エンバーミング(遺体衛生保全)とは?目的や費用などを紹介

元気なころと同じような姿の故人とお別れをする……そんな願いを叶えてくれるのが、エンバーミングです。見た目が変わらないだけでなく、遺体は長期間、そのままの姿で変化しません。

今回はそんな不思議な遺体保存技術、エンバーミングについてご説明します。

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エンバーミングとは?

エンバーミングとは、「遺体衛生保全」の総称で、遺体を衛生的に保全できる施術のことを言います。

具体的には遺体を殺菌消毒し、血液を抜き防腐溶液を入れることで、長期間保存する技術です。専門の資格を持った技術者(エンバーマー)が消毒、防腐、修復、化粧といった処置を施します。

施術は湯灌(ゆかん)のように立ち会うことはできず、施術にかかる時間は2~3時間程度となっています。

エンバーミングをするとお葬式はどうなるの?

エンバーミングを施すことにより、長期間の保全ができるため、火葬炉の都合で葬儀の日程が延びた場合や、遺族を長時間待たせなければならない場合に効果的です。

エンバーミングを施すことにより長期間の保全ができるため、火葬炉の都合で葬儀の日程が延びた場合や、参加する遺族を長期間待たなければならない場合などにエンバーミングは効果的といえます。

お体に損傷があった場合でも限りなく生前の姿に近づけられるので、元気な姿の故人と、時間をかけて心ゆくまでゆっくりお別れでき、ご遺族の悲しみを和らげる効果もあるようです。

また、遺体が長時間変化しないうえ、触れたりしたときの衛生的な問題もなくなりますので、お別れの形についても、より自由度が増すといえます。

希望があれば、「故人と一緒のお布団に寝ても大丈夫」とも言われています。

エンバーミングの流れ

日本には全国57ヵ所のエンバーミング施設があります(2018年4月末現在)。エンバーミングを行う場合、病院からエンバーミング施設へ移動し、施術後に自宅、または葬儀会館に安置します。施術にかかる時間は、状況にもよりますが3~4時間くらいです。

  1. 搬送:故人をエンバーミング施設に搬送します
  2. 洗浄:故人の状態を確認し、遺体を洗浄、消毒します
  3. 整える:洗顔、洗髪、ひげを剃るなどし、表情を整えます
  4. 施術:保全液を入れるなど、エンバーマーが施術します
  5. 着替え:施術後、遺体をきれいにして故人の愛用の服などに着替えます
  6. 化粧:髪型を整え、化粧を施すなどして表情を整えます
  7. 搬送:故人を自宅、または葬儀式場へ搬送します

エンバーミングにかかる費用

エンバーミングには15万円ほどの費用がかかるほか、エンバーミング施設への往復の搬送費用がかかります。

エンバーミングにかかる費用はおよそ15~25万円前後です。このほか、エンバーミング施設への往復の搬送費用が必要になります。

各社によって設定は異なり、遺体の修復を無料で行ってくれる施設もあれば、その度合いによっても料金が変わることもありますので、詳細はそれぞれの事業所に確認しましょう。

また、自社でエンバーミング施設を所有していない葬儀社の場合、やや高くなる傾向があります。

日本でエンバーミングは必要ない?

日本では火葬の割合が99.98%(厚生労働省 衛生行政報告例 平成28年度より算出)と、亡くなると、そのほとんどのケースで火葬が行われています。

火葬場の混雑具合などにもよりますが、息を引き取って24時間以上経過すれば、比較的はやい段階で火葬します。

火葬を行うまでの間は、保冷設備のある安置施設への安置や、ドライアイスなどで遺体の温度を下げることで、遺体の腐敗を防ぐことができますので、わざわざエンバーミングを施して遺体を保全する必要はないという意見もあります。

しかし、エンバーミングの利用は遺体を保存するためだけではありません。遺体の保全のほかに、エンバーミングの大切な役割として遺体の修復があります。事故などで遺体の損傷が激しい場合はもちろん、闘病生活でやつれた顔も、元気だったころに近い姿に戻します。

特に近年は、家族葬など親しい人たちで送る葬儀が増える中で、故人の顔を見てきちんとお別れするという式も増えています。このようなときに、より安らかな顔の故人とお別れができるようにと、エンバーミングを行うケースもあります。

また、海外で亡くなった遺体を日本へ、反対に日本国内で亡くなった方の遺体を海外に搬送する際にも、標準的な処置としてエンバーミングが施されています。

エンバーミングが必要な場面は?

