「追加料金は掛かりません」は嘘?「イオンのお葬式」に措置命令


12月22日、景品表示法などを管轄する消費者庁が「イオンのお葬式」をサービス運営するイオンライフ株式会社に対して、景品表示法違反(有利誤認)があったとして、再発防止を求める措置命令を出しました。

何が問題だったのか?

イオンライフ社は今年3月〜5月にかけて、全国で実施した新聞広告において、下記のような表示をしていました。

イオンのお葬式 追加料金不要
火葬式 198,000円(税込) 
一日葬 348,000円(税込)
家族葬 498,000円(税込)

しかし、実際には、下記のようなケースで追加料金がかかることがあるにも関わらず、そのことを広告に明記していなかったため、これが、消費者に対して価格を不当に安く見せるものであるとの指摘がありました。

1. 寝台車又は霊柩車の移動距離が50kmを超える場合
2. 式場などにおける安置日数が3日〜4日を超える場合
3. 2の時にドライアイスを追加する場合
4. 式場利用料が25,000円又は50,000円を超える場合
5. 火葬場使用料が15,000円を超える場合

料金に関して例外がある場合には、広告のどこかに文字でその件が明記されているのが通常ですが、今回のイオンライフ社の広告についてはその記載がなく、今回の措置命令に至ったと考えられます。

実際に追加料金がかかるケースとは?

前記の1から5のケースは、どれも実際によく起こるケースです。

例えば、火葬場使用料について、見てみたいと思います。下記は東京で6つの斎場を運営する東京博善の料金表と、公営の臨海斎場の価格表です。

東京博善の価格表
臨海斎場(公営)の価格表

東京博善で一般に実施できる中で最も安い「最上等(星)」でも59,000円。臨海斎場で区民割引があったとしても34,500円と、ともに15,000円を大幅に超えています。多くの都民にとっては、「追加料金不要」という状況は小児などを除いてほとんど不可能です。

東京都以外のエリアでも多くの地域でこういった状況が発生しており、消費者庁によれば「全体の4割で追加料金が発生していた」とのことです。

現在の対応状況は?

イオンライフはホームページにおいて、以前は「定額セット料金」と書いていました。

以前のイオンのお葬式のページ

現在は修正して、追加料金の必要な場合があることを明記しています。

現在のイオンのお葬式のページ(2017年12月26日現在)

価格の後ろに「〜」を付けている他、セットプランに含まれない内容を明記しています。

なお、今回の措置命令に関連して、過去にイオンライフに支払ったお葬式の代金の一部が返金になるといったことは発表されていません。心当たりの有る方は個別に問い合わせる形となります。

同様のことを宣伝する他社については?

葬儀については、他にも「追加料金がかからない」ことを宣伝文句にしているサイトがあります。

小さなお葬式

「追加料金一切不要」を明記しています。

トップページ

「小さなお葬式」トップページよりキャプチャ

下層ページ

「小さなお葬式」下層ページよりキャプチャ

シンプルなお葬式

「追加費用無しの定額」を明記しています。
トップページ

「シンプルなお葬式」トップページよりキャプチャ

下層ページ

「シンプルなお葬式」下層ページよりキャプチャ

いずれの場合も、火葬場の差額については、下層ページにおいて明記をしています。搬送距離50キロ以上の追加料金や安置料金、ドライアイス料金の追加についても同じく下層ページに書いてあります。

ともに「追加料金不要」を大きな宣伝文句として使っていることもあり、追加料金がかかるケースについては下層ページで説明していることについては消費者保護の観点から議論の分かれるところです。

追加料金は払わなくて良いのか?

では、実際に葬儀をした後から追加料金を請求された場合はどうしたらいいでしょうか?
「『追加料金不要』と言われたから、後で請求されても一切支払う必要はない!」
と思われるかもしれませんが、なかなかそういうわけにはいきません。

火葬料金がオーバーしたのか?送迎距離が何キロになったのか?ドライアイスの追加がどのぐらいだったのか?
それらについて事後に知らされても、火葬を途中で止めたり、送迎してきたものを元に送り返したり、ドライアイスを返却したりといったことはできません。実際には契約書や見積書に小さな文字で各種条件を明記してありますから、泣く泣く追加料金を支払うしか無いでしょう。

結局のところ、条件付きで「追加料金不要」と宣伝しているようなところに相談するのではなく、最初から誠実で正直に見積もりを出してくれる葬儀社様のほうが安心して頼めるのではないでしょうか。

消費者が気をつけるべきこととは

「通常価格」を記載した上で「キャンペーン価格」を表示している場合があります。この「通常価格」の表示については具体的に決められており、過去8週間のうち、少なくとも4週間以上の販売実績が必要です。

また、「キャンペーン期間につき無料」などの特典がある場合でも、キャンペーン期間をなんども繰り返すことはできません。

消費者にとっては、そういった消費者保護のルールを知る必要はありません。一方で、わけもわわからず魅力的な広告や、安心感を与えようとしている広告に対しては、冷静になる必要があります。

誰しも、葬儀については素人です。だからこそ、言いなりになってしまったり、広告に左右されるのではなく、見積もりの内容がよくわからなければ、相見積もりを取ったり、経験者に聞くなどして、自分なりに納得をしてから契約をすることはとても大切です。

葬儀に対して、不当な高い値段を支払う必要はありません。
一方で、安いだけの葬儀が本当にいい葬儀でしょうか?

葬儀の目的は、安く仕上げることではなく、大切な人との別れを惜しみ、しっかりと送り出すことです。値段や宣伝文句に惑わされること無く、どんなふうに送り出したいか。その時が来てからでは時間があまりに無いかもしれません。すこしだけでもお時間をとって、いつかくるその日に備えてみてはいかがでしょうか?

 

消費者庁のプレスリリース
イオンライフ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_171222_0001.pdf

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