【アジアの聖地から】世界で唯一の“鉄の城” ワット・ラーチャナッダラーム(タイ)


黒から金色へ改装

タイの首都バンコク。近代タイの民主主義を象徴する民主記念塔の近くに、ワット・ラーチャナッダーラームという寺院があります。このお寺はユネスコ世界遺産への申請もされ、まだ登録はされてないものの、その重要性を伺うことができます。

1846年にラーマ3世が、姪のソマナス殿下のために建てた寺院で、当時は親族や側近にお寺を建ててあげるという風潮があったのです。

そしてこの境内にはロハプラサートという仏塔がそびえ立っています。この仏塔こそが、とても知名度が高く、その別名は“鉄の城”。

「どこが鉄?」と見てしまいますが、実はこの仏塔の屋根、今は金色に輝いていますが、近年改装されるまでは黒の鋼鉄製だったのです。幾つもの小さな仏塔を積み上げたような造り、先端は細長くとがっていて、針の山のようです。その尖塔は37もあり、高さは36m。まるで西洋のお城です。

タイのお寺と言えば金色が一般的ですが、それが重厚感あふれる黒だったのですから、この国ではとても珍しく、「鉄の城」、「バンコクで最も独創的なデザイン」と言われているのにも納得できます。

鋼鉄の屋根という様式は2,000年程前にはインドとスリランカにもあったのですが、今はここだけ、世界で唯一の仏塔とされています。

尖塔の37は善行の数を意味し、この姿は、お釈迦さまとお弟子たちが住み、修行をした伝説上の建物を再現したという説もあります。

 

分かりやすいお坊さんの説法

この仏塔は中央が螺旋階段になっていて、7階の最上階まで登ることができます。そして2階から6階は瞑想の回廊。細く入り組んだ廊下は迷路のようで、至るところに仏像が祀ってあります。ここには瞑想を体験する多くの学生が訪れます。当日だけでも小学生の団体、中学生の団体が次々と訪れていました。

中学生を引率してきた先生にお伺いしてみました。

「このくらい年齢になると、ご両親や私たち教師の言うことは聞かなくなってきます。それでもこの子たちはお坊さんの話しだけは真剣に聞くのです。お坊さんは物語りをしながら、“嘘をついてはいけません”“盗んではいけません” “悪いことをすると地獄へ行き、良いことをすると天国にいけます”と教えてくれるのです。これがとても分かりやすくて評判がいいのです。」

 

中学生の美しい瞑想姿

瞑想をするという中学生1年生に同行させて頂きました。タイは子供から信仰が深い国ですから、中学生が瞑想する姿も、日ごろからやっているのかと思えるほど、慣れや落ち着きを感じます。背筋を伸ばし、静かに目を閉じる姿はとても美しいです。

しかし、そこはやはり中学生。日本人である私に気付くと騒ぎだしてしまいました。

「日本人?しんちゃん知ってる?みさえ!のはら!さいたま!」と。クレヨンしんちゃんは埼玉が舞台でしたね。タイでも大人気のようです。

「なに祈ってたのか教えてよ」と聞くと、「秘密!」と中々教えてくれません。しんちゃんの話しに付合いながら、「教えてよ」を繰り返すと、最後にやっと教えてくれたのは、「美人になれますよーに!!」でした。

この祈りは世界中の女の子に共通なのでしょうね。

 

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齋籐 浩司

齋籐 浩司

齋藤浩司(株式会社B-WAYグループ 代表取締役) 互助会から葬儀社を経て2001年同社創業。2002年に葬送支援NPO法人を創設。2010年には宗教法人を新規認証。CSR活動として、2007年お寺で余ったお供え物を困窮世帯へ届けるフードバンクを設立。2013年からは東南アジアの貧しい子ども達への生活・教育支援を開始し、現在はカンボジアのスラムで孤児院と幼稚園を運営。活動時に各国の聖地を訪れ、宗教家や現地の人々から文化を学んでいる。東京都新宿区出身。