混合介護サービスとは?

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最近話題の「混合介護サービス」とは何かご存知ですか?

最近、新聞によく載っている混合介護についてお話をしたいと思います。

現在、来年の介護保険改正・報酬改定に向けて、混合介護について議論されています。

この混合介護とは、何でしょうか?

一般的に、介護事業所がみなさんに提供するサービスは、
「介護保険内サービス」と「介護保険外サービス」の2つに分けられます。

介護保険内サービスと介護保険外サービスの例

介護保険内サービス」は、介護保険の給付が受けられるサービスになります。
利用者は、1割もしくは2割の自己負担をして、残りの9割、8割が給付されるものです。
例えば、訪問介護通所介護訪問入浴短期入所生活介護(ショートステイ)などの在宅サービス(要介護者、要支援者)、認知症対応型通所介護小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービス(要介護者、要支援者)、特別養護老人ホームなどの施設サービス(要介護者)など様々なサービスがあります。

一方、介護保険の給付がされないサービスのことを介護保険外サービスと言います。
例えば、配食サービス、見守りサービス、家事代行などです。挙げている項目は少ないですが、ほとんどのサービスが保険外になります。

介護の現場で行われている「混合介護」とは?

介護の現場では、以前より、この「介護保険内サービス」と「介護保険外サービス」が一体となって提供されています。これを「混合介護」と呼びます。

ただ、混合とは言っても、厳格なルールがあり、例えば、介護保険内サービスと介護保険外サービスを同時に行うことは出来ません。

例えば、A利用者が、60分の身体介護(入浴介助と排泄介助:保険内)と、家事代行サービス(庭の草むしり:保険外)を希望している場合があるとします。

Bヘルパーさんが身体介護を60分行って、その後続けて介護保険外サービスの草むしりを提供する場合ですが、

一般的に、この介護保険サービスと介護保険外サービスを明確に分けるために、現場では以下のように対応しています。

1)Bヘルパーさんが行なう場合は、事業所にいったん戻ってから、再度Aさん宅に訪問に行く(先ほどの記録とは、分けて記録する)

2)Cヘルパーさんが、Aさん宅に訪問に行き、草むしりを担当する

なんだそれは?と思われるかもしれませんが、明確にサービスの時間を分けるために、このような非効率な対応をしています。

このあたりを、今回の改正でもうちょっと使いやすい制度にしよう!と提案されています。

今回の制度改正で検討されている内容

ちなみに、みなさんよくご存知の健康保険制度では、「健康保険内の医療」と「自費による医療(保険外)」の混合診療は基本的に認められていません。しかし、本当に一部だけ、「差額ベット代として個室代」「新医療技術」混合が認められています。

そのため、歯の治療などで、みなさんもびっくりした経験があると思います。
保険適用外の医療行為や薬剤を使用した場合(歯のグレードアップした詰め物など)、現在治療中の病気に関する診療の保険適用が取り消されてしまい、自己負担が全額になり、高額になります(本来は医療保険が適用されるので3割の自己負担で済むところが・・です)。

しかし、介護保険制度では、制度が始まった当初より、医療保険よりも混合の考え方が柔軟でした。要するに、「保険内を超える部分は、利用者が選択するのであれば、全額自己負担でサービスを補えるよ」ということなのです。

先ほどの医療と違って、保険内を認めた上で、保険外も認めてくれることになります。
ちょっとわかりにくいですね。

例えば、医療では、保険内診療費が1万円の場合、3割なら3000円です。そこに、保険適用外診療費5000円を受けると、1万円が取り消されて、合計15000円の自己負担になるわけです。

ところが、介護では、保険内介護サービスが1万円、1割は1000円です。保険外介護サービス5000円を受けると、先ほどの1000円+5000円となり、合計6000円となるのです。
現在、「混合介護」がすでに認められているので、何が変わるのか?というと、この混合介護をもっと利用しやすい方向に変えるということです(=弾力化)。

わかり易い例を示したいと思います。

ホームヘルプ


・利用者のみのご飯だけではなく、家族の分も一緒に作る
(現状では、家族分は作れない)

・お気に入りのヘルパーに毎回来てもらう(指名料を払う)
(現状では、事業者の事情による)

・利用者の希望する時間にサービスが行なわれる(指定料を払う)
(現状では、事業者の事情による)

デイサービス


・送迎途中に、スーパーに立ち寄って、簡単な買い物が出来るようになる
(送迎は、保険内サービスなので、自宅と施設の往復しか出来ない)

・デイサービス内で、マッサージなどのサービスを受けることが出来る
(サービス時間中は、他の費用が発生するようなサービスを受けられない)

ある意味、介護サービスの幅が広がるのは、利用者家族にとって有益だと思います。
一方では、金銭的負担が増えることで、なかなかサービスを利用しにくくなる方も居るかもしれません。

今回、どうして?このような話になったのか?

政府の規制改革推進会議は、平成29年5月23日の会合で、これまでの議論を総括した答申を安倍晋三首相に提出したことから始まります。

介護に関してはいくつかある提案の中に、この混合介護についても提案されました。

その理由としては、先ほど紹介したように、保険内サービスはそれなりの制約がありますから、その制約を補う意味で、保険外サービスを組み合わせて、利用者やご家族が、少し金銭的な負担を強いられても、ご本人が満足する介護サービスを利用できるようにしたら、どうだろう?

また、介護業界は、慢性的な人材不足ですから、保険外のサービスを提供することで、収益の柱を増やし、それを給与に反映させ、給与的にも魅力ある業界を変えていくことも必要。介護保険内で、サービスを多様化しようにも、財政的に厳しいので、自費や民間の力を活用することで、それを実現していくのがよいのでは?ということ。

また、お金を払えば何でもやってもらえると考えると、今までの自立支援の方向性とずれるケースが出てくるかもしれません。

今後の議論の流れについて、注目しましょう。

この記事を書いた人

橋谷創(橋谷社会保険労務士事務所代表、株式会社ヴェリタ/社会保険労務士・介護福祉士)

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