エンバーミングは遺体の保存・保全だけでなく、遺体をきれいにし「家族や親族や気持ちよく死を受け入れられるように」というのも大きな目的です。

逝去から葬儀まで日数がかかる

人の身体は亡くなった時点から腐敗が始まり、見た目も劣化が進んでいきます。腐敗や劣化を避けるためにドライアイスや保冷庫を使用しますが、進行は遅くなるもののどうしても腐敗は進んでしまいます。

このため、亡くなってから葬儀まで日にちが長く開いてしまう場合には、腐敗防止、また見た目維持を目的としたエンバーミングが利用されます。

空輸で遺体搬送を行う

航空機を利用して海外から遺体の搬送を行うときは、安全上の理由からドライアイスの使用ができません。そのため亡くなった方の遺体を保全するためにエンバーミングが行われます。

たとえば、海外で亡くなり航空機を利用して日本に遺体の状態で帰国する場合には、専門の業者に依頼してエンバーミングをしてもらいます。また逆に日本国内で亡くなった人を航空機で搬送する場合もエンバーミングが必要です。

元気だったころの姿で見送りたい

長い闘病生活をしていると顔がこけたり、逆に点滴や薬剤の影響でひどくむくんでしてしまうことがあります。葬儀に参列する親族や友人などが抱く生前の元気な姿のイメージとは、かけ離れてしまうことも珍しくありません。

このような場面で元気だった頃の姿でお別れがしたいという遺族の希望を叶えるため、エンバーミングが必要とされることがあります。特に家族葬の割合が増加している昨今、故人をゆっくりと見送りたいという人がエンバーミングを依頼することも多いようです。

エンバーミングのメリット

エンバーミングの利用は遺体を保存するためだけではありません。

遺体の保全のほかに、エンバーミングの大切な役割として遺体の修復があります。事故などで遺体の損傷が激しい場合はもちろん、闘病生活でやつれた顔も、元気だったころに近い姿に戻します。

特に近年は、家族葬など親しい人たちで送る葬儀が増える中で、故人の顔を見てきちんとお別れするという式も増えています。このようなときに、より安らかな顔の故人とお別れができるようにと、エンバーミングを行うケースもあります。

また、海外で亡くなった遺体を日本へ、反対に日本国内で亡くなった方の遺体を海外に搬送する際にも、標準的な処置としてエンバーミングが施されています。

遺体を長期間保全できる

エンバーミングを施すことで、遺体は最大50日間、保冷設備やドライアイスなどを用いることなく、保全が可能になります。火葬の順番待ちが必要な時も、保冷室に入れることなく、ご遺族が側に付き添うことができます。

感染症の予防

エンバーミングの施術によって、遺体の黄疸、水泡の発生や異臭、腹水などを防止できます。また故人が感染症にかかっていた場合も、遺族などへの感染を防ぐ効果があります。

そのため、例えば手を握ってのお別れなど、遺族や参列者は故人と触れ合ってお別れすることができます。

遺体の姿が生前とほぼ変わらない、また死後硬直もないため、抵抗なくご遺体に接することができます。

エンバーミングによって感染を防ぐことができる主な感染症

  • 空気感染:結核など
  • 飛沫感染:インフルエンザなど
  • 接触感染:B型肝炎、C型肝炎、HIV、MRSA、敗血症など

故人が元気だったころの姿に戻せる

エンバーミングを施すことで、遺影写真のようなきれいな姿で故人とお別れができます。

エンバーミングを施すことで、遺影写真と同じような姿でお別れができるというメリットがあります。

事故などの場合に限らず、亡くなると、眼球のくぼみや、口の開き、表情、顔色まできれいになります。時には死亡直後の処置の結果、口を閉じさせるために巻いたバンドの痕が残ってしまうといったこともありますが、このような場合も痕を消すことができます。さらに、ドライアイスなど遺体を冷やすことで生じる凍傷もありません。

エンバーミングのデメリット

エンバーミングにはメリットがある一方、知っておいたほうがよいデメリットもあります。

費用がかかる

上記の通り、エンバーミングには15~25万円ほどの費用がかかります。それに加え葬儀にも100万円前後の費用がかかるため、決して安くない金額です。

行う時間がかかる

エンバーミングを行うには、専門の設備の整った施設での施術が必要となります。

すべての葬儀社にエンバーミングの施設があるわけではないため、施設のない葬儀社へ葬儀を依頼する場合には、提携する施設の移動ならびに施術の間、故人と会えない時間が生じます。

