ライフエンディング業界のトップインタビュー フューネラルマスターズクラブ「業界を活性化し、 次世代へ引き継ぐ」

フューネラルマスターズクラブ(Funeral Masters Club)
村本隆雄 / 伊藤健 / 中川貴之 / 木村光希

『フューネラルマスターズクラブ(Funeral Masters Club)』は、株式会社めもるホールディングス代表・村本隆雄氏、ライフアンドデザイン・グループ株式会社専務取締役(COO)・伊藤健氏、株式会社アーバンフーネスコーポレーション代表取締役社長兼 CEO・中川貴之氏が発起人となって生まれた、エンディング関連事業者のための総合サポートネットワークだ。 今回、独創的な経営戦略と先進的な取り組みで常に注目され続けている 3 名に、株式会社おくりびとアカデミー代表・木村光希氏の司会で、クラブ設立の設立の狙いや今後の活動などについて、その思いを語ってもらった。

2020年1月8日

次世代への基盤づくりを

木村  改めて、設立目的からお話しいただけますか?

中川  まず、私は個人的に時代の流れから見て、葬儀業界はもっと活性化していく、競争原理がよい方向に働いていくと捉えていたんです。ところがこの数年、景気要因も含めて停滞し、真逆の状況に皆ぶつかっています。その中で葬儀の価値を伝え、産業自体をより良くしていくためには、無駄な競争をしている場合ではないと考えるようになりました。今は、業界全体が同じ方向に向かうことが必要なステージではないかと。ここにいる3人が個人的に集まった時、各々が同じように考えていることがわかって意気投合して、業界の未来に向けてさまざまなことをシェアして協業していく活動をしていくべきではないかと、団体を立ち上げました。

伊藤  私たちは3人とも、やり方も、やっている場所も違うので、お互いの話を聞いていると勉強になるんです。

中川  もう一つ、世代交代が行われないと、業界はなかなか活性化はしていかないので、バトンタッチの一翼を担える集まりとしてやっていきたいという思いもあります。私たちもずっと第一線でやっていくわけにはいかないので、つないでいくことを考えなければいけない。この先亡くなる方が増えても、景気はもう後押しをしてくれないので、経営的・経済的な面で新たな価値を生み出すところまで、仲間と一緒に作っていかないと、続いていかない感じがするんですね。

村本  私たちの前の世代の業界は勢いがあったし、携わる人たちもある意味「イケイケ」でした。そこを目標にしてきたのが私たちの世代。でも現状の業界は先々が不安だよね、厳しいよねという話になります。そこにこれから本格的に携わっていく木村さんたちの世代が見る景色は、私たちの世代が見ていた景色とは全然違う。でも、この業界が全くダメかというとそんなこと
はありません。やる気とやり方の違いですね。昔は気合一つで乗り越えられたことが、今はそれだけでは成り立たなくなった。ですから、「やる気世代」と「やり方世代」がお互いに刺激し合えるような会になれば、一番良いのではないかな、と思うんです。
いずれ業界の中心になっていくべき若手の方々が、主役として立ってください、という感じで。

中川  確かに、昔はイケイケな人たちが携わる業界だったのが、今は我慢強い人がやっている感じがしますね。だからこそ、忍耐の先に何か、明るい未来がないといけないな、と。

私がこの業界に入ったときは、前の世代の方々が葬祭事業をビジネスとして築き上げてくださっていたんです。ですから、私はすでにビジネスとして成立していた葬儀業界に入って、少し新しく見えるようなことをやってきた。それだけなんですね。そして、今また状況が変わってきている中で、お葬式を産業としてもう一度立て直し、整えていくところを私たちが担い、次の世代にはどんどん活躍してもらうようにしていきたいと思っています。

株式会社アーバンフーネスコーポレーショ ン代表取締役社長兼 CEO・中川貴之氏

若手の不安、年長者の責務

木村  仕上がっている会社の皆さんと異なり、何歩も手前にいる私たちの世代には、わからないことだらけで、悩みは尽きません。インターネット集客もそうですし、会館運営も大切ですし、働き手は減っているし、単価は下がっているし、宗教離れも進んでいるし……。
「どうなっちゃってるの?」という状況の中で、2年 3 年とやってきている若手の経営者たちは不安でしょうがないですよね。さきほど村本さんがおっしゃった、見ている世界が違うというギャップがけっこうあるように思います。

