【アジアの聖地から】イタリア産の大理石寺院 ワット・ベンチャマボピット(タイ)


現代寺院建築の最高峰、世界で最も美しい寺院の一つと評される名刹。
遭遇したタイ軍の得度式、総勢86人の王室への祈り。

最も尊敬されている国王が眠る寺

タイの首都バンコク。行政機関が立ち並ぶドゥシット地区に、真っ白な山門が目を引くワット・ベンチャマボピットがあります。ここは1899年に当時の国王ラーマ5世が建てた仏教寺院。屋根と金の窓枠以外は大理石。光彩豊かなヨーロッパ調のステンドグラスも壮観。本堂を廻る外回廊には世界各国の仏像がずらりと並び、その異なる表情やしぐさが楽しませてくれます。
ここは“大理石寺”という別名を持ち、近代寺院建築の最高峰、世界で最も美しい寺院の一つとも評される名刹なのです。

真っ白な山門が目を引きます

ラーマ五世はタイの近代化に尽力し、現在のタイをつくった最も尊敬されている名君です。東南アジア諸国が次々と植民地化される時代に即位、独立国家を守り続けることができたのもこの王がいたからこそでした。
イタリアに外遊に行った際に、大理石の美しさにたいへん感動し、同国の建築家を招いてこの寺の建築を始めました。王の遺骨もここに安置され、美しい寺院と共に国を見守っているのです。

世界各国の仏像が回廊を廻ります

王妃の誕生日に合わせた軍隊の得度式

受付では「今日は本堂に入れないから入場料は無料」と言われました。本堂に入れないのは残念ですが、外から覗くのは構わないとのこと。本堂では100名ほどの僧侶が白衣で座り、高僧の説法を聞いています。これは何やら大きな儀式のようです。

白衣で座る86人の僧侶

そして説法が終わると一斉に外に出てきました。そこで今度は色付きの衣に着替え始めるのですが、白衣を脱いだ時に驚きました。全員の引き締まった体、そして若く精悍な顔つき。どうみても普通のお坊さんではありません。更には衣の着方が分からず焦っていたり、みんなキョロキョロと落ち着きがありません。

 

引き締まった体、精悍な顔つき

 

そこで近くにいた観光客らしきタイ人に「今日は何の行事ですか?」と聞いてみました。すると「今日は息子がお坊さんになる儀式です」との答えでした。
今日は得度式だったのです。タイの男子は一般的に一度は出家して短期間ではありますが修行を積むのです。しかしこの大人数と若者たちのただものでない風貌は何なのでしょう。

 

「息子は軍人ですよ。今日ここではタイ軍の若者86人がお坊さんになるのです。8月12日はシリキット王妃のお誕生日、タイではこの日を母の日としているのです。そして王妃はもう86才のご高齢です。そこでタイ軍は王妃の年齢と同じ数の若者をここで得度させ、王妃の健康を祈っているのです。」

 

昨年お亡くなりになったプミポン国王の奥様、王妃の誕生日が今日だったのです。王室を敬うタイ軍の心遣いに感心しました。

衣の着方に戸惑い、焦るお坊さん

儀式を終えた息子さんも来てくれました。近くで見れば穏やかで優しそうな方です。
この子は普段は軍隊での生活ですから中々会う機会がありません。今日はせっかくの機会なので顔を見にきました。軍にいることも、ここで2週間だけですが仏門に入ることも誇りに思っています。

母子が会えた束の間の時間

今回は偶然にも貴重な儀式を拝見することができました。軍人であり出家した若者ですが、お母さんからすればまだまだ20才になったばかりの子供なのでしょう。息子さんを頼もしく、そして少し寂しそうに眺めていました。ここで修行が終わってもまた軍隊の生活。母子が久々に対面できた素敵な時間でした。

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齋籐 浩司

齋籐 浩司

齋藤浩司(株式会社B-WAYグループ 代表取締役) 互助会から葬儀社を経て2001年同社創業。2002年に葬送支援NPO法人を創設。2010年には宗教法人を新規認証。CSR活動として、2007年お寺で余ったお供え物を困窮世帯へ届けるフードバンクを設立。2013年からは東南アジアの貧しい子ども達への生活・教育支援を開始し、現在はカンボジアのスラムで孤児院と幼稚園を運営。活動時に各国の聖地を訪れ、宗教家や現地の人々から文化を学んでいる。東京都新宿区出身。