施設での虐待後絶たず=人手不足でストレス重く-老人ホーム83歳殺害容疑


 介護施設職員の入所者に対する虐待が後を絶たない。7月には群馬県の老人ホームで入所女性の顔を殴り重傷を負わせたとして元職員の男が逮捕。神奈川県では老人ホームの入所者3人が相次いで転落死し、元職員の男が殺人容疑で逮捕されたケースもあった。関係者は、虐待の根底に慢性的な人手不足で業務負担が過重になり、大きなストレスを抱える現場の状況があると指摘。職場環境の改善を訴えている。

 厚生労働省の調査によると、2015年度の介護施設職員による虐待件数は408件で、調査が始まった06年度から9年連続で増加した。一方、介護業界の労働組合「日本介護クラフトユニオン」が16年、組合員に実施したアンケートでは、虐待の原因について「業務の負担が多い」と考える人の割合が最も多く、次いで「仕事上でのストレス」が占めた。

 同ユニオンの染川朗事務局長は、介護報酬が低く抑えられる中、業界全体が「人材を選ぶことができないほど究極の人材不足に追い込まれている」と指摘。介護に向かない人材にも頼らざるを得ない現状が虐待につながっているといい、国に対して介護報酬の引き上げを求めている。

 施設側も介護報酬の低さから人員を増やすことができずに離職を招く「負のスパイラルに陥っている」という。

 同ユニオンは8月、介護施設を運営する法人との間で虐待防止に関する協定を締結。今後、職員のストレス予防や相談窓口の設置などに取り組むとしている。(了)


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