親愛なるマスターへ

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今は亡き友へ

「今年もマスターから年賀状が来てない」と妻に言われ、私は「きっと体調を崩していて、入院しているかもしれないね」と答えました。

マスターと初めて会ったのは、私が大学生の頃、もう二十年以上前です。

私が尊敬する歴史上の人物が生まれた場所にある喫茶店は、マスターと、マスターのお母さんが営んでいる小さな喫茶店でした。

社会人になっても、遠く離れた街にあるマスターのお店に、長期休暇になると訪ねました。

そうそう、妻と知り合った次の日に、二人で行ったのもマスターのお店でしたね。

私達の結婚披露宴にも遠くから駆けつけてくれました。

娘が生まれて、妻と私の三人で訪ねた時は、とても喜んでくれましたね。

いつだったか、マスターのお母さんが教えてくれました。

ずっと昔、若い頃にマスターは、私と同じように東京で会社員として働いていたそうですね。

体調を崩して、心も疲れて、故郷の街に帰って来たそうですね。

マスターは若い時の自分の姿を私と重ねて見ていると。

この前の週末、何年かぶりにマスターの住む街に行きました。

風の噂でお店は閉められたと聞いていました。

一度だけ夕食をご馳走になったマスターの自宅は、すっかり静まりかえっていました。

ご近所の方にマスターが一年以上前に旅立たれたことを教えてもらいました。

入院されて、すぐに旅立たれたんですね。

いろいろ考えましたが、きっと、マスターは、あの大好きな自分のお店に帰って来たかったんでしょう。

私の父は、私が子供の頃に母と離婚して、もう何十年も会っていません。

私にとって、マスター、あなたが親父であり、兄貴のような人でした。

これからも、あなたといろいろ話したかったです。

最後にさようならではなくて、ありがとうが言いたかったな。

またあのマスターのお店で、マスターのコーヒーが飲みたかった。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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