伊藤  もう少し上の世代の方達と一緒に仕事をさせていただいてきた私たちの世代は、つなぎだと思っています。上の世代と木村さんたちの世代は、間が空いてしまっているので、共有できていないことも多いでしょう。その点、私たちは上の世代の方とお仕事をさせていただき、共有もできていて、その上で新しいモデルにもチャレンジしてきている。前の世代から受け継いだことも含めて、誰かに継いでいきたいという思いがあります。次世代はまだ、家業として葬祭業を継いでいる方が多数いらっしゃいます。でも、もう少し下の世代は、家業を継ぐこともなくなるかもしれません。家業を継ぐことの良し悪しは脇において、親ではない別の形でサポートできる少し上の世代が、その間をつないでいかないと。ホールをつくっていればなんとかなった世代と、この先の世代とはあまりつながっているとはいえないと思うんです。であれば、両者にタッチしている私たちが若い世代に伝えていけば、その世代が強くなりさらに下の世代につないでいけるかな、と。

木村  なるほど。しかし皆さん、それぞれの個性が強すぎるので、例えば伊藤さんが M&A を行うために作った会なのでは、と警戒している会社さんもいるかもしれないと思うのですが(笑)

中川  実は俺もそう思って警戒しているんだ(笑)

伊藤  M&A を目指しているわけじゃないけれども、そういう生き残り方も確かにありますね。

中川  我々の親世代からその少し下の世代の事業継承のタイミングがどの業界にもきているじゃないですか。今までは誰も会社の EXIT を考えなくても良かったのが、考えなければならなくなっていて、業界全体の対応策も見えてきていません。でも、経営者が選択肢を持つということはすごく重要なことだと思っています。例えば営業力のようなものも含め、資産の価値があるタイミングで引き継げるかどうかというのは難しい問題なんですね。次の世代の方であっても、M&A であっても。おそらく、葬儀業界だけでなく日本全体がそうだと思うのですが。

村本  従来は M&A イコール乗っ取りというイメージがあったと思うのですが、これからの経営で考えると選択肢の一つと捉えていく必要もあるのではないでしょうか。もしかしたらそこで働く社員の目から見ると、優秀な経営者に舵取りしてもらうほうが幸せではないか?そういう選択肢の一つとして持つべきだと思いますね。

株式会社めもるホールディングス代表・村本隆雄氏

未来志向の人に最新のノウハウを

木村  先ほど中川社長がおっしゃったような、健全な「協業」がこの業界はまだあまり多くないと感じています。それがキーワードなのかな、と思いました。

中川  それは、これまで地場産業で商圏があったのが、インターネットや人の動きの活性化で、エリア感が薄らいでいることが後押ししていますね。お客様もそのエリアにお願いするサービスはあまり求めていなくて、違う要素を求めている。価格もその一つですが。それでいろいろなものが混じり合っちゃっている時代に入っていることも理由にありますね。今、フューネラルマスターズクラブのセミナーに参加している企業は約 100 社なんですが、企業規模は多様です。一般の企業分布比率と同じで。専門葬儀社さんもいれば、互助会さんもいますし。

伊藤  多分、それが理想だと思います。どの層のためというわけではありませんから。ほかに、花卉や仏具など周辺の業者さんにも入っていただいています。

村本  どのような会社であっても、基本的にやることは変わらないので、企業規模の違いはパーセンテージで考えればいいと思います。例えば、売り上げに対して何割の広告宣伝費で行くのか、とか。ただ、次世代のためにという思いがあるので、企業規模や業種をターゲティングするというよりも、現場でかんばっている若い幹部に伝えていきたいですね。正直、私たちと同世代の経営者にばかり毎回来ていただいても仕方ないと思っているんです。真面目に勉強しても、自社で必ずしもアウトプットできて、現場に伝わっているわけじゃない。例えばメモリアルボードが単価アップに寄与しているという事例を紹介しても、自社に帰って忘れてしまうのでは意味がない。それより興味を持った会社がまずやってみて、うまくいった・いかないという結果を持ち寄ってちゃんとディスカッションすれば、成功の確率は上がるんです。だから経営者だけでなく現場に近い若い人、未来志向の人がどんどん入ってこないと、現場に伝わらない。現場に伝わらないと意味はないのです。

