訪問介護の報酬・基準について


今回は、訪問介護(ホームヘルプ)の改正情報をお話ししたいと思います。

 

11月1日、12月6日に行われた、社会保障審議会 介護給付費分科会の資料が公開されました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000183153.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000187139.html

 

「訪問介護の報酬・基準について」「訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の報酬基準について②」に、来年度の改正・改定の論点が載っています。

 

今回の改正では、今まで以上に「医療と介護の連携」「機能訓練(リハビリテーション)」について、熱い議論がされています。また、介護保険制度を持続させるために、想定外のサービスや、効果が限定的なルールを改善することも、かなり明け透けに話されています。

 

財政状態の悪化により、自立支援、重度化防止という具体的な結果が、より求められているからです。

 

今回の訪問介護の重要な論点の1つは、生活援助サービスをどうしていくのか?です。

数年前より、軽度者の生活援助は介護保険では、もう面倒をみない!とされ、まずその布石として、要支援者を介護保険から切り離し、総合事業に移行させ、多様な担い手(要するにボランティア)に、それを任せようとしました。

ところが、全国的に、その担い手の発掘や育成が進んでおらず、研修をしても、参加者が少人数しか集まらないという状態になり、計画が進んでいません(練馬区のように成功事例もあります)。

 

当初は、要介護12の総合事業への移行なども検討されていましたが、それが先送りになり、しばらく現制度を継続させることになりました(ただし、今までと違うやり方で存続することになります)。詳しくは、下記の論点1をご参照ください。

 

今回の資料では、

論点1 身体介護と生活援助の在り方

論点2 同一建物等居住者にサービスを提供する場合の報酬

論点3 サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化

について挙げられています。

 

論点1 身体介護と生活援助の在り方

今までのサービスを継続するにしても、これから高齢者が増え続け、サービス従事者が足りなくなりますから、どのような方法が、少ない従事者で効率的に対応出来るか?が検討されています。

 

対応策1 リハビリ専門職と連携した訪問介護計画の作成により、身体介護を実施する

→ 生活機能向上連携加算を見直して、通所リハ、訪問リハ以外にも、リハビリテーションを実施している医療提供機関のリハ専門職、医師と連携をとれるように変更するようです。

対応策2 自立生活支援のための見守的援助を適切に実施する

→ 老計第10号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」を見直し、身体介護として行われる「自立生活支援のための見守り的援助」を明確化するようです。この辺りは実地指導でも、よく指摘されるところですから、明確化は歓迎されると思います。

 

対応策3 身体介護と生活援助の報酬を検討し、人員配置も見直す

→ 身体介護に重点をおき、身体介護と生活援助の報酬にメリハリを付ける(生活援助の人員配置を緩やかにして、報酬を下げる)。生活援助は、思い切った人員配置になると言われています。

 

対応策4 更なる人材確保策を実施する

→ ホームヘルプは、資格がないと働けません(無資格でOKなのは、他のサービスです)。現在の130時間の研修を受けないと資格が取れないのは、ハードルが高いので、旧ヘルパー3級のような、50時間程度の研修を新設する事が検討されています。これに関しては、他の総合事業の担い手の施策とも競合する為、すぐには決まらないように思います。

 

論点2 同一建物等居住者にサービスを提供する場合の報酬

数年前から、同一建物等に住む利用者に対して、訪問介護を提供する場合は、通常の報酬から10%減算されています。この減算の対象範囲を広げる事が検討されています。

 

最終的に、「訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の報酬基準について②」では、

 

①事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者

(②に該当する場合を除く。)

②上記の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50人以上の場合

③上記以外の範囲に所在する建物に居住する者

(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合)

というように変更されるようです。

 

特に事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅)が、1月あたり50人以上サービス提供している場合は、収支差が8.9%~26.1%とかなり高い状態になっているので、これを是正する方向になるようです。もしかすると減算率も変更されるかもしれません。

 

論点3 サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化

サービス提供責任者のうち、初任者研修課程修了者、旧2級課程修了者は任用要件から廃止することが検討されています(現に従事している場合は、1年間の経過措置を設ける)。

 

また、今後は、訪問介護の現場での利用者の口腔に関する問題や服薬状況等に係る気付きをサービス提供責任者から、居宅介護支援事業者(ケアマネジャーさん)等サービス関係者に情報共有することになりそうです。ケアマネジャーは、その情報を主治医や歯科医師等に報告します。

 

今回の資料には載っていませんが、居宅介護支援の論点の1つに、訪問回数の多い利用者への対応が載っています。

 

生活援助中心型で訪問回数の多いケアプランについては、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、市町村が確認・是正を促していくことになりそうです。ケアマネジャーが一定の回数を超える訪問介護を位置付ける場合には(生活援助の利用回数が「1ヵ月あたりの全国平均+2標準偏差」を上回るもの)、市町村にケアプランを届け出ることとし、届け出られたケアプランについて、市町村が地域ケア会議の開催等により検証を行うことになるようです。

 

「訪問介護の報酬・基準について」の論点をご紹介しました。

今後の議論に注目しましょう。

 


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橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

橋谷創(スクナクリエイト代表/社会保険労務士・介護福祉士)

医療法人で人事・総務・行政対応等、総務人事全般を経験。実地指導や監査対応も場数をこなし、対応策などについては独自の視点も交えながら的確なアドバイスに定評あり。また、ディマティーニ・メソッドの導入により、介護現場のモチベーションアップを後方支援。マネジメント研究に日々取り組んでいる。