ただ、最近ではエンバーミングを行える施設も少しずつ増えてきています。地域差はありますが、移動にかかる時間など短縮されています。

死化粧やエンゼルケア、エンバーミングの違い

遺体に施す化粧、死化粧とエンバーミングは、似ているようで大きな違いがあります。また死に化粧はエンゼルケアとも呼ばれます。

具体的には遺体を清拭や湯灌(ゆかん)により清め、傷口などを手当てし、着衣を替え、髪型を整え化粧を施すといった流れで遺体の外見を整えます。エンゼルケアによって故人の尊厳を守り、遺族の気持ちを慰めることです。死に化粧・エンゼルケアはほとんどの葬儀で行われます。

死化粧では故人の見た目でわかる表情や顔色、装いを整えるのに対し、エンバーミングでは衛生面から遺体の乾燥、やつれ、損壊、損傷を修復し、戻します。

エンバーミングはどのくらい行われているの?

「エンバーミング」は アメリカで発展した技術で、アメリカやカナダでは90~95%の遺体が「エンバーミング」を施されています。

一方、日本では1974年に川崎医科大学で導入されたのがはじまりです。

1988年には日本初のエンバーミングセンターが設立されました。1993年には自主基準研究会が設立されエンバーミングの自主基準を制定。2009年以降はIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保存協会)として、エンバーミングの技術向上や普及活動を行っています。

エンバーミングの件数は、年間4万件以上

1995年に起こった阪神・淡路大震災でエンバーミングが社会的に注目されてから、一般の葬儀でもエンバーミングを行うケースが増えてきました。エンバーミングをお葬式のプランの中に取り入れている葬儀社もあります。

2000年には1万件、2015年には3万件を超え、現在では4万2,760件(2017年末現在)がエンバーミングの施術を受けています。

日本人のエンバーマーは160人以上

エンバーマーとは、エンバーミングを行うことができる技術を習得した専門家です。

日本でエンバーミングがはじまった当初は、海外から来日した外国人のエンバーマーが施術を行っていました。そのため、生活文化の違いや言葉の問題から、遺体の修復の際の顔色や表情など細やかな点で、意思の疎通がはかりづらいということもありました。

その後、日本国内のエンバーマー要請学校が開設され、現在では160名以上の日本人エンバーマーが誕生、全国のエンバーミング施設で活躍しています。遺族とエンバーマーが密なコミュニケーションをとることで、より満足度の高いサービスが提供されています。

エンバーミングの歴史

エンバーミングが日本で聞くようになったのは最近ですが、エンバーミングの起源は太古まで遡ります。

エンバーミングの起源は古代エジプト

エンバーミングのはじまりは、古代エジプトにまでさかのぼります。古代のエジプトでは死者の再生・復活のためには遺体の保存が不可欠と考えられていました。

遺体をミイラにする際、防腐のために樹脂が用いられたそう。エンバーミング(enbalming)という名前の由来は、この樹脂(balm)が語源になったといわれています。

ヨーロッパの科学者によって技術が発展

長い時が経ちヨーロッパの解剖学者によりエンバーミングの技法が発展しました。現在のエンバーミングの技法の原点は、イタリアやフランスの科学者による、血管系への防腐剤注入技術の開発およびホルマリンの使用によってもたらされました。

アメリカ南北戦争により普及が広まる

時代とともにエンバーミングはヨーロッパに広がったものの、このときは医学的な目的で行われていました。

エンバーミングが葬儀のための技術として用いられるようになったのは、アメリカの南北戦争のころといわれています。この時、戦死者の故郷での埋葬を望む戦死者が多く、移動の際に遺体を保全するため、エンバーミングが行われました。

エンバーミングを行った著名人

エンバーミングを行った著名人は世界各国に多くいます。永久保存のためにエンバーミングされるか、多くの人の弔問を受けるためにエンバーミングした場合があります。

遺体が保全されている政治的指導者

  • ウラジーミル・レーニン(ソビエト社会主義共和国連邦 / 現:ロシア連邦共和国)
  • ホー・チ・ミン(ベトナム社会主義共和国)
  • 蒋介石(台湾)
  • 毛沢東(中華人民共和国)
  • 蒋経国(台湾)
  • 金日成(朝鮮民主主義人民共和国)
  • 金正日(朝鮮民主主義人民共和国)
  • マリリン・モンロー
  • マイケル・ジャクソン
  • テレサ・テン

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