今は亡き妻へ
お喋りが大好きで、皆の笑い声が響く真ん中にいつも貴女の存在があったように思います。
好奇心のままに興味のあることに真っ直ぐ情熱を注いでいましたね。
特に東洋文化や能装束に関心があり、全国各地の美術館や能楽堂に大好きな着物を着て出掛けることに熱心でした。
また、空と海の間の船上で、貴女と優雅に自由気ままに過ごした船旅は忘れられない思い出です。
社会貢献にも意欲的で、更生支援活動や町内会活動などに労をいとわない貴女の姿にいつも感心させられるばかりでした。
花とお菓子作りにも心を寄せ、庭にはたくさんの種類の花を植え、手製のクッキーを焼いて家族の日常を鮮やかに彩ってくれました。
一緒に過ごした日々を振り返れば、楽しかった思い出ばかりが瞼に浮かびます。
別れの寂しさが込み上げてきますが、貴女が愛情を注いで大切に育てた花が、季節の移り変わりと共に次々と咲いて、道行く人々の目を楽しませ、元気を与えてくれています。
家族にいつも笑顔を届けてくれてありがとう。
「ありがとう」の心を捧げ、そっと両手を合わせます。
「どうか天国でも笑顔を絶やさず明るく振る舞ってください」
闘病の末、五十八歳で生涯を閉じることになり、さぞかし無念だったでしょうが、我々家族は季節が前に進んで行くように上を向いて前へ前へと歩いていきます。
これからも、空から私達を見守っていてください。
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。