【アジアの聖地から】巨大な船のお寺 ワット・ヤーンナーワー(タイ)


ラーマ3世のジャンク船への想い

タイの王宮周辺へ行くには、チャオプラヤー川をボートで移動する人々も多く、電車からボートへの乗換駅となるのがサパーンタクシン駅。そこから徒歩3分ほどのところに、とても独創的なお寺があります。

 

周囲には高層ビルが立ち並びます

 

重厚な山門をくぐると、きれいに整えられた芝生と植え込み、まるで公園のようです。
そしてその先には驚くほど巨大な船。なんと、この船がこの寺院の仏塔なのです。確かに甲板の上には、帆を支えるマストのような二本の塔がそびえ立っています。
この船はジャンク船という、中国様式の木造帆船をモチーフにしたもの。タイでもアユタヤ王朝時代から諸外国との貿易で大活躍した船なのです。

 

博物館の入るお城のような建物

 

仏塔の建立者であるラーマ3世は、信心深く、50以上の寺院を建立したことでも知られています。そして王も、このジャンク船を活用した貿易で莫大な富を築きました。しかし蒸気船の普及で、風力のジャンク船は消滅の危機に。王はこの船の形を後世に残したい想いで、これほどまでに特徴ある仏塔を造ったのです。

 

社会貢献に尽くすお寺

意外にも観光客は少なく、落ち着いて観覧することができます。豪華な三つ尖塔が目を引く、お城のような建物は博物館になっていて、そこの最上階からは船と境内の全景が広がります。
全体的に高く大きな建物に囲われ、少々圧迫感もあるのですが、奥に佇む本堂は開放感があり、タイ特有の金の荘厳が鮮やか。静かに参拝することができます。

 

金色の荘厳が鮮やかな本堂

 

境内にはこのお寺のお坊さんたちが、洪水で尽力した写真が掲示されてました。タイは洪水被害が多く、特に2011年には多くの死者と被害をもたらした最悪の洪水がありました。
写真には、ぬかるみにはまってしまったトラックをお坊さんたちが素手で押し、更には自らボートに乗って物資を運ぶ勇ましい姿がありました。被害者の救済、国の復興へ、体を張って尽くした様子が伝わります。

 

僧侶たちが洪水で尽力した姿が掲示

 

中学生の宿題は「観光ビデオ制作」

制服の女の子たちがタブレットやノートを見ながら何やら真剣に話し込んでいます。声をかけると面白い答えが。
「私たちは外国人にタイのお寺を紹介するビデオを作ってます。これ学校の宿題なんです。いいビデオができると成績が上がるんですよ。」
この子たちは隣接する中学校の一年生。学校でグループごと出された課題が、ビデオ制作なのです。

観光国タイだからという意味もあるようですが、ストーリーを考え、撮影から編集、そして外国人と話す機会、この課題によって様々な経験を積むことができるというのです。これはとても独特な興味深い取り組みです。

 

ビデオ制作に取り組む中学生とご家族

 

すると一緒にいたお父さん、お母さん、おばあちゃんから「ちょっと子ども達に協力してくれませんか?」とお願いされました。もちろんOKです。

「3,2,1!」のカウントでスタート。
「このお寺にどんな印象を持ちましたか?」
「はい、驚きました。こんなに大きな船のお寺を見たのは初めてです。」
こんな感じでいくつかのやり取りをして「カット!」
成績アップに繋がるビデオが出来たなら何よりです。

 

撮影中、お役に立てたなら光栄です

 

 

そして「明日も一緒にお寺を見に行きませんか?珍しいお寺を案内しますよ。」と嬉しいお誘い。しかし翌日は帰国日、残念。

 

 

4.83/5 (23)


The following two tabs change content below.
齋籐 浩司

齋籐 浩司

齋藤浩司(株式会社B-WAYグループ 代表取締役) 互助会から葬儀社を経て2001年同社創業。2002年に葬送支援NPO法人を創設。2010年には宗教法人を新規認証。CSR活動として、2007年お寺で余ったお供え物を困窮世帯へ届けるフードバンクを設立。2013年からは東南アジアの貧しい子ども達への生活・教育支援を開始し、現在はカンボジアのスラムで孤児院と幼稚園を運営。活動時に各国の聖地を訪れ、宗教家や現地の人々から文化を学んでいる。東京都新宿区出身。