数珠の正しい持ち方と宗派別の種類・使い方

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

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  • 数珠は左手で持ち、合掌の時は左手にかけて右手を添えるのがマナー
  • 葬式の参列では、故人ではなく自分の宗派の数珠を持って行く
  • 数珠を貸し借りしたり、畳や椅子に置いたりするのはタブー

数珠(じゅず)とは、仏教で仏様を拝むときに手にかけて使ったり、また念仏やお経を唱える時に何回唱えたのかを数えるために用いる仏具です。仏式のお葬式に参列する時にもお焼香の際に手に数珠をかけたりして用います。

珠数と書くこともあれば、念珠、念誦(どちらも読み方は「ねんじゅ」)、誦数(ずず)などと呼ぶこともあります。日本だけでなくチベット、中国、モンゴルなど各地で古くから使われており、日本でも民衆に広く用いられ、身に着けることによって仏様と自分を繋ぐ役割や、お守りとしても普及してきました。

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数珠の正しい持ち方

数珠は基本的に左手で持つのがマナーといわれています。

その理由には諸説あります。例えば左手が仏様の清浄な世界を、右手が我々の住む不浄の世界を指しているという説です。左手に数珠をかけ両手を合わせることで、自分の不浄や煩悩を仏様が消してくれるというわけです。

仏教の発祥の地であるインドでも、数珠は古くから用いられています。ただしインドでは、左手が不浄の手とされています。

使わない時は房を下にして左手で持つ

数珠の持ち方としては、読経などを聞いている時や合掌していない時は左手に持ち、房を下に垂らすのがマナーです。焼香などで歩く場合も、左手で持ち、房を下にします。

合掌の時は左手にかけて右手を添える

合掌の際は、宗派によって異なる場合もありますが、基本的には左手にかけて右手を添えるか、合わせた両手に数珠をかけて、上から親指で軽く押さえるスタイルです。

数珠の玉の数と意味

数珠の珠の数は、基本は108個です。修行の際に、108の煩悩を断ち切るという意味があります。

数珠の珠の数もそれになぞらえ、108個を1つずつ繰って数えながらお経や念仏を唱えてきたことから、念珠(ねんじゅ)と呼ばれることもあります。

数珠の玉の数は、多いものでは1080個あるものもあります。一方、少ないものでは54個、42個、27個、21個、14個といったものがあります。

数珠の玉の種類と意味

数珠の種類

子珠

数珠の玉は108個の玉を子珠、または主珠といいます。

これは菩薩の修行を意味しているといわれています。

親珠

親珠、または母珠と呼ばれる玉はお釈迦様、または阿弥陀如来を意味しているといわれています。T字に穴が開いていて、子珠がここにつながっていて房がついています。親珠が数珠の中心となります。

四天珠

子珠の間にある玉です。持国天、増長天、広目天、多聞天の四天王を表しているといわれています。また、四菩薩珠と呼ばれることもあります。この場合、観世音菩薩、弥勒菩薩、普賢菩薩、文殊菩薩を表しています。

記子珠

弟子珠ともいいます。親珠から出ていて房につながっています。十波羅蜜(じゅうはらみつ:菩薩が実践するべきとされる10の修行のことです)や、お釈迦様の十大弟子を表しているともいわれています。

二重と一重の違いは?本連数珠と略式数珠

本連数珠とは

本連数珠とは、数珠の正式な数である108個の珠からできた数珠のことで、宗派によって正式と認められた数珠のことを言います。二連数珠や二輪(ふたわ)数珠などのように、形状や呼び方が異なる場合もあります。

略式数珠とは

略式数珠とは、一重の数珠です。実用的で使いやすい、宗派に関わらず利用できるといったメリットがあります。手に二重にかける本連数珠に対して、略式数珠は一重で用いられ、宗派に関係なく使用することができるため便利です。

正式な数珠は108玉とされていますが、携帯しやすいように半分の54玉、4分の1の27玉などさまざまあります。片手数珠と呼ばれることもあります。

宗派別!数珠の種類と持ち方

お葬式に参列する場合は自分の宗派の数珠を持って行くのがよいとされています。相手方の宗派に合わせる必要はありません。それぞれの宗派によって選ぶべき数珠が異なる場合もあります。ここではそれぞれの宗派の数珠についてご紹介します。

