お正月になると、おじいちゃんおばあちゃんや、親せきからお年玉をもらうのを楽しみにしているお子さんもたくさんいます。
でもこのお年玉をお盆にももらえるって聞いたらどうしましょう!?
子どもは大喜び、大人は……。
今回は、お盆にもらえるお年玉、お盆玉についてご紹介します。
夏にもらえるお年玉、“お盆玉”ってなに?
お盆玉というのは、お年玉と同じように、お盆の時期に子どもに贈る、ちょっと特別なお小遣い(?)です。
江戸時代、お盆は、「藪入り(やぶいり)」といって、商家に奉公する人たちにとって特別な日でした。この日には、家でもお盆の行事に参加できるようにと、お休みをもらって実家に帰ることが許されたからです。
この夏のお盆の時期に、山形県の一部地域では、奉公人に対して衣類や下駄などをあげる風習がありました。親元に帰る奉公人たちに、店(たな)の主から、心ばかりの贈り物という意味があったのかもしれません。
この風習が時代と共に少しずつ変化し、昭和のはじめのころには、子どもたちにお小遣いをあげるようになりました。これがお盆玉の由来と言われています。最近では、夏に帰省した子どもや孫、久しぶりに会う親せきの子どもにあげるお小遣いとして注目されるようになりました。
似たような習慣は関西にもあるそうで、「江戸時代の北前船で関西からいろいろな文化のひとつ」が、山形の地で根付いて、発展したのではないかといった説もあるそうです。
山形県民が語る、お盆玉の作法
山形県民曰く、お盆の時期に親せきの家に行って、お仏壇に手を合わせると、「(今日は来てくれて)ありがとう」と言って子どもに手渡してくれました。
お年玉みたいにあらかじめ用意されているとか。
ちょっと前までは、お年玉のような専用の入れモノがあったわけではなく、普通のぽち袋に入れて、もらっていたそうです。
相場は、小学生が1,000円くらいから。大きくなると金額も2,000円、3,000円とアップしていくのが一般的?
最近では、都会に出て行った子どもや孫になかなか会える機会もないので、お盆の時には「あげたくて仕方がない」おじちゃん、おばあちゃんも。
帰省できない場合には、お孫さんに送ってくれたりもするみたいです。
受け取った側は、受け取った時だけでなくお盆玉で必要なモノを買った時にも、買ったものを見せて改めてお礼を言うと、離れて暮らしているおじいちゃん、おばあちゃんの胸はキュンキュンします。
ただし、同じ山形県民でも「知っている」人と「知らない」人がいます。
山形県民だから「お盆玉は当たり前」ということではないようですので、注意が必要です。
全国制覇なるか!?お盆玉の未来
2014年7月には、日本郵便がお盆玉のための小さなぽち袋「お盆玉袋」の販売も開始しています。
担当者にお話をお伺いしたところ、もともとお年玉用のぽち袋は販売していましたが、2013年ころからお客様に「お盆玉袋はないの?」というお問合せをいただくようになったとか。
売れ行きも好調で、販売3年目となる今年も、かわいい動物や人気の猫のキャラクターとコラボしたものなど6種類のラインナップをそろえたそうです(販売は8月末まで。郵便局によっては販売していないものもありますのでご注意ください)。
郵便局を訪れて「お盆玉って何?」と驚かれる方もまだまだいるそうですが、説明すると「お孫さんへ」と選ばれるそうです。
このお盆玉、将来的には節分の恵方巻きのように「お盆の風習」として、全国で当たり前に行われるようになるかもしれません。
お盆玉アンケート結果概要
山形県民、または元山形県民、配偶者が元山形県民といった方々にお盆玉について聞きました。
■もらう時になんか、特別な儀式はありましたか?
・特になし
・ありません
■1回のお盆玉でもらえるのはいくらぐらいですか(相場は)?
・成長に応じて
・小学生、中学生は千円 / 高校生は2,000円から3,000円
・お年玉とほぼ同等の金額をもらっています。小学生なら、基本的に千円では。
・子どもが最後に貰ったのが2万円だったかな? 自分が子どもの頃は無かった。 家族を連れて帰省するようになってからかな
・義母から子ども宛は1万円、簡単な祝儀袋に入れてくれます(水引きなしのもの)。余談ですが、誕生日やクリスマスは、そのお金から子供服やリュックなどを買って、残りを貯金します。帰省したときに、買ったものを見せて、「おばあちゃん、ありがとう」と子どもから御礼を言うようにしてます。
■お盆玉専用の袋はありましたか?
・専用のかどうかは不明
・わかりません。普通の「のし袋」でもらってました
■全国展開されて、山形県民としてどう思ってる?
・山形発祥と云われて悪い気はしない。
・山形だけの風習と知らなかったので、感想を申し上げることができません。
いかがでしたか?
お盆の新しい風物詩、お盆玉。
出費が増えてしまうのはちょっと、その、何とも言えませんが、子どもたちの喜ぶ顔を思い浮かべれば……。
取材にご協力くださったみなさま、ありがとうございました。
山形県についてもっと知りたい! という方は、「しきたりから学ぶ山形県のお葬式」をご覧ください。
また、お盆の時期は親族同士で相続の話ができる機会でもあります。
実家の名義変更など、故人のままにして相続登記をせずにいると権利関係が複雑になり、トラブルにつながる可能性もあります。早めに手続きをおこなっておくことをお勧めします。詳しくは姉妹サイト「いい相続」の「相続登記の手続きと必要書類、早めに相続登記した方が良い理由【司法書士監修】」をご覧ください。
(小林憲行)