定番です。

即日返しに加え、後日お返しもする

高額な香典のため追加で香典返しが必要だと判断した場合は、即日返しに加えて後日香典返しを用意します。

もらった香典が高額だった場合は即日返しに加えて、もらった金額に応じた香典返しを用意するのがマナーです。

後日香典返しを送る

家族葬の場合は、招いていなかった人が後日弔問してくれることがあります。その際、香典を受け取るのであれば香典返しを用意します。

香典を受け取った場合、地域によっても異なりますが四十九日法要が終わったタイミングで香典返しを送ります。これは仏式の葬儀の場合であり、神式では五十日、キリスト教では一ヶ月後が仏式の四十九日にあたる日に送ります。

香典返しには四十九日法要が無事にできたお礼や、納骨ができたことの報告も兼ねたお礼状を添えます。

香典返しの相場

香典返しはもらった金額の3分の1~半額程度が相場です。1万円もらったときは3,000~5,000円くらいのものを選びます。

これはあくまで相場であり、香典返しの金額は最大でも1万5,000円程度と言われています。親族が10万円程度包んでくれたとしても、5万円の香典返しを用意する必要はありません。場合によっては、4分の1~3分の1くらいの金額でも失礼ではないとされています。

香典の金額はその人によって違うため、香典をくれた人とその金額は記録しておきます。そして四十九日法要後にすぐに送れるよう手配しておきましょう。

香典返しにふさわしい品物

香典返しはお菓子やタオル、せっけんなどの使ってなくなる「消え物」を選びます。「不祝儀を残さないように」という意味合いがあります。

好き嫌いが別れるものや、賞味期限が近い食品などはNG。また最近では、カタログギフトを送るケースも増えています。

香典返しを選ぶときのポイントは以下の5つです。

  • 使ったらなくなるもの
  • 好き嫌いが少ないもの
  • 日常生活で使いやすいもの
  • なんらかのいわれ、由緒があるもの
  • 日持ちするもの

そして、その条件にあてはまるとされる以下のものが、香典返しによく選ばれます。

せっけん、洗剤

「不幸を洗い流す」という意味があり、よく選ばれるもののひとつ。また日常生活でもよく使われます。

ハンカチやタオル、シーツ類

日常生活でよく使うものとして香典返しに人気の品です。あって邪魔になるものではなく、また白色は仏様の衣服の色として白いハンカチはよく選ばれます。

のりなどの乾物

賞味期限が長く、軽いため選ばれます。

お茶

お茶には故人を偲ぶという意味があります。故人が好んでいた銘柄や、地元のお茶を送ることもあります。また賞味期限が長いのもポイント。

カタログギフト

相手が自由に好きなものを選べ、失敗が少ないとしてカタログギフトもよく選ばれます。香典返しではタブーとされている肉や魚も贈ることができます。

香典返しののし、水引について

のしのかけ方には「外のし」と「内のし」があり、香典返しを郵送するときは内のしにします。内のしは外側に包装紙が巻かれる方法です。

のし紙の上側には、仏教では「志」と書くのが一般的です。水引の下には「◯◯家」もしくは喪家の姓を書きます。

また、黒白5本の結びきりを使うことが多いですが、一部の地域では黄白5本の結びきりの水引を用いることが多いようです。わからないようであれば黒白の水引にします。

のし、水引については地域によって異なる場合があるため、手配する前に確認しておくと良いでしょう。

香典返しに添えるお礼状について

香典返しと合わせて、無事に四十九日法要が終わった報告とお礼を兼ねたお礼状も添えるようにします。

このお礼状を書く際のポイントは、必ずお礼と感謝の気持ちを伝えることです。故人の印象に残る思い出を添えるのも良いでしょう。

また文中に「、」や「。」などの句読点が入らないように注してください。これには諸説ありますが「法事がつつがなく進むように」という意味合いがあります。

直接お礼の挨拶に伺うべきところを略儀で済ませる、お詫びの言葉も忘れないようにしてください。

香典返しに添えるお礼状の例文

香典返しに添えるお礼状の例文を紹介します。宗派によって用いる言葉が違うため、喪家の宗派に合わせたお礼状を作成しましょう。

仏式の場合

仏式の場合は、故人の戒名を入れるようにします。

拝啓

亡父〇〇儀 葬儀に際しましては ご多用中のところをご会葬を賜り

かつご丁重なる御厚志を賜り ありがたく厚く御礼申し上げます

おかげをもちまして ○月○日 〇〇院〇〇〇〇居士

四十九日(七七日)法要を執り行うことができましたことを

ご報告申し上げますとともに 生前賜りましたご厚誼に対し 改めて御礼申し上げます

つきましては 心ばかりではございますが 供養のしるしのお品をお届けいたしましたので

何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます

まずは略儀ながら書中をもちまして ご挨拶申し上げます

敬具

令和◯年

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◯◯市◯◯1-2-3 山田太郎

神道の場合

神道の場合は、亡くなることを帰幽と言います。また、四十九日法要の代わりに五十日祭を行います。

謹啓

このたびは 亡父〇〇儀 帰幽にあたり ご多用の中 足をお運びいただき

さらには過分なるご厚志を賜り 誠にありがたく御礼を申し上げます

おかげさまをもちまして五十日祭も滞りなく 済ませることができました

ここに心ばかりの品ではございますが お届け申し上げますので お納めいただけますよう お願い申し上げます

本来は直接ご挨拶を申し上げるべきところ 粗状にて御礼の御挨拶とさせていただきます

敬具

令和◯年

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◯◯市◯◯1-2-3 山田太郎

キリスト教の場合

キリスト教にはカトリックとプロテスタントがあり、一部用いる言葉が違うので注意します。

たとえば、「葬儀」「永眠」をカトリックでは「帰天」、プロテスタントでは「召天」と表現します。また仏式での「御芳志」「ご厚志」は「献花」と言い換えます。

キリスト教では四十九日法要の代わりに追悼ミサを行います。ここではカトリックの例文を提示します。

謹啓

先般は 亡父 〇〇〇(洗礼名) △△△(氏名)の帰天に際し

丁寧なご会葬とお心遣いを賜りましたこと 厚く御礼を申し上げます

おかげさまで追悼ミサも 滞りなく相営むことができました

つきましては心ばかりの品ではございますが お送りいたします

なにとぞご受納いただけますようお願い申し上げます

本来であれば直接お目にかかってお礼を申し上げるべきところ 略書失礼ながら書中にて御挨拶を申し上げます

敬具

令和◯年

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◯◯市◯◯1-2-3 山田太郎

無宗教葬の場合

無宗教葬の場合は、宗教色が出ないようにします。

謹啓

「先般は 亡父〇〇〇〇儀 葬儀に際しまして 御会葬と御芳志を賜りましたこと 誠にありがとうございました 厚く御礼を申し上げます

〇月〇日 無事に納骨を済ませて参りましたことを ここにご報告いたします

つきましては心ばかりではございますが お礼の品をお送りしました

お納めいただけますよう お願い申し上げます

本来であれば直接お目にかかってお礼を申し上げるべきところ 失礼ながら書中をもちまして御挨拶とさせていただきます

敬具

令和◯年

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◯◯市◯◯1-2-3 山田太郎

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