天台宗の数珠

天台宗の数珠は他の宗派と異なり、子珠に扁平な平玉が使われることが多く、玉が扱いやすくなっています。

一般的に天台宗の数珠は、主玉108個、親玉1個、四天玉4個で、弟子玉(平玉20個と丸玉10個)が連なる2本の房も特徴ある形です。

合掌する時の持ち方は、親珠と房が下に来るように両手の人差し指と中指の間に数珠をかけて、そのまま合掌します。房はそのまま下に垂らします。

宗派によって数珠の種類は異なる。

真言宗の数珠

ほかの宗派よりも特に数珠を重視しているのが真言宗で、別名、振分数珠(ふりわけじゅず)とも呼ばれています。

一般的に長い一連の数珠を二重にして使用し、主珠が108個、親珠から数えて7個目と21個目に小さな四天珠が付いていること、2つの親珠にそれぞれ2本ずつの房が付いていることなどが特徴です。

合掌する時の持ち方は、両手の中指の外側に親珠と房が出るように数珠をかけて、そのまま合掌します。この時房はそれぞれ左右の手の外側、甲の部分に垂らします。

浄土宗の数珠

浄土宗では、2つの輪を一つに組み合わせた数珠を使います。

日課数珠とも呼ばれるように念仏の数が数えやすく、本式数珠でも108玉ではありません。

念仏の数を大事にする浄土宗ならではの形で、他の宗派にはない独特な形をしているのが特徴です。

合掌する時の持ち方は、両掌を合わせて親指と人差し指の間に数珠を挟みます。数珠は親指側に来るようにし、房は両手首と胸の間に垂らします。

浄土真宗の数珠

浄土真宗は煩脳具足のままで救われるため、数珠を繰って煩悩を消す教えがありません。

そのため、数取りができないように数珠の片方の房が「蓮如結び」という形で結ばれているのが特徴です。

他の宗派ほど決まりはありませんが、一般的に長い一連の数珠を二重にして使い、男性用と女性用とでは房や珠の構成などに違いがあります。

合掌する時の持ち方は、手を合わせて、親指と人差し指の間に数珠を挟みます。数珠は小指側に来るようにし、房は手首の外側に垂らします。

禅宗の数珠

曹洞宗の数珠は、親珠、向珠(親珠の反対側にある玉)、四天珠と、6つの玉の間に子珠がそれぞれ18個ずつ通されています。

合掌する時の持ち方は、左手の親指と人差し指の間に挟みます。数珠を持たない右手を合わせて合掌します。

日蓮宗の数珠

日蓮宗の数珠も108玉でできており、親珠2個や四天珠4個にそれぞれ役割が与えられています。

また、2個の親珠に付いている房は、片方は2本、もう片方は3本で、3本の房のうち短い1本には「数取玉」と呼ばれる10個の玉が付いており、日蓮宗の数珠の特徴です。

合計5本の房は人体を表しているという説もあります。日蓮宗の数珠は祈祷用にも多くの種類があります。

合掌する時の持ち方は、二輪にして左手の親指と人差し指の間にかけます。また、お題目を唱える時などは房が3本ある方を左手に、2本の方を右手に輪を一ひねりして左右の中指にかけ、房を外側、手の甲に垂らしたまま数珠を包むように手を合わせます。

覚えておきたい数珠のマナー

数珠を借りるよりは、使わない方がいい?

基本的に数珠の貸し借りは控えた方がよいとされています。それは数珠が別名「念珠」とも呼ばれ、持ち主の身を守るお守りであり、仏と持ち主を繋ぐ仏具であるからです。

家族で同じ数珠を使うといったこともよくあるようですが、自分用の数珠を用意しておくことが望ましいです。しかし故人の祈りに必要なものは心なので、わざわざ借りる必要はありません。

職場などで急な訃報を聞いて数珠の用意がない場合など、数珠を持たずに参列することも仕方ない場合もあります。

椅子や畳の上に置くのはマナー違反

数珠は仏具でありお守りでもあり、自分の分身のようなものともいえます。席を離れる時などは、椅子や畳の上に直接置かないようにしましょう。

服のポケットやバッグにしまったり、ハンカチの上に置くなどして大切に扱いましょう。

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