【連載50回突破!】地域コミュニティーづくりが今後の福祉のキーワードに!


連載をはじめて、この記事がちょうど記念すべき50回目になります。
今回は、平成30年度から、本格的に始動する総合事業についてお話ししたいと思います。
27年度から、総合事業(正式名称は「介護予防・日常生活支援総合事業」)のサービスが始まりました。

27、28、29年度の3年間のうちに、全国の区市町村が、総合事業を開始しなくてはいけない決まりになっており、準備ができた市町村からスタートしました。
29年度に開始した市町村が多いかと思いますが、全部の市町村がサービスを開始してから1年弱ですね。

この総合事業は、今まで介護保険の中の、「介護予防サービス(要支援1・2が対象)」として提供されていた全国一律の基準のサービスを、「総合事業(要支援1・2、事業対象者)」として、市町村が独自にルールを定めて、提供するサービスに変更になりました(地域の実情に併せて、報酬や利用ルールを基準として定めます)。

介護予防サービスのうち「訪問介護・通所介護」の2サービスのみが、総合事業に移行しました。
とはいえ、介護予防サービスの中で、この2つのサービスを利用されている方は大変多いので、影響は大きいのです。

この総合事業は、介護保険サービスと似ている仕組みもありますが、新しく導入された仕組みもあります。
今後、国は介護保険サービスを将来にわたって継続させるために、対象者を制限する方向で話をしています。
将来的には、介護3・4・5を対象にすることになるかもしれませんが、そうなると今まで介護保険サービスを受けていた人たちは、困ってしまいます。

そのため、新しく「介護保険と似ているが違うサービス」を提供することになりました。
今後、総合事業は、いろいろなアイデアと仕組みを取りいれながら、実施されていきます。

特に、今まで行われてきた介護事業所による介護予防サービス相当のサービスに加えて、NPO、民間企業、ボランティアなど地域の多様な主体を活用して、高齢者を支援するサービスが行われます。
中には、クティブシニアによるボランティアを積極的に活用」することで人件費を抑えたサービスモデルもあります。

訪問介護のサービスでは、各自治体で、生活支援員、生活支援の担い手もしくは生活支援ボランティア(名称はさまざまです)と呼ばれる資格者を養成しています。

訪問介護(自宅に訪問して、身体介助・生活援助サービス提供を行う)の中でも、利用者の体を触る「身体介護」ではなく、家事の支援をのみを行う「生活支援」が、生活支援員になります。
この支援員は、先程の多様な主体の1つになります。

国は、介護の有資格者(介護福祉士、実務者研修、初任者研修、基礎研修、ヘルパー1・2級など)は、介護保険サービスに従事してほしいと考えています。総合事業にも一定数の有資格者が必要ですが、どちらかといえば、この生活支援員や、ボランティアがより従事ができる体制にしていきたいと考えています。

ちなみに、要支援者や事業対象者(介護認定者になる手前の人)の、困っていることを見ると以下のようになります。

要支援1・2をみると、買い物や調理に関して、自立している人が少なくなってます。ということは、このニーズに関して、支援があれば、今の生活を続けることができます。

ただこの支援内容であれば、福祉医療の有資格者にサービスをしてもらうと、今後の人材難も予想されるので、
無資格者もしくは短時間の研修の修了者が、サービスを提供するのが良いのでは?という方向になっています。そのため、報酬なども見直されています。
このお仕事に内容が異なるというのがポイントです。

また、どのように地域の人達を支えていくか?について、「自助」「互助」「共助」「公助」という四つの視点で考えてみましょう。

これらを簡単に説明すると、次のようになります。

「公助」は税による公の負担(生活保護など)
「共助」は介護保険などリスクを共有する仲間(被保険者)の負担(社会保障全般)
「互助」は費用負担が制度的に裏付けられていない自発的な負担(地域コミュニティー)
「自助」は自分のことを自分でする、サービス・物品の購入などの負担

現在、介護保険は「共助」ですが、総合事業では「共助」+「互助」になります。
自分達の地域コミュニティーを育てていくこと(アクティブシニアが、自分や家族以外の方への支援を行うこと)で、自分達も安心して老後を迎えられる地域になっていきます。

今後は、「公助」「共助」の使い勝手が悪くなり(対象者を制限することになるため)、その分「自助」が増えていきます(介護保険外サービス、自費サービスの増加)。

とはいえ、何でも「自助」というわけにもいきませんから、それを補う「互助」が、みなさんの生活にどんどん入ってくると思います。
総合事業は、「共助」だけではなく「互助」を促進するための仕組みがあります。

特に、定年退職された65歳以上の方が、自分の時間の一部を地域コミュニティーで活躍することで、地域のみなさんも安心できますし、担い手側の満足度も上がっていきます。
そして、何十年後に、自分への支援に戻ってくるという形になると思います。

ただ、活動範囲に関しては、いろいろと意見がありますが、自転車に乗って、隣の地区に行くというのは、どちらかと言えば「共助」に近く徒歩で片道300mくらいというのが、「互助」の範囲かな?と個人的に思います。

国の資料によれば、

「要支援者への生活支援サービス」が必要 +「アクティブシニアの社会参加」が求められる = 「生活支援の「担い手」としての社会参加」

そして、この社会参加をすることが、効果的な介護予防になる!とまとめています。

なかなか斬新な考え方ではありますが、みなさんの地域の対応力を上げるためにも、このような活動に興味がある方は、ぜひ自分の市町村で情報収集をされると良いと思います。
地域コミュニティーづくりは、今後の福祉のキーワードになります。


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橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

医療法人で人事・総務・行政対応等、総務人事全般を経験。実地指導や監査対応も場数をこなし、対応策などについては独自の視点も交えながら的確なアドバイスに定評あり。また、ディマティーニ・メソッドの導入により、介護現場のモチベーションアップを後方支援。マネジメント研究に日々取り組んでいる。