伊藤  これまで 2 回開催したセミナーの参加者からのアンケートを見ると、いろいろな声がありますね。そこでは「会社の規模が違うから……」という意見もたくさんいただいています。でも、私たち自身もその規模からやってきているから、小さい規模の葬儀社のことも経験していますし、よく知っています。そして確かに村本さんが言うように、会社の規模は違っても、やることは変わらないんです。だからやはり、ものの考え方のような個人的なことが影響してきます。

ライフアンドデザイン・グループ株式会社専務取締役(COO)・伊藤健氏

村本  僕は恥ずかしながら、30 歳頃は自社の売り上げに対する広告宣伝費率は何%かけるべきかなんて、全く考えていませんでした。繁忙期には現場で手一杯、暇になったら輪転機を回してチラシをポスティングするということをずっと続けていました。
そういう無計画なプロモーションを同じように経験している人はたくさんいます。
それが、中川さん伊藤さんはじめいろいろな方に刺激を受けて、教えていただいたりして、気づいていった。そういう会でいいと思うんですね。

業界内で語り合うことの意味

木村  この会のセミナーも、回を重ねるとネタが尽きるのかなと思ったのですが、参加者自身のフェーズが日々変わっていくと、仮に似たような内容だったとしても、初めて聞いたときは響かなかった内容が、次に聞いたら響くようになるのではないかなと、感じました。

中川  私がこの会をやりたいと思ったのは、異業種の先輩経営者からアドバイスをいただいてもピンとこなかったからなんです。それを咀嚼して自分たちなりにやって、今まできていたんですけれど、この業界で成果を出している皆さんと出会って話をすると、ピンポイントでいろいろなことがわかった。この業界でしか答えがないことには、ものすごい価値があると思ったんですよね。同じ業界内で集まってきた学びをシェアするということが。他の業界でどんなに成功している経営者でも、例えば集客で困っていると相談しても「葬儀の集客なんてわかんないもんなぁ」で終わっちゃうんですよ。

葬儀の集客の説明を 1 時間しても「へえ、そうなんだ。がんばれ」で終わっちゃう。もちろん異業種の方からも学ぶことはたくさんありますが、それは理念や経営といった根幹的な話で、葬儀という世界での手法の話までは共有できない。

木村  その点、これまでのセミナーでは、皆さん自社の情報を何でも開示してましたね。私は、聞いた話をすぐに現場に電話して伝えましたもん。「村本さんは広告宣伝費に何パーセント使っているんだって」って。

株式会社おくりびとアカデミー代表・木村光希氏

村本  商圏かぶっているわけじゃないですし、それで良いんですよ。

伊藤  昔から何でも喋っていたので。得られる人たちに得て欲しいし、同じ商圏で競合の方がいらしても話しますよ。うちのマーケティングノウハウも。それで数字が伸びていますので。今後、マーケティングの会議の様子を興味のある会員さんに公開して、見ていただくというのも良いですね。あとはものの考え方は、これを応用したら良いのでは、という提案とか。それまでのやり方を否定するわけではありません。でも間違ったことに時間をかけても仕方がないので。何を変えたらうまくいくか、5 年前にはうまくいかなかったことでも時代が変わったらうまく行くのでは、とか、どこで効果を判断するのかとか。そういった考え方を伝える場だでもあると思っているので。

村本  同じ業界の腹の探り合いをしながら、なんとなく仲良くやっているのではなく、良いことは良い、悪いことは悪いと言い合えるような仲のほうが良いですね。

木村  加えて、私たちのような若い層が聞きやすい環境を作れたら嬉しいですね。参加者からのいろいろな質問がラインで出ていたと思うのですが、たぶんあの質問にけっこう宝が詰まっていると思うので、掘り起こしていけると良いのではと思います。

伊藤  確かに、いただいた質問に答える場は必要だと思っています。会場では時間に限りがあるので、ネットやメディアで答えることはできるけれど、会員さんたちは、ほかの人の質問の答えも知りたいでしょう。皆さんが喜んでくださるなら私たちもそのために時間を使いたいと思いますので。どういう形式で情報を公開していくのかは今、議論が始まっています。1 年以内に形にしたいと思っています。

村本  集まるのは物理的に年に 3、4 回でしょう。それ以外は SNS を活用するとか。実の世界と両方で定期的にコミュニケーションを図れるように。木村 次回のセミナーの内容とか、今後の活動は決まっているんですか?

