お葬式と言えば、まず思い浮かぶのが、きれいな花で飾られた祭壇。
以前は日本全国、どこでも白木祭壇が当たり前という時代もありましたが、1990年代以降、葬儀会館でお葬式が行われるようになるにつれて、花祭壇、生花祭壇というように、花で飾った祭壇も広がっていきました。
最近では仏式のお葬式でも、すっかり生花祭壇が主流になっています。
白い菊できれいなラインを表現するだけでなく、バラやカーネーションなど明るい洋花をふんだんに取り入れたり、多い時には何千本もの生花を使います。
目次
生花祭壇で故人の人生を表現
昔は小さな机の上に香炉や線香を置く程度の簡潔なものでしたが、高度成長期に伴い今のようにな形に変化をとげました。
生花祭壇の大きな特徴には、飾る花の種類やデザインで故人らしさを表現できるという点があります。
故人が生前大好きだった花というだけでなく、例えば桜の花を大きな枝ごと飾ったり、落ち着いた和の雰囲気の漂う竹林を表したり、時には故人が愛用した自転車と緑の下草を組み合わせてサイクリングの風景を再現したりということもあります。
祭壇という概念にとらわれることなく、故人の遺志や遺族の想いに合わせてお別れの空間を自由にデザインできるのも、生花祭壇の魅力です。
祭壇の代表的な種類
白木祭壇
白木祭壇とは、日本のお葬式でよく見られる一般的な祭壇です。白木を用いた荘厳な印象の祭壇で仏式の葬儀で使用されますが、仏教以外の宗教ではほとんど使われることがありません。
白木祭壇は葬儀社が備品として各式場に設置しています。袖の部分を追加するなどして遺族の希望や、葬儀の規模に合わせてカスタマイズします。
花祭壇・生花祭壇
花祭壇は花で飾った祭壇の総称です。中でも生花を使ったものは生花祭壇とも呼ばれています。以前は一部の人にしか使われませんでしたが、現在は白木祭壇と並ぶスタンダードな祭壇です。
白木祭壇と違い宗教色がないため、どのような宗派の方でも利用できる点がメリットの一つです。また造花を用いた花祭壇もありましたが、最近では生花祭壇を選ぶ人の方が増えています。
生花祭壇が一般的な葬儀でも使われるようになった当初は、ライン祭壇などと呼ばれるように菊の花で模様を作るといった祭壇が主流でした。次第に菊だけでなく色とりどりの花を用いて、故人の職業や好きだったことなどを描いた祭壇なども登場。さらに洋花なども取り入れてデザイン性の高い祭壇が造られています。
新しい祭壇の種類
折衷祭壇
折衷祭壇とは、白木祭壇に生花などを盛り込んだ祭壇です。白木祭壇の厳かな雰囲気の中に、生花の華やかな印象が加わるため、見た目にも豪華な祭壇となるのが特徴です。
ただし、費用は白木祭壇よりも高額になります。そのため、葬儀社によっては供花として贈られた花を祭壇に組み込んで、喪主の出費をおさえながら祭壇もより良いものにするというサービスも取り組まれています。
遺影写真や棺を囲む祭壇
最近は、小規模な家族葬を行う方も多く、故人の遺影や棺の周囲を生花で飾る祭壇のニーズが増えています。
高価で仰々しい祭壇は必要ないのですが、故人にお花を飾ってあげたいという方が選ばれるようです。故人の好きだった花などを取り入れることもできるなど、比較的アレンジの自由度が高いのも特徴です。
大型の祭壇と比べて棺との距離も近く、故人のすぐそばでお別れができるため、より生前に近い姿になるよう、エンバーミングとあわせて依頼する遺族もいるようです。
祭壇がない葬儀
式場によっては祭壇が全くないお別れもあります。壁に映像を映し出したり、棚を用意して故人の愛用品などを飾ったりすることで、より自由度の高いお別れを演出できます。
キャンドル祭壇
キャンドル祭壇とは、祭壇の周りにたくさんのキャンドルを添えたもので、無宗教の葬儀でよく用いられます。キャンドルの灯りが、幻想的で柔らかな雰囲気を醸し出しことが特徴の祭壇です。
ただキャンドルを並べるだけでなく、祭壇に組み込まれたキャンドルや、キャンドルを水に浮かべたものなどバリエーションも豊富なので、自分の好きなアレンジができるのもポイントです。
祭壇の費用
葬儀の見積りの中で、大きな割合を占めるのが祭壇の費用です。ただし、金額の目安については、例えば小型の白木祭壇で数万円のものもあれば、数十万円の生花祭壇もあるというように、祭壇の種類や式場の大きさなどによって異なります。
また生花祭壇など、どのような花をどのくらいの量飾るかによっても変化しますので、希望に応じて、見積りを出してもらう必要があります。
出棺の前には、生花祭壇から花がなくなってる?
東京などお葬式の後に火葬を行う地域では、葬儀・告別式が終わると、出棺の準備が始まります。この時、葬儀社の担当者や手伝いに来ているお花屋さんのスタッフたちは、祭壇に飾られた花を短時間の間にきれいに抜き取ります。
ではこの抜き取った花はどうなるのかというと……、葬儀社によってもそのサービスの内容はさまざまですが、一般的には柩の中に入れます。
茎の部分をとってお盆の上にたくさんの花を盛って、ご遺族の方が故人と最後のお別れをする際に、柩の中に入れる「お別れ花」になります。
ブーケにしてご遺族にプレゼント
さらに、葬儀社によってはきれいな花をブーケにして、遺族や参列者にお渡しすることもあります。この時は葬儀社のPRもかねて、ロゴの入ったセロファンで包んでということもあります。
また、祭壇に使用した花ではありませんが、火葬場から戻った遺族に一輪挿しに挿した花をプレゼントしてくれる葬儀社もあります。
花祭壇の花は縁起が良いのか悪いのか?
中には「故人の祭壇に使われた花を持ち帰るのには抵抗がある」という方もいます。
宗教によっては、例えば神道など、死は「穢れ(けがれ)」と考えられている場合もありますので、通常、花をもらうのは故人とごく親しかった方や、希望される方などに限られ、参列者全員に配るというものではありません。
ただし、地域によっては「お葬式の花を持ち帰る」というのが当然の習わしになっているところもあります。長生きをした故人にあやかって「長寿にあずかれる縁起物」とか「仏さまにお供えした花だから功徳になる」など、諸説あるようです。
供花はどうするの?
供花も原則、遺族にお渡しします。胡蝶蘭などは鉢ごと、ご自宅に持ち帰っていただくのが一般的です。
ただ、とてもたくさんの供花が届いたり、とても家に持ち帰れないといった場合は、葬儀社に引き取りをお願いすることもできます。
また、最近では、供花として届ける代わりに、供花を祭壇に組み込んだり、また供花の代金で生花祭壇の費用をまかなうことで、葬儀費用をおさえるというケースもあるようです。
鎌倉新書で行ったアンケート調査によると、葬儀に関する不安で圧倒的に多いのは「葬儀の価格」です。
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