些細なことからおおごとに!老々介護の現実とは?

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【連載】リアル・シニアライフ
この連載では、シニアライフにまつわる、人間関係、経済問題について、実際の生活者にヒアリングした結果を、個人の事情がわからないよう脚色し、ルポ形式でお伝えします。

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 いつまでたっても元気な両親

今年で90になる母は15年ほど前に心臓の手術をしたものの、2年前のあの時までは自分で歩けますし自分で運転しスーパーへも行き、食事の準備もでき、同じ年の父にいたっては何度か病院のお世話にはなっていますが毎日散歩と喫茶店に出かけて、たまのゴルフが楽しみという同世代に比べても元気な毎日を送っていました。
私はというと今年で65歳。実家のすぐ近くに住み、私自身もまだ現役で仕事をしています。一応、毎日父と母の様子を伺い、軽く家事を手伝ってはいますが、こんなに突然に介護の日々が訪れるとは思ってもいませんでした。

ほんのささいなきっかけ

父と母が出かけて帰ってきた時でした。少し遠出をしていたので、自宅に着いて気が抜けていたのかもしれません。足腰も疲れていたのでしょう。車庫から自宅の玄関までのほんの少しの距離の間に母が転倒してしまいました。
自力では起き上がれず、父の力でも家へ運べないとSOSの電話がかかってきたのです。
自宅と実家はほんの2,3分です。急いで駆けつけ、家の中へと運びました。
意識もはっきりしていましたし、骨折している様子もなく、この日はもう遅かったので翌日病院へ行きレントゲンをとりましたが、やはり打撲のみで骨折しておらず。
この年齢で骨折なんてした日にはこれからの生活どうなるの?!と心配していたのでひとまずは安心しました!
しかし、寝起きや体を動かすのはまだ痛いようなので、しばらく安静にする日々が続きました。

 

怪我なんだから治るはず

母が動けない間、父はスーパーへ行くことを覚え、トイレや入浴の介助も難なくやってくれていました。私も仕事の行き帰りに実家に寄り家事をこなし、バタバタしつつもなんとかこれまで通りに近い形で生活ができていました。
歳も歳なので、回復するには時間がかかるだろうと、長期戦の覚悟はできていました。
そう、怪我なんだから必ず治る。時間はかかっても必ず回復すると疑っていませんでした。

みるみるうちに

母が怪我をしてから2週間くらい経った頃でしょうか。
怪我をしてからというもの、やはりなかなか自分の力だけでは動けませんし、ほとんど自分の部屋のベッドで過ごしています。
ボーッとしている事が増え、笑顔が少なくなり、物忘れも顕著に増えました。
予定を伝えていないはずはないのに、「今日はお父さんはゴルフだよ」と言うと「聞いていない!」と怒るのに、しばらく経つと、「お父さんがいないんだけど」とまた携帯に電話がかかってくるのです。
これはまずいことになってきた、母の異変に父も私もさすがに気付き始めたのです。

まさか認知症になるなんて

怪我をするまでもきっと検査をすれば何かしらの兆候もあったのでしょうが、既に高齢ということもありますし、日常生活には支障もなく、むしろ元気に過ごしていたほうだったので、このままピンピンコロリと人生をまっとうできるといいなと思っていましたし、きっとそうなるんだろうなとなぜか勝手に思っていたくらいだったので、まさか母が認知症になるなんて思ってもいませんでした。
しかも怪我をしてからまだ2週間です。この2週間の間に認知症は信じられないスピードで進行し、病院にいくまでもなく、母は認知症になってしまったんだ、とわかりました。

介護疲れ

時間はかかっても怪我から回復すると信じていた父と私は、回復しようのない認知症を患った母の世話にほとほと疲れ始めていました。
父はもちろん高齢です。そして、私もまだまだ現役ですが世間で言うところの高齢者です。
孫の世話をして疲れるのと、母の世話をして疲れるのとでは私にとっては圧倒的に後者の方が精神的に疲れがきます。
怪我をして以来、寝室を一緒にした父と母。認知症の影響なのか母は夜中に何度も起き、そしてその度に父を起こすそうで、明らかに父にも疲労が滲んでいます。
母のわがままも増え、父は優しく明るく母に接していますが、このままでは父まで倒れてしまう!もしそうなったらと考えると悲しいという感情より先に、どうやって暮らしていけばいいのかという不安が先に立ちました。

みんなが笑顔でいるために

まずは老人ホームへの入所を検討しましたが、入所までかなり時間がかかる場合がありますし、なにより母が可哀想だと父が反対し、我が家ではデイサービス(通所介護)を利用することに決めました。
利用に必要な要介護の認定は難なくおり、ケアマネージャーさんのお世話にもなり、ほどなくして自宅から近いデイサービスに通えるようになりました。
母がどう感じるか心配していましたが、自宅近くのデイサービスには馴染みの近所の方もおり母もすんなり馴染めました。デイサービスでは自分のペースで過ごせないので帰宅すると疲れた表情を見せることもありますが、概ね楽しく過ごしているようです。
父も私も母がデイサービスへ行っている間は安心して過ごす事ができますし、デイサービスでは入浴のサービスもあるため、父は自宅での入浴介助がなくなったことと、デイサービスで疲れ、よく眠れているのか以前よりも夜中に起こされる事が減り、心の負担も体の負担も大きく減りました。

本人との相談は元気なうちに!

世の中で認められているサービスとはいえ、家族の介護を人様にお願いすることは最初、とても申し訳なく思い、悪いことをしているようでもあり、介護サービスの利用に抵抗がありました。
それでも、突然の老老介護に背に腹は変えられず利用を決心し、実際に利用し始めたところ、こんなに心も身体も楽になり、通っている母本人も以前より明るくなったので、もし介護に疲れ、介護にまつわるサービスの利用を躊躇している方がみえたら、是非一度前向きに検討してみることをおすすめします。
そして、まだ私には関係ないと思っている方にも、介護が必要な生活は以外に突然やってきます、元気なうちに、どうしたいか、どうしてほしいかを家族と相談してみてください。家族だからこそ病気や死にまつわる話はなかなか切り出しにくいものですが、いつか必ず誰しも死ぬときはやってきます。私も母が元気なうちにきちんと話をしておけばよかったなと後悔しています。

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