伊藤  準備は進めていますが、まずは私たちがある程度先に話して、そのうちに他の話も、ということになったら、緩急をつけて他の講師をお願いするかもしれません。また、業績を上げたいなど会社の課題が見えていて変えたいから来て欲しいという依頼があれば、その企業へ行って、経営者だけでなく現場の最若手とも一緒に会議をするとか。

木村  抽選で当たった会社には会のメンバー皆でコンサルティングに行く、というような企画があるとおもしろいですね。

中川  その抽選、真剣に引きますよ。

一同  来て欲しいんですか(笑)

これからはシェアリスクシェアリターン

木村  最後におひとりずつ、メッセージをお願いいたします。

中川  先ほども少し触れましたが、今は時代が変わってきてこの産業も変革期であることは、皆さ
ん認識しています。皆さんと手を取り合って、ビジネスとしても、お客様に提供する価値の面でも、再構築することを目指していきたいというのが私たちの考えです。1 社 1 社でもがいていてもどうにもならない現実がありますから、同じ波に乗って業界をしっかり変えていけるようぜひご賛同いただいて、一緒に歩んでいきたいと思っています。

村本  死亡人口は増えるけれどマーケットは縮小すると言われている中で、今のやり方のまま生き残るのであれば、商圏を拡大するしかないですし、単価を上げる方法もあるけれど、いずれは限界がくると思います。または、当社のように周辺の業態に広げる、あるいは葬儀の全く新しいデバイスを作って攻めるという方法もある。でも、せいぜいこれくらいです。その中で、どの方向に舵をきっていくのかは、経営者が決めなければダメだと思うんです。今はもう、勉強だけでなく、決めなきゃいけないといけないので、若い人たちが決めるための会でありたいですね。良い意味では競争していくべきだと思いますが、その傍らでいろいろなものを業界内でシェアしていく必要があるのではないかな。過去の時代、ハイリスクハイリターンはありましたが、今は、シェアリスクシェアリターンだと思うんですね。さまざまなもののシェアをして、そこから得たものもシェアをして、でもなおかつ一人ひとりが自立した関係性を作っていくと、この業界はまだまだおもしろいと思います。そこで、一緒にやっていきたいなという思いがあります。「シェアリスクシェアリターン by 隆雄」って書いておいてください。1 年後には wikipedia に載せます(笑)。

一同  (笑)

伊藤  私は正直、売上市場規模は落ちると思っているんですね。でも、売上市場規模が落ちること=衰退市場ではないと思っていて。売上を上げるためだけではなくて、利益を上げたり、会社を成長させたりすることに関しては、数字ではないところでいくらでも、まだまだやれることがあります。実は他の業種業界と比べても、そこまで大きな変化にさらされていないし、まだまだ可能性のある市場だと思っているんですね。この 15 年を見てきても、インターネットとスマ
ホの普及で情報格差がなくなったことが葬儀業界で一番の激震です。でも情報は出尽くしたし、この激震で、当たり前の競争にさらされるようになっただけで、葬儀がなくなっているわけではありません。10 年先のことはわからないけれど、この 5 年のことなら、今の課題や問題の解決方法は、そんなに難しくないと思います。その方法については私には見えているし、包み隠さず語れると思うので、今のうちに語っておきたいと思います。そして、よほどの大きい変化が起こらない限りは、悲観する市場ではないし、チャンスの 5 年だと思っています。

木村  今日はお三方にお話をお聞きしましたが、そもそも葬儀や供養の仕事が絶対重要で、続いていくべきだという考えを根底にお持ちなので、若手のこと業界全体のことを考えていこうという発想になるのだと感じました。
本日はありがとうございました。

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「ライフエンディング業界のトップインタビュー」は超高齢社会に向けて先進的な取り組みをしている企業のリーダーにインタビューし、これからの我々が来るべき未来にどう対処し、策を練っていくかのヒントを探る企画です。普段は目にすることができないライフエンディングの最先端の場で、どのような取り組みが行われているのか?余すこと無くお届けします。

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