【プロが語る!】介護福祉士の筆記試験講評。試験問題は「例年通り」?

2017年1月29(日)に第29回介護福祉士の筆記試験が行なわれました。受験生の皆様、介護福祉士の筆記試験、お疲れ様でした。

さて、今年度より、試験制度が変更され、新体制になった初の試験でした。

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介護福祉士筆記試験の変更点

変更点は下記になります。

  • 国家試験の実技試験が無くなった
  • その代わりに、介護職員実務者研修(以下、実務者研修)を受講することになった
  • 試験問題数が120→125問になった
  • 試験問題数が120→125問になった
  • 医療的ケアの問題が5問新設された
  • 実務経験が、試験前日までから、年度末までの3年間に緩和された

保有資格と研修時間の免除について

この実務者研修は、受講生が、今までに保有している資格により、研修時間の免除があります。

無資格者450時間ですが、

介護職員基礎研修の修了者  50時間
ホームヘルパー1級の修了者 95時間
ホームヘルパー2級、介護職員初任者研修の修了者 320時間

となります。

ちなみに450時間というは、1日8時間の勉強時間でも57日必要ですから、通学の場合は、3~5ヶ月必要になります。受講料も、それなりに必要になります。現在は、ハローワーク経由の職業訓練(求職者支援訓練)で受講されている方が多いかと思います。

初任者研修、ヘルパー2級などを持っている方は、320時間に時間数が減ります。通信制度を利用すると、2ヶ月ほど自宅学習を経てレポート提出になります。

スクーリングは6~8日ほどでしょうか?研修料金は10万円前後ですが、最近都内では、7~8万円前後になってきています。

ちょっとわかりにくいのですが、介護の世界に入るのは、介護職員初任者研修(以下、初任者研修)という130時間の入門資格があります。

以前はヘルパー2級と呼ばれていた研修を、リニューアルしたものです。

当初は、初任者研修を受講して、介護の世界に入り、実務経験を経て、介護福祉士を受験する年に、実務者研修を受講するという流れを想定していました。

ところが実際は、初任者研修を避けて、そのまま実務者研修を受講する人が増えたため(求職者支援訓練の影響も大きいと思います)、特に今年度から、実務者研修が必須になったこともあり、全国の初任者研修に人が集まらず、研修が中止になっているようです。

出願者半減というニュース

介護福祉士の受験者数が半減しました

試験前に、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

「介護福祉士 出願者半減 「受験資格に研修義務」が要因」(毎日新聞より)

記事によると、「社会福祉振興・試験センターによると昨年度は16万919人だったが、今年度は7万9113人。合格率は例年6割前後」とあります。

少なくなるのは予想していましたが、半分まではいかないだろうと思っていたので、びっくりしました。

ただでさえ、現場にスタッフが居ない・・と言われている中、わざわざ試験のハードルを上げなくても良いのでは?と思われている方も多いと思います。

今後、3月末の合格発表を経て、介護職員実務者研修をどうしていくのか?の再議論になっていくと思います。

スッキリしないのも仕掛けの1つ。試験問題について

今年の試験問題を先ほど解きましたが、「例年通り」という印象でした。

実技試験が無くなるので、多少、問題レベルが上がる可能性もあるのかな?と思っていましたが、「易しくもなく、難しくもなく」というところに落ち着いたと思います。

国家資格の試験は、毎年徐々にレベルが上がっていきます。ここ何年かの試験レベルと特徴を踏襲していて、解いても解いてもスッキリしない状態の試験でした。

また、介護福祉士の試験は、すべての選択肢を、正誤判断すると、難問になる問題もありますが、ほとんどの問題は、過去問の知識だけで解ける選択肢の1つで、正答できる問題が多いと思います(この辺もスッキリしない原因ですが・・)。

昨年より、問題数が増えましたが、今回もその傾向が続きました。細かいサービスを聴いてくる問題が増えたと思います。

気になる「医療的ケア」の問題レベルは?

新たに医療的ケアの問題が出題されました

今回の目玉となった、「医療的ケア」ですが、易しい~標準問題が多かったので、1点以上は取れているのではないでしょうか?

筆記試験は今までの「10科目群」から、「医療的ケア」が増えて「11科目群」となりました。

総合点が60%をクリアしていても、各科目群に1つでも0点があると、不合格になります。

医療的ケアの問題が「5問」なため、問題レベルが高すぎると、残念ながら5問全滅!になりかねません。

そのため、問題レベルが気になっていました。今回は、「医療的ケア」の講義で、講師が力説するところが論点になっているため、みなさん、クリアされていると思います。

ほかの科目群は、少なくとも8問(介護過程、発達と老化の理解)から20問(生活支援技術)になっています。

特に、午前の前半部分が、正答できていない方が、この科目群をとても心配されますので、必要な方は、チェックしてみてください。

<11科目群と問題数>

  1. 人間の尊厳と自立、介護の基本(全18問)
  2. 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術(全10問)
  3. 社会の理解(全12問)
  4. 生活支援技術(全20問)
  5. 介護過程(全8問)
  6. 発達と老化の理解(全8問)
  7. 認知症の理解(全10問)
  8. 障害の理解(全10問)
  9. こころとからだのしくみ(全12問)
  10. 医療的ケア(全5問)
  11. 総合問題障(全12問)

この記事を書いた人

橋谷創(橋谷社会保険労務士事務所代表、株式会社ヴェリタ/社会保険労務士・介護福